「REMIX」とは、そのまま訳せば再び混ぜ合わせることで、音楽的には、複数のトラックに録音された既存の楽曲の音素材を再構成したり様々な加工を加えることによって、その曲の新たなバージョンを製作すること。既にある様々な価値を再構成し、新たな形に作り上げ、新しい価値を提示する試み。
ものの見え方は、角度や見せ方を少し変えるだけで全く別のものに見えたりするのはよくあること。見慣れたものでも、編集の仕方で新たな価値を生み出すことにもなるのだ。
既にある価値あるものを活かすREMIXという手法は、今の時代らしい取り組み方とも言える。
特に川越の場合、新しいものを開発する以上に、既に魅力的な場所やお店などが街の至る所に点在している状況で、なおさら、新しいものを生み出すよりも今ある既存資産をどう活かすのか、見せるのかが課題となっている。
「REMIX」という手法は川越という街にふさわしく、これからの川越にも大事な視点であると言えた。
川越の魅力的なスポットを活かし、食や音楽や灯りといったものと組み合わせ、再編集し、夜の新しい川越の姿を提示する。
川越の夜の活性化のために、毎年開催されているのが「食と音と灯りの融合 Kawagoe REMIX」。
「食と音と灯りの融合 Kawagoe REMIX」
主催：食と音と灯りの融合実行委員会
川越市・川越商工会議所・公益社団法人 小江戸川越観光協会・株式会社まちづくり川越・川越一番街商業協同組合・昭和の街の会・ＡＭＦ（アマチュア・ミュージック・フェスティバル）実行委員会・ＮＰＯ法人川越蔵の会・川越中央商店振興会
これまでは11月に開催されることが多く、数多くの試みが見られてきたKawagoe REMIX。
（川越style「食と音と灯りの融合Kawagoe REMIX 2017」2017年11月
https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12327141306.html）
2018年は街の夜散策に適した季節に移行、初の9月開催となりました。
食と音と灯りの融合 Kawagoe REMIXは、2018年9月8日(土)〜9月9日(日)をメインとして、蓮馨寺、養寿院、一番街の周辺を中心に、3つの催しが同時開催される構成となっているのが特徴。
それが、
■「小江戸川越ライトアップ」
■「KAWAGOE LIVE（カワゴエライブ）」
■「川越蔵まちバル」
催しの内容から分かる通り、ライトアップは灯り、LIVEは音、まちバルは食、この3つの力で夜の活性化を図ろうというのがREMIXの主旨。
ゆえに、タイトルが「食と音と灯りの融合」であり、3つを再編集して見せる意味で「REMIX」でした。
川越の一番街周辺の観光地の連日の賑わいはもうそれが日常風景になっており、活気溢れる街として認知されているのはご存知の通り。
しかし、夕方以降になるとお店が閉店し（夕方からオープンするお店もある）人の往来が減るのが川越の現状、昼と夜の対比がくっきりしているのが課題として叫ばれてきた。
川越は日帰り観光が浸透していますが（気軽に日帰り旅行ができるという面で発展した面もありますが）、川越の魅力は日中だけでは体験し尽くせるものではない、宿泊・滞在して長く居れば居るほど楽しさが分かることが知られていない現状。川越に住んでいる人を見てください、右を見ても左を見てもみんな川越愛溢れる市民ばかり。住めば、宿泊・滞在すればするほど必然的にそうなっていく街であることは確か。ゆえに、川越として宿泊・滞在に繋がる夜の活性化に取り組むのも必然的でありました。
それに繋がる最近の動きとして、2020年東京オリンピックに向けて、川越市内のホテルのオープンが続々と控えています。もちろん老舗旅館もあり、「古民家 惠比壽屋」のような民泊、それから近日オープンする川越のゲストハウス「ちゃぶだい」も含め、宿泊・滞在体制のハード面は整いつつある。
そこへ、夜のソフト面も充実を図ろうと街の機運を高め続けているのが、「食と音と灯りの融合 Kawagoe REMIX」。
川越はイベントが多い街であるのはよく知られていますが、それがほとんどが日中のイベント。
夜のイベントがない中での開催という面も、Kawagoe REMIXにはありました。
「小江戸川越ライトアップ」は、9月8日（土）から9月9日（日）まで、午後6時00分から午後10時00分 埼玉りそな銀行・川越商工会議所がライトアップ。
また、今回大きな反響を呼んだのが、初の試み、9月3日（月曜）から9月9日（日曜）午後5時30分から午後8時30分 旧山崎家別邸で立体映像体験（プロジェクションマッピング）も開催しました。一般100円/高・大学生50円/中学生以下無料
川越市「旧山崎家別邸」
住所：川越市松江町2丁目7番地8
https://www.city.kawagoe.saitama.jp/smph/welcome/kankospot/kurazukurizone/kyuyamazakike.html
『旧山崎家別邸は、川越の老舗菓子屋「亀屋」の五代目である山崎嘉七氏の隠居所として建てられました。山崎家は、信州高井郡下笠原村（現在の長野県中野市）出身の初代嘉七氏が安永元年（1772年）ごろに川越に来て上菓子製造業の亀屋清右衛門のもとで修行し、天明3年（1783年）に「亀屋」の暖簾を許され創業したと伝わっています。
四代目嘉七氏は、明治11年（1878年）第八十五国立銀行の創立に関わり、当時の川越経済界を主導する存在でした。
川越の私的迎賓館。五代目である山崎嘉七氏の隠居所として建築された別邸ですが、陸軍大演習などで川越付近に訪れた皇族方がご宿泊されることもありました。現在の庭には、昭和4年に川越へ訪れた李王垠（りおうぎん）殿下のお手植えの松が残されています。』
旧山崎家別邸がプロジェクションマッピングに使われるという普段では考えられないかつてない取り組み。建物に映し出される映像の物語とBGM。幻想的な光景に、多くの人が魅入られていました。
初の試みというのは、旧山崎家別邸でということで、プロジェクションマッピング自体は川越REMIXで行われていたことを憶えているでしょうか。2013年のKawagoe REMIXにおいて、一番街通りにある山吉ビルの建物全体を使って行われたプロジェクションマッピング。
（2013年川越REMIX 山吉ビルのプロジェクションマッピング）
プロジェクションマッピングというものが広く知られるようになった当時に既に川越では試みられていたという事実。川越でプロジェクションマッピングと言えば、この当時の斬新なチャレンジを思い出す人も多いでしょう。
旧山崎家別邸を川越の観光スポットとして認知させたい狙いとも合致し、あれ以来の川越REMIXでのプロジェクションマッピングが、旧山崎家別邸でした。
庭園もライトアップされ、建物に投影される幻想的なプロジェクションマッピングに、そして邸内で映像を目の当たりにできる仕掛けに、来場者は目を輝かせながら見入ってのでした。
ちなみにこれに合わせて普段は立ち入り禁止となっている別邸二階も公開され、二階から見下ろす景色も格別なものでした。
「KAWAGOE LIVE（カワゴエライブ）」は、地元川越に縁（ゆかり）のあるアーティスト（大学及び市内アマチュア音楽団体等）たちが、川越の街を舞台にライブパフォーマンスを繰り広げます。
会期：2018年9月8日(土)〜9月9日(日) 15:00〜20:00
場所：蓮馨寺境内15:00～20:00 / 養寿院山門前18:00～
9月8日（土）ライブプログラム
・蓮馨寺境内
１６：１５～１７：００ 「野津昌太朗トリオ」ジャズバンド
１７：１５～１８：００ 「尚美学園大学強化指定サークル 新・音楽集団 匠」合唱（童謡・唱歌）
１８：１５～１９：００「シンガー ERIKO」大人のポップス＆洋楽カバー
１９：１５～２０：００ 「EcKoto-エコット」男性箏トリオ
・養寿院山門前
１８：００～ 「大戸幹夫トリオ＆Ridia」ジャズバンド＆ボーカル
（wb.）大戸幹夫、（pf.）村山俊哉、（vo.）Ridia、（sax.）日野林晋
９月９日（日）ライブプログラム
・蓮馨寺境内
１５：１５～１６：００「35-string-サンゴストリング」25弦箏＆10弦ギター
１６：１５～１７：００「後藤美幸＆Felicity」女性ゴスペルシンガー（6人）
１７：１５～１８：００「毛利哲也カルテット」Jazz Quartet
１８：１５～１９：００「東邦音楽大学 金管五重奏」クラシックからジャズまで
１９：１５～２０：００「浅葉裕文カルテット」Jazz Quartet
・養寿院山門前
１８：００～「吉田和雄トリオ＆竹生会囃子連」ジャズボーカル＆祭り囃子
・蓮馨寺境内
１５：１５～１６：００「35-string-サンゴストリング」25弦箏＆10弦ギター
１７：１５～１８：００「毛利哲也カルテット」Jazz Quartet
１８：１５～１９：００「東邦音楽大学 金管五重奏」クラシックからジャズまで
１９：１５～２０：００「浅葉裕文カルテット」Jazz Quartet
・養寿院山門前
１８：００～「吉田和雄トリオ＆竹生会囃子連」ジャズボーカル＆祭り囃子
また、蓮馨寺境内では音楽と共に飲食を楽しんでもらおうと、周辺の「川越 昭和の街」のお店、・トシノコーヒー、・麺屋MANI、・彩乃菓、・大黒屋食堂、・ラフォアーが出店。Kawagoe REMIXでは昨年に引き続きの昭和の街との連携。蓮馨寺境内でイベントがある時には、昭和の街が連携することが多くなりました。
昭和の街の会としては2018年9月2日にここ蓮馨寺をメイン会場に主催イベント「昭和の街の感謝祭」を開催し、その翌週にKAWAGOE LIVEの境内に出店と、2週続けてイベント出店。こんなにもフットワーク良い会は他にない。
（川越style「昭和の街の感謝祭2018」蓮馨寺および川越昭和の街界隈 2018年9月2日
https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12402816923.html）
夜の楽しみに食事は欠かせない。
川越内で大々的に行われる「バル」として、Kawagoe REMIXの「川越蔵まちバル」が知られる。
（南大塚の「街バル」のように商店街単位で行われているバルはありますが、商店街横断的に広範囲で行われているのは川越ではこれだけになる）
Kawagoe REMIXでは、夜の散策をまちバルという形で促そうとし、目玉企画として継続されています。
川越蔵まちバルは、3枚綴りのチケットを手に入れて参加店でバルメニューを楽しむことができるというもの。
まちバルという形式により、お店に入る敷居がぐっと下がり、お試し的にお店を体験でき、さらにお店をはしごしてお店巡りをできるという利点がある。
「川越蔵まちバル8」応募券付きチケット３枚綴りは、前売券は2,000円。
販売期間：8月16日（木）〜9月5日（水）
販売場所：川越駅観光案内所 本川越駅観光案内所 仲町観光案内所 小江戸蔵里 小江戸川越観光協会 バル参加店舗（一部）でも販売
当日券 2,100円は、販売期間：9月6日（木）〜9月9日（日）
販売場所：川越駅観光案内所 本川越駅観光案内所 仲町観光案内所 小江戸蔵里 小江戸川越観光協会 バル参加店舗（一部）でも販売していました。
また、バルが終了した後もチケットを「後バル」として、９月１０日（月）～９月２４日（祝・月）の期間中、参加店舗で１枚７００円の金券として使うことができました。
お店にとっても、自店を知ってもらうチャンスと捉え、バル特別メニューを用意しているお店が多く、気軽さ以上に特別感溢れているのが川越蔵まちバル。
さらに別の面から飲食店は俄然やる気になっていたのが、まちバル。
それが、昨年2017年から導入された催し、お客さんの投票によるまちバルランキングです。
「お客様が選ぶ☆川越蔵まちバルランキング」。
川越蔵まちバルを利用し、お気に入りのお店を投票してもらう。1位に投票した人には抽選で3名に5,000円分の商品券がプレゼントされました。
「第1回川越蔵まちバルランキング投票結果（2017年度）」
第1位：ビストロ岡田
第2位：カフェヴィーノ
第3位：幸すし
2018年度の川越蔵まちバルにおいても、自店を知ってもらうきっかけとして、また、バルランキング第1位を目指して、モチベーションを高めていたのだった。各店は今年の参加は40店。
蔵まちバルの参加店一覧
川越市内飲食店舗（４０店舗）
1. ワインスタンドPON！
2. Bistro Cache Cache（ビストロ カシュ カシュ）
3. ビストロ岡田
4. HATSUNEYA GARDEN
5. かぶや
6. 花むすび
7. 勢〆酒店
8. うどん 土麦
9. Te’PAN Le OMUS
10. Mie Coco
11. PIZZERIA ROCCO（ピッツェリア ロッコ）
12. カフェ エレバート
13. 大黒屋食堂
14. 岡野屋
15. セサミキッチン
16. MIKURIYA grill＆bar（ミクリヤグリルアンドバー）
17. ウッドベイカーズ川越店
18. ひびき庵 別館 川越駅東口店
19. ひびき庵 別館 本川越駅前店
20. 連雀町 炭火やきとり もとはし
21. 小江戸蔵里 八州亭
22. いちき クレアモール店
23. 六軒町 炭火やきとり もとはし
24. 川越 幸すし
25. 洋食屋ヴィーノ
26. 小江戸蔵里 ききざけ処
27. すき亭 吉寅
28. ミオ・カザロ 蔵のまち店
29. おおわだ
30. MOANA café＆diner
31. CHINCHOGE CAFÉ/BAR
32. 太麺やきそば まことや
33. イタリアン酒場 TAKEYA 本川越店
34. 炉端いっしょけんめい
35. 六軒町一丁目商店
36. 六軒町バルMISMO
37. 料亭 源氏家
38. 麺処 わこう
39. La Foire（ラ フォアー）
40. KOEDO LOUNGE by Market TERRACE
（小江戸蔵里 ききざけ処のバルメニュー）
（ミオ・カザロ 蔵のまち店のバルメニュー）
（PIZZERIA ROCCO（ピッツェリア ロッコ）のバルメニュー）
・・・と、Kawagoe REMIXの様子をぐるりと見回した後に、ここで、「食と音と灯りの融合 Kawagoe REMIX」をこれだけで捉えるのではなく、もっと大きな視野で「食と音と灯りの融合 Kawagoe REMIX」を考えてみましょう。
そこに、川越としての壮大なまちづくりの挑戦があることが分かります。
そしてその中に、Kawagoe REMIXが含まれるものなのだと気付くことができる。
昨年まで11月に開催されていたKawagoe REMIXが、なぜ今年は9月になったのか。
もっと言えば、9月の8日、9日に設定したのはなぜなのか。
もちろん、11月に比べ夜の散策がしやすい季節であることは間違いない。
理由はそれだけなのか。いや、実はこの時期に川越の商店街を中心に夜の活性化事業が行われており、それを意識し、それに合わせた側面があることも忘れてはならない。
まず、今や川越の夏の風物詩で大きな行事としてご存知、川越氷川神社の「縁むすび風鈴」があります。
川越氷川神社「縁むすび風鈴」
平成30年7月7日（土）〜9月9日（日）
縁むすび風鈴では、「神社のあかりを、まちへ」と題して、 「恋あかり」を実施。
9月8日、9日の縁むすび風鈴最後の二日間も恋あかりのぼんぼりを特別頒布していた。
川越氷川神社縁むすび風鈴、恋あかりの影響は大きく、川越の街の動きを変えたほどで、川越氷川神社からの流れで夜の川越に観光客、街歩きが増えたことは画期的なことだった。
その動きを後押ししようと、中心市街地の商店街が大型連携を組んでいるのが近年。
「縁結び川越 夏の夜を楽しもう！よる×2まっぷ配布」。
川越一番街商業協同組合、鐘突通り商店街、大正浪漫夢通り商店街振興組合、中央通り「昭和の街」を楽しく賑やかなまちにする会が連携し、縁結び川越応援隊として夜の川越の魅力を発信すべく「よる×2まっぷ」を作成し配布した。
これは、夜営業しているお店を紹介したマップで、さらに、川越氷川神社の縁むすび風鈴期間中、通常営業時間を延長して夜営業「夜カフェ」を実施するお店を紹介したリーフレットとなっていた。
特に今年はこれまでにない力の入れようで、商店街連携によりフォトスポット企画を行って大きな話題となりました。
それが、「縁結びシルエット」
川越一番街＆大正浪漫通り＆昭和の街エリアに、組み合わせて楽しい光のフォトスポットが登場。離れ離れの『織姫』『彦星』『おきつね様』を撮影して並べて出逢わせてあげるという内容。
フォトスポットは全部で４か所。
川越幸すし・埼玉りそな銀行・川越商工会議所(北側)・蓮馨寺(本堂横)
『４か所すべてのフォトスポットを回った方には限定ノベルティをプレゼントいたします♪』
【引換期間】2018年7月14日～2018年9月9日
【受付時間】19時～22時／1日先着５名
【引換店舗】レレレノレコード（川越市連雀町8-2-2）蓮馨寺山門目の前です
※木曜のみ うどん土麦（川越市連雀町9-1）にて21時まで受付
川越氷川神社の「縁むすび風鈴」、そして商店街による「縁結びシルエット」が、9月9日までであり、「食と音と灯りの融合 Kawagoe REMIX」は、つまり、この最後の週末二日間に開催されたものでした。
偶然ではなくもちろん合わせたもので、これまで夏の縁むすび風鈴、冬の Kawagoe REMIXと分かれたものを Kawagoe REMIXの時期を移行し合わせ大きな発信にしようとした。
その結果、2018年9月8日、9日というのは、縁むすび風鈴の最後の二日間であり、縁むすびシルエットの最後の二日間であり、そして、「食と音と灯りの融合 Kawagoe REMIX」で小江戸川越ライトアップ、KAWAGOE LIVE（カワゴエライブ）、川越蔵まちバル8が行われと、かつてないないあり得ないようなコラボレーションが実現していたのです。
川越の夜の活性化のために街一丸となって取り組んだ2018年。
これまで様々なチャレンジが行われてきた「食と音と灯りの融合 Kawagoe REMIX」。
これからも川越の魅力をREMIXして、川越の夜の活性化、川越の新鮮な見え方を提示していくはずです。
「食と音と灯りの融合 Kawagoe REMIX」
