川越style「Leckerhof(レッカーホーフ)」ドイツパン 毎週土曜日営業 大袋新田 | 「小江戸川越STYLE」

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ライ麦と塩と水、イースト。

 

「シンプルな素材で、シンプルな作り方で、味わいが染みる、身体に優しいパンを作りたい」

 

川越で味わえる、自家製酵母のドイツパン。

 

丁寧な、本当に丁寧な、手作業と時間を積み重ねて出来上がる、ドイツパンたち。

 

川越に新しいパン屋が誕生。

2022年11月にオープンしたドイツパンが売りのパン屋が、「Leckerhof(レッカーホーフ)」さん。

お店があるのは、川越市大袋新田。

大袋の白髭神社脇の細道沿いにあります。

川越総合卸売市場から車ですぐ。お店の前に駐車スペースがあります。

 

ドイツのパン屋でお馴染みのパンが、ブレッツェル。

ドイツでは国民的なパンであり、「パン屋」を表す象徴で、ブレッツェルの形を店前に掲げているお店も多い。

それに倣い、Leckerhofでもお店の看板のムーブメントはプレッツェルです。

店主:

「ドイツ発祥の菓子パン:語源はラテン語の『腕組み』。

ドイツで乳母車に乗った子どもがこのパンを食べている光景にほっこりしたのを覚えています」


「Leckerhof(レッカーホーフ)」
川越市大袋新田572
毎週土曜日営業
10:00~15:00※お店の前に駐車場あります
※HP、SNSなどはなし

 

Leckerhof(レッカーホーフ)さんは、ドイツパンが売りのパン屋。

毎週土曜日のみの営業ですが、地域の人が毎週のように訪れる地域のお店で、また、パン好きがわざわざ遠方からドイツパンを求めてやってくることも多い。

リピーターが多いゆえ、お店とお客さんで顔見知りになり、会話に花が咲くこともしばしば。

 

お店の名前

『ドイツ語の「lecker(おいしい)」と「Hof(館)」を組み合わせた造語です。Hofは「お家」という意味合いで使いました』

 

ちなみに、お店近くの白髭神社は桜の名所としても知られています。

(大袋「白髭神社」)


ドイツパンの特徴は?

ずっしりとした重みと噛みごたえがあり、その特有の風味はクセになる味わいです。

パンで有名な国は世界にいくつかありますが、ドイツもそのうちの一つで世界一パンの種類が多いといわれています。


ドイツパンの特徴は、原料にライ麦を使っていること。

ドイツは緯度が高く寒冷な気候のため、小麦よりライ麦の方がよく育ちます。そのためライ麦をパンの原料として使うようになりました。ただし、ライ麦にはグルテンが含まれておらず、ライ麦だけではパンは膨らみにくいので、小麦を混ぜて使います。ライ麦粉の配合量によってパンの呼び名も変わります。
グルテンを含まないライ麦を使うことによって、ドイツパンは焼きあがっても生地の目が詰まっていて、ずっしりと重い仕上がりになります。

また、ドイツパンを食べると酸味を感じる場合がありますが、これはドイツパンではパンを膨らませるためにイーストではなくサワー種を使っているためです。
サワー種とは、ライ麦と水から作ったドイツ発祥の発酵種。

ドイツパンとフランスパンの違い。
ドイツパンがライ麦を原料に使うのに対して、フランスパンは小麦粉と水、塩、パン酵母を原料とします。

ドイツパンは黒っぽい色をしているの特徴。
 

お店ではドイツパンが売りですが、ドイツパン一色の専門店というわけではなく、菓子パン・総菜パンと柔らかいパンも並んでいます。

バラエティー豊かにラインナップしています。

ドイツパンは定番として在り続けながら、他のパンは季節の素材によって変わっていきます。

・角食パン

『ルヴァン種(小麦を発酵させたもの)が約20%入っています。深みのある味が楽しめます。』

・ヴァイツェン

『ライ麦が約30%の食べやすいドイツパンです。サンドイッチやフォンデュにも。クリームチーズとの相性抜群です。』

・ベルリーナー

『ベルリンの田舎パンの意味です。ライ麦が約70%入った本格的ドイツパンです。薄く切って召し上がれ!』

・カンパーニュ

『干し葡萄から起こした酵母を使っています。その干し葡萄は、粉砕し生地に練り込みました。ラム酒に漬け込んだ干し葡萄とクルミが入っています。』

・フォルコーン

『オーツ麦フレーク、ひまわりの種、胡麻、アマニ、ソバ、エゴマ、押麦、かぼちゃの種などパンの形をしたシリアルです。』
・プレッツェル
『ユニークな形と、褐色の焼き色が特徴です。甘い味つけのものもありますが、塩気を効かせたものが多いです。外はカリッと、中はもっちりとした食感で、ビールのおつまみにもぴったりです。』

 

 

その他、ドイツパンに限らず、日本人に親しみあるパンを意識して、時期により様々なパンが登場しています。

イースターうさぎ、シナモンロール、シュタンゲ、いちじくリーフ、アーモンドハット、くるみ生地のベリークリームチーズ、ソーセージドック、アップルカスタード、おいもパン、あんバターサンド、豆あんぱん、抹茶ホワイトチョコレートなどなど。

 

「Leckerhof」の使用食材

小麦粉:国産、ライ麦はドイツ産

油脂:四つ葉バター、ラード、太白ごま油

砂糖:三温糖

その他、発酵種や自家製酵母

発酵種として、サワー種やルヴァン種、ブドウ種を使用しています。

添加物は使用していません。

 


ドイツパンは、スライスしてから、具材をのせてオープンサンドにして食べると美味しい。
ドイツパンには油があまり含まれておらず酸味があることから、バターを塗ったり、チーズと合わせるとより美味しく食べられます。それから、ハムや野菜、ピクルスなどをのせ、塩こしょうで味つけも良い。

他にも試作しているパンがありますが、納得できるパンが出来次第お店にお目見えしていきます。

 

なぜ、営業が週に一日だけなのか・・・??

実は・・・一週間がかりで作っているこのパンたち。

他ではなかなかやらない手間のかかる作業の積み重ねでパンが生まれています。

Leckerhofの営業が一日しかないのは、長い長い仕込みの工程があるゆえに、なかなか営業日が増やせないという実情があります。

その手間を、お店の作業の週間スケジュールを紐解けば納得するはず。

 

Leckerhofさんでは、毎週土曜日の営業が終わると、次の土曜日の営業に向けた準備が始まる。

翌日、日曜日から一週間がかりの作業がスタート。

自然由来の酵母を相手にしながら、安定した酵母を作ろうとすることがなにより手間のかかること。

そして、お店のパンの核であり、土台で支えている、元種。

 

Leckerhofさんで使用している発酵種は、3種類。

サワー種、ルヴァン種、ブドウ種。

特にドイツパンの特徴はライ麦を使うことで、ライ麦と水で作るサワー種をドイツパンの発酵種として使っています。

 

仕込みが始まってから数日経ち、水曜日くらいになると、干し葡萄から起こした酵母が増えて湧き上がってくる。

増えた酵母に小麦粉を加えて元種を作り、生地に練り込むのが金曜日。

この時にLeckerhofでは干し葡萄の抜け殻も捨てずに細かく砕いて生地に練り込んでいます。これが甘みを生み出します。砂糖というより、干し葡萄素材本来の甘みがパンに活かされています。

 

 

ヴァイツェンやベルリーナーなどのドイツパンに欠かせないのが、サワー種。

食パンにはサワー種とルヴァン種の2種類を使用。

サワー種なら、ライ麦・水・モルトから元種を作るのにまた数日間。

元種作りは、パン作りに必要な酵母を含んでいる発酵種を、特定の材料から酵母を培養し種として作る作業のこと。発酵種を使用して残った種に小麦粉・水などを加えて温度管理をすることによって、種の酵母が活動し新たな発酵種として永続的に培養することができます。元種を、鰻屋のタレのごとく、継ぎ足し継ぎ足し種継ぎしながら使い続けています。
 

Leckerhofのパンを土台で支えている、元種。

 

元種は実は、あるところから譲り受けたものです。

それが、「日本パン技術研究所」

「日本パン技術研究所」
東京都江戸川区西葛西6-19-6 パン科学会館ビル 4F
HP:
https://www.jibt.com/index.html
『社団法人日本パン技術研究所は、昭和24年に農林水産省の認可により設立された公益法人として、 製パン技術の職業教育、パン類の加工技術及び品質・栄養に関する研究調査、食品安全衛生の指導・監査等の事業を行い、 製パン技術者の職業能力の開発及び向上の促進、パン類を中心とする食品科学技術の振興、食の安全・安心の増進等を図り、 もって国民生活の安定向上及び食品産業の健全な発展に寄与することを目的としております。』


■製パン技術事業部
教育事業は、製パン技術の職業教育訓練により、製パン技術労働者の職業能力の開発及び向上の促進を図り、 就労機会の支援、職業の安定、労働者の地位の向上等により、国民生活の安定向上と食品産業の健全な発展に寄与しております。 当研究所設立後60年余の歴史の中で、2万名余の製パン技術者の職業教育訓練により、国民主要食糧としてのパン類の良質且つ安定した供給基盤が形成され、 国民福祉の向上に貢献しております。併せて研究事業は、国民主要食糧としてのパン類の加工技術及び品質・栄養に関する諸課題を対象とする研究開発、 調査分析並びに研究調査成果の普及の事業を推進し、食品科学技術の振興、国民生活の安定向上、食品産業の健全な発展に寄与しております。 パン類の品質改善・向上の為の加工技術等の研究開発、 パン類の加工技術、品質、栄養、表示等に関する調査分析、技術資料編纂やデータベース化による事業成果の普及等の事業を推進し、 食品科学技術の振興を通じて、国民生活の安定向上に貢献しております。

■フードセーフティ事業部
フードセーフティ事業は、パン類を始めとする食品の品質管理の高度化推進の為、2001年に食の安全衛生管理技術で世界の最先端を行く 米国製パン技術研究所(American Institute of Baking、略称AIB)の指導、ライセンス供与の下、我が国唯一の実施機関として、 AIBフードセーフティ指導・監査システム「AIB国際検査統合基準」による食品の製造及び流通施設の安全衛生管理の指導・監査の事業を行い、 食の安全・安心の確保による国民生活の安定向上と食品産業の健全な発展に寄与しております。

日本パン技術研究所の先生が保管しているルヴァン種とサワー種の元種を分けてもらい、Leckerhofのお店で種を継ぎ足して使っています。

Leckerhofの店主、五十嵐さんは、エンジニアなど会社員として長く務めたのち、パン屋を始めたいとこれまで準備してきました。

そこであえて敷居の高い、科学的な理論を教えてもらえると、日本パン技術研究所を選んだ。

日本パン技術研究所はアカデミックな研究機関ですが、定期的にパンの知識・技術を深める座学と実習を行っています。

朝から晩まで4カ月、みっちりとパン作りの理論と実習を学びました。

パン作りは感覚だけでなく、なんのためにこれをやるのかと全て理論があり、

 

「パンは科学」

 

ということを深く理解しました。

素材の化学反応を使ってパンという製品を生み出す。

パンのことを深く知れば知るほど、自分がどんなパンを作りたいかはっきりしてきた。

 

「シンプルな素材で、シンプルな作り方で、味わいが染みる、身体に優しいパンを作りたい」

 

バケットのようなフランスパン・ドイツパンという二つの道がありましたが、シンプルな素材だけで、極端に言えばイーストなしでもパンが作れるドイツパンを選びました。

ここからが五十嵐さんの

「本物を追求したい」

と並々ならぬ行動力を発揮。

日本パン技術研究所を出た後に、ドイツでドイツパンを学ぼうと渡独。

まずは、語学研修を受けてドイツ人とコミュニケーションを取れるようになると、ドイツ国内で住み込みで働けるパン屋を探しました。

ドイツのバート・ノイェンアール=アールヴァイラーにあるパン屋で働きました。

バート・ノイェンアール=アールヴァイラーは、ドイツ南西部のラインラント=プファルツ州アールヴァイラー郡にある市。
同郡の郡庁所在地であり、温泉があり保養地としても有名。
アウトバーン 61によってケルンやマインツといった都市に接続している。
お店は、ドイツ人たちが働き、ドイツ人たちがお客さんとして来る、地域密着のお店。

五十嵐さんはそこで一年間働いていました。

それまで学んだ理論と、実際の現場の経験を融合させる貴重な期間となりました。

日本に帰国後にも日本のパン屋でも働き、そして、2022年11月に川越で「Leckerhof」をオープンしました。

 

原始的であり、本質的なパン作り。

 

ライ麦と塩と水、イースト。

 

「シンプルな素材で、シンプルな作り方で、味わいが染みる、身体に優しいパンを作りたい」

 

川越で味わえる、自家製酵母のドイツパン。

 

丁寧な、本当に丁寧な、手作業と時間を積み重ねて出来上がる、ドイツパンたちが待っています。

 

「Leckerhof(レッカーホーフ)」
川越市大袋新田572
毎週土曜日営業
10:00~15:00

※お店の前に駐車場あります
※HP、SNSなどはなし