「川越はどれだけ暑いのか」。
実感ではなく、実測をもって数値で川越の熱さの現状を調査しようとするツアーが行われました。
2020年8月5日、川越市環境政策課主催による.「まち歩き暑さ測定ツアー」。
川越市環境政策課では、気温等観測調査「川越の暑さを測る」と題して、「黒球式熱中症指数計レンタル」、「まち歩き暑さ測定ツアー」調査を毎年実施しています。
そのうちの一つが、「まち歩き暑さ測定ツアー」です。
■気温等観測調査「川越の暑さを測る」(市民環境調査)
『川越市では、環境に関する基礎データを収集することを目的に、市民の皆さんに参加していただく「市民環境調査」を行っています。
今回は「川越の暑さを測る」をテーマに2つの調査を行います。
調査はどれか一つからでも参加できます。
市内の暑さ測定や、夏の暑さ対策などをとおして、身近な環境問題について考えてみませんか。』
1.黒球式熱中症指数計レンタル
内容
熱中症の危険度をはかる熱中症指数計を貸与し、自宅や学校付近の熱中症危険度の測定と、体感による評価を行い、データを御提供いただきます。
対象:市内在住者
貸与:期間8月3日(月曜)から8月31日(月曜)のうち最長1週間
申し込み:8月3日(月曜)、午前10時より環境政策課受付 電話:049-224-5866(直通)
貸出及び返却場所:川越市役所5階環境政策課
黒球式熱中症指数計
調査に使用する黒球式熱中症指数計
2.まち歩き暑さ測定ツアー
内容
『実際にまちなかを歩き、数か所の測定ポイント及びポイント間をつなぐ沿道において、WBGT値(暑さ指数)等を測定し、その場所の体感評価を行います。』
日時:令和2年8月5日(水曜) 午前10時から正午
注記:実際に歩く時間は1時間程度を予定しています。
当日の天候次第では、陽射しの厳しいなかを歩くことも想定されます。
健康面に不安のある方は、ご遠慮ください。
対象:市内在住・在勤・在学の小学4年生以上の方(小学生は保護者同伴)
定員:15人(先着)
参加費:無料
申込期間:令和2年7月1日(水曜)午前10時から電話にて環境政策課受付 電話:049-224-5866(直通)
注記:新型コロナウイルス感染症等によって変更になる場合もございます。
■予定コース・チェックポイント
仙波河岸史跡公園-
-仙波氷川神社
-富士見町公園
-国道16号交差点
-仙波河岸史跡公園(仙波愛宕神社、自然観察湿性地)
-岸町一丁目児童遊園
-新河岸川周辺
-仙波河岸史跡公園(河岸場跡)
気温等観測調査「川越の暑さを測る」(市民環境調査)
問い合わせ
環境部 環境政策課 環境推進担当
〒350-8601 川越市元町1丁目3番地1
電話番号:049-224-5866(直通)
ファクス:049-225-9800
川越には、気象庁の地域気象観測システムの「アメダス」がない。
埼玉県のアメダスは、さいたま、越谷、鴻巣、久喜、所沢、飯能、鳩山、熊谷、ときがわ、浦山、秩父、寄居、三峰、上吉田にあり、ここで計測された数値が公式のものとして一般に発表され、2018年の熊谷市での41.1度という観測史上最高の「観測」というのはアメダスで記録されたものでした。
2018年7月。
太平洋高気圧の上にチベット高気圧が重なり、気温が高い状態が続き、7月23日、日本列島は広い範囲で高気圧に覆われ、午後2時23分に埼玉県熊谷市で国内の観測史上最高となる41.1度を記録した。午後1時29分には東京都青梅市で都内初の40度超えとなる40.8度を記録。その後、1時40分に岐阜県多治見市でも40.7度を記録するなど、各地で猛烈な暑さとなった。
川越は暑い暑いと言われても、アメダスがないため全て非公式記録になってしまうのが現状。
しかし、川越の人の実感としては、川越はやはり、暑い。
非公式ながら気温を見れば熊谷市と変わらない数値が川越。
川越は内陸部で東京のような海風がない、さらにフェーン現象の影響が大きく、気温が上昇しやすい土地です。
では、川越は本当に暑いのか。
どこまで暑いのか。
どういうポイントが暑いのか。
街の中を実際に歩きながら、川越の暑さを測定して実体を探ろうとしたのが恒例の「まち歩き暑さ測定ツアー」。
川越市が実施している「川越の暑さを測る」の「黒球式熱中症指数計レンタル」、「まち歩き暑さ測定ツアー」の気温等観測調査のうち、「まち歩き暑さ測定ツアー」は、実際に市内を歩きながら各地の気温等観測調査を参加者自身が行って記入していくというもの。
参加者人数分のデータが集まることになります。
2014年から毎年開催され、歩くコースもその年により変わります。
これまでのツアーコースは、菓子屋横丁や濯紫公園などを回るコース、川越城富士見櫓跡(浅間神社)-三芳野神社-川越市立博物館前-初雁中学校横を回るコースなど様々です。
(以前開催された「まち歩き暑さ測定ツアー」)
まち歩き暑さ測定ツアーの募集は川越市広報の他、川越市のサイトでも行われ、内容の主旨から環境意識が高い参加者が多く、環境団体「かわごえ環境ネット」の面々が多く参加していました。
かわごえ環境ネットの事務局は市の環境政策課にあります。
かわごえ環境ネットは、毎年ウェスタ川越で「かわごえ環境フォーラム」を開催している団体でもあります。
(川越style「第16回かわごえ環境フォーラム」2018年2月25日かわごえ環境ネット
https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12356385330.html)
2020年の「まち歩き暑さ測定ツアー」は、仙波河岸史跡公園をスタート・ゴール地点として周辺地域を測定しました。
気温等観測調査のために重要なツールとなるのが、熱中症の危険度が視覚や音で分かる黒球式熱中症指数計「熱中アラーム」 。
黒球式熱中症指数計熱中アラームは、暑さの指標「WBGT(℃)値」、気温、湿度。輻射熱を表示。
熱中症発症にかかわる要因の「輻射熱(日射や路面から照り返しによる熱)」を測定し、「黒球温度」と「温度」と「湿度」を加味したその場所の熱中症の危険度を表示します。
「屋内で日射のない場合」 と「屋外で日射がある場合」を自動で判別して、暑さの指標「WBGT(℃)値」を表示します。
WBGT(湿球黒球温度)とは・・・
暑さの厳しさの程度を示す指数で、熱中症予防の指数として用いられています。
気温だけでなく、汗のかき方に関係する湿度・日射・照り返しなどの輻射熱を取り入れて計算されます。
他に、4段階の熱中症予防指針をそれぞれ3つに分け12のレベルバーで表示、4種類の警告アラームでお知らせとうい機能もありました。
熱中症は高温、多湿、風が弱い、輻射熱があるなどの環境で発生しやすくなります。そのため、その場所の気温や湿度をチェックすることも大切です。
日差しの下なのか木陰なのか、アスファルトの上なのか芝生の上なのかで、暑さの感じ方が違うように、熱中症発症に関わる要因は日射や路面から照り返しによる熱(輻射熱)も関係しているのです。
参加者各自に黒球式熱中症指数計が支給され、それぞれが各チェックポイントで測定します。
ちなみに、環境政策課の3つの調査の一つ、.「黒球式熱中症指数計レンタル」も同様のものを使用します。熱中症指数計を貸与し、自宅や学校付近の熱中症危険度の測定と、体感による評価を行い、データを提供するというもの。
まち歩き暑さ測定ツアーは、調査の概要として、1.5km程度のコースを歩き、9ヵ所のチェックポイントで気温等を計測・記録します。
■予定コース・チェックポイント
仙波河岸史跡公園-
-仙波氷川神社
-富士見町公園
-国道16号交差点
-仙波河岸史跡公園(仙波愛宕神社、自然観察湿性地)
-岸町一丁目児童遊園
-新河岸川周辺
-仙波河岸史跡公園(河岸場跡)
今年のコースは、川越の中心市街地から少し離れた仙波河岸史跡公園周辺。
仙波河岸史跡公園と言えば、川越の中でもクールスポットのイメージがありますが、実際にはどうなのか。数値でその涼しさを測定します。
出発前に川越市環境政策課による挨拶があり、参加者にはエコバッグやタオル、ペットボトルの水、調査記入用紙が配布されました。
10時、出発地の仙波河岸史跡公園がまず第一チェックポイントで測定。黒球式熱中症指数計の数値の他に、自分が感じる体感調査も記入します。
仙波河岸史跡公園のこの時の気温は30℃。気温は高いですが、木々が多いため体感では涼しさを感じる。
いざ、川越の暑さを測定するために仙波河岸史跡公園を出た一行は、次のチェックポイント「仙波氷川神社」へ。
境内で黒球式熱中症指数計で計測された暑さ指数(WBGT)、気温、湿度を表に記入していく。
他に、別に計測した体表温度、風速も記入していきます。体表温度は肌の表面の温度で、気温より1度ほど高くなる傾向があります。数値以外に体感調査も毎回記入。
仙波河岸史跡公園から仙波氷川神社から数百メートル歩いただけで微妙に数値が変わり、気温はほぼ変わらない30.5℃ですが、湿度が下がっているのを確認。
仙波氷川神社から次のチェックポイント「富士見町公園」に進む一行。直射日光が当たるとぐんぐん気温計測が上がっていきます。
公園では一気に気温が上昇。33.5℃を計測しました。日陰がないと気温が高くなり、体感としても暑く感じる。
富士見町交差点からほど近くにある次のチェックポイントが、「国道16号交差点」。
ここは今回のまち歩き測定ツアーで最も暑いだろうポイント。直射日光が当たり路面も熱くなっています。
測定すると、やはり他のチェックポイントとは明らかに数値が違います。
気温は34℃を計測。暑さ指数も29℃となり、やはり暑いポイント。
そして、再び仙波河岸史跡公園へ。公園内の別のチェックポイント、「仙波愛宕神社」と「自然観察湿性地」。
木々が作る木陰、ここは見るからに涼しそうという印象通り、黒球式熱中症指数計で計測しても過ごしやすい数値、川越では貴重なオアシスでしょう。
こうして数値から見る川越市内のオアシスを探すというのも楽しい切り口かも。
一同から「涼しい~!」と声があがる。日陰は体感で涼しいですが、では数値はどう変わるのかというみなの興味は、数値に見事に表れ、暑さ指数、気温、体表温度などがぐんと下がりました。
体表温度が1度下がったのが印象的。
木々あるとこんなにも数値としての過ごしやすさが変わるのでした。
仙波河岸史跡公園の近くにあるチェックポイント、「岸町一丁目児童遊園」と「新河岸川周辺」。
新河岸川周辺は、直射日光で時間も進んで11時となっていたため、このツアーの最高気温34.3℃を計測。暑さ指数も30℃を超えて、最も「暑い」ポイントとなりました。
最後は仙波河岸史跡公園に戻ってきて、河岸場跡で測定しました。
ここで気温が2℃近く下がることを確認。日陰のありがたさを実感したのでした。
ぐるりと仙波河岸史跡公園を1時間ほどかけて回り、各チェックポイントの気温等観測調査をしていったまち歩き暑さ測定ツアー。
午前中のツアーでしたが、気温は14時~16時頃に最高に達することが多いため、この日も午後には36℃超えまで上昇していました。
川越は暑い、と言いつつも、こうしてまち歩き暑さ測定ツアーをしてみると、厳密に言えば細かい場所場所で暑さ指数が変わることが分かり、全ての場所が暑いわけではないことが分かる。
まち歩きも意識を持って工夫すれば、歩きやすさが違ってくる。
暑さ対策を生活に採り入れ、生活スタイルを考える時かもしれません。
暑さの中で暮らしを考える。
■気温等観測調査「川越の暑さを測る」(市民環境調査)
1.黒球式熱中症指数計レンタル
2.まち歩き暑さ測定ツアー
川越市環境部 環境政策課 環境推進担当
〒350-8601 川越市元町1丁目3番地1
電話番号:049-224-5866(直通)
ファクス:049-225-9800