川越style「川越藩奉行所 見廻り(みまわり)組」夜の川越の魅力をPR 第二・四土曜夕方見廻り | 「小江戸川越STYLE」

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「時が人を結ぶまち川越」
川越の人、もの、こと。地元に密着した地元人が地元人に向けて川越物語を伝えるメディア。
川越は暮らしてこそ楽しい街。
川越の様々なまちづくり活動に従事しています。
「小江戸川越STYLE」代表:石川真

 


川越の一番街から、「そうび 木のアトリエ」さんがある角から菓子屋横丁方面へ向かう脇道の先、突き当りにあるのが養寿院。

そして、養寿院の少し手前左手にあるレトロ建物のお店が、「小江戸川越屋」。古き良きアンティーク品から昭和の懐かし物・レトログッズまで取り揃えるアンティークショップです。

 

「小江戸川越屋」
川越市幸町9-2
11;00~17:00
月曜日休み
アンティークショップの姿から一転、裏側に回るとお店の協力で一角が特別な場所として設えられている。ここが見廻り組の出発地点であり、ゴール地点。活動の拠点のようになっている場所・お店なのだ。

時刻は17時半を過ぎ、この日も集まってきた面々が淡々と準備を進めていた。

大事なお役目のために。川越の街を見廻るために。

静かな佇まいに熱い想いが漲っているようだった。

 

 

身支度を整え、定刻の18時になるといよいよ出発。

養寿門前に集結した面々は、「自分たちがこの街を守る」、これから川越の街を見廻る決意を胸に凛々しい表情を見せていた。

当然ながら、菓子屋予横丁に近い養寿院という場所に居ると、その姿を目ざとく見つけた観光客がわっと集まってあっという間に記念写真タイムのようになっていく。見廻り組と一緒に撮れるというのも貴重な機会でしょう。活動そのものは真剣なので、一見強面に見えますが、こうして立ち止まっているタイミングなら気さくに写真撮影に応じてくれます。

見廻り組の本格的な活動は夕方以降で、夕方と言えど今の川越は観光客の姿がまだ見受けられる状況、故に街の安全のためにも見廻り組の活動は求められているのだ。

寺田奉行が、おもむろに拍子木を取り出して「カーン!カーン!」と高らかに打ち鳴らす。

それを合図に、一行は街へ繰り出していくのだった。

養寿院前を出発した一行は、歩きながら拍子木を打つ奉行を中心に、参道を真っ直ぐ進んで一番街方面へ。

 

 

 

川越の街の風景になんともしっくりくる見廻り組の一行。

遠くから聞こえてくる拍子木の音、火が入った提灯の灯りが遠くに見え、何事かと目を遣る観光客。一番街に姿を現すと、ここでもやはり注目の的。観光客が一行の後をついていき、すかさずカメラを向けているのも毎回恒例。何か特別なイベントが行われているんじゃ?と思う人が多いようですが、見廻り組にとってはこれは大事なお役目。面々のきりりと鋭い目付き、真一文字に結んだ口元から、単なる賑やかしのイベントでないオーラは周囲に伝わるようで、その本気さにまた惹き込まれていくようだった。それにしても、たまたまこの日に川越に来て、見廻り組を見れたというのはなんという幸運でしょう。!

 

 

 

 

 

見廻り組は札の辻まで見廻ると、今度は一番街をゆっくりと南下していく。夕方に店仕舞いをするお店があちこちにありながらも、まだまだ人の多い一番街。こうした見廻り組の活動は欠かせないものなのだ。

「カーン!カーン!」

拍子木の音を聞きつけたお店の人が表に出てきて、見廻り組の一行に「ご苦労様です」と挨拶をしている。この地で商いを営む商人にとっても心強い存在が川越藩奉行所 見廻り組。

日中、一番街を浴衣・着物姿の人が歩く光景はもうすでに川越で定着し、蔵造りの建物の街並みにより風情を醸していますが、そこから時間が進み、夕方になると街に登場するのが、川越藩奉行所 見廻り組。

という、日中から夕方、夜に至るまで、川越はタイムスリップ感に溢れた街。

浴衣・着物姿の人に一般観光客は川越らしさを感じていると思いますが、それ以上に通りの人の度肝を抜くのが見廻り組でしょう。

夜の一番街、そこを静かに見廻って歩く一行。このような光景、他の街では絶対に見ることができない。

街を隈なく見廻るために、一番街から鐘つき通りに入って行く。川越のシンボル時の鐘の下を進みながら、街の異常はないか周囲に目を光らせる。

ただでさえ時の鐘は川越的写真スポットでカメラを向ける人が多い中で、そこに見廻り組が拍子木を鳴らしながらやって来たものだから、辺りは騒然になるのが自然。時の鐘を背景に一緒にフレームに収めようと人が駆け回っている。「さすが川越、奉行所がまだ健在で、見廻り組が街を守っているのか・・・これが川越なのか・・・!」と感嘆の声が観光客から漏れる。川越の底知れぬ魅力に感じ入っているようでした。

 

という、一体この一行は・・・??

川越の街の安全と治安を守るために、さらに夜の川越の魅力を知ってもらうために、毎月第二・第四土曜日に川越市内中心部で活動しているのが、「川越藩奉行所 見廻り(みまわり)組」。

偶然遭遇した人による見廻り組目撃談がSNSで報告されて憶測が飛び交っていますが、活動日は固定されているので、予定を合わせれば一行を確実に見ることができる。
結成したのは、川越でお馴染み、「川越藩火縄銃鉄砲隊保存会」会長の寺田勝広さん。川越市から小江戸川越観光親善大使に任命されている人。見廻り組では奉行役を務めます。


 

川越市の防火意識を促し、また、「夜の川越」という観光資源をPRしていこうと、江戸時代の火付け盗賊改めを模した「川越奉行所見廻(みまわ)り組」を発足。時代劇「鬼平犯科帳」を思わせる装束のメンバーが一番街や大正浪漫夢通り、クレアモールなどを見廻っていきます。2015年には菓子屋横丁の火災という悲しい出来事がありました。歴史的建造物が多い川越だからこそ、火の元に注意し、川越の街並みを大事に後世に残していく気運を高めたいという想いも籠めていました。

ちなみに、かつての川越藩にももちろん奉行所があり、今で言う警察署や裁判所の役目を果たしていました。働く人は公務を担う役人です。
寺田さんの今に繋がる川越藩奉行所 見廻り組の構想はもうずっと以前からあったものだった。前段として、今から約10年前に短期間川越で実施した火盗改めスタイルの防犯活動があり、それから時を経て2016年12月に改めて復活させ、名称を「川越奉行所見廻り組」と名付けた。

見廻り組は当初、毎月8、18、28日の「川越きものの日」に合わせて行ってきましたが、現在は毎月第二・第四土曜日に落ち着いている。
催しや活動は、1回、2回で終わりなら簡単、月に一度でも継続していくのは大変な苦労がある中で、これまで継続し続けてきたことが凄い。
継続してきたからこそ、今、川越藩奉行所 見廻り組の存在が街に認知され、応援、感謝されるようになって、いつの間にか街に欠かせないものになっているのだ。

ご存知のように日中は大勢の人で賑わう一番街、夕方になると行き交う人が途絶えますが、地元人からすると夜の一番街の街並みが素敵なのだと言われ続けていて、夜の誘客はずっと課題とされてきました。が、有効策が見当たらず、それなら自分たちがまず率先して夜の川越に目を向けさせようと立ち上がった川越藩奉行所 見廻り組。

川越奉行所見廻り組は固定された中心メンバー以外に誰でも参加することができるのが特徴です。

「川越奉行所見廻り組」

活動日:第二・第四土曜日

集合場所:「小江戸川越屋」(川越市幸町9-2)の裏側。

集合時間の目安:17時・17時半など夕方

集合時間は都度決まるので事前に寺田さんに確認を。一時間半ほど街を見廻ります。

参加費:1500円(衣装の貸し出しプラス終わったあとにお疲れ様!と夕飯もつきます)

連絡・問い合わせは寺田さんまで 090-9816-2623

 

これまで色んな人が参加してきた川越奉行所 見廻り組。男性だけかと思いきや女性も参加も毎回のようにあります。日本髪結髪の「和の手仕事屋」の関場さんも常連の一人。

見るのと参加するのとでは大違い、参加する側に回ることで、川越の街のことを改めて感じたり、今までとは違う川越の一面に触れることができると好評を博しています。

もちろん真面目な活動なので、川越を見廻る時は、川越の安全・治安を守るんだという心構えが必要ですが、非日常体験として楽しむこともできる。

街を見渡すと、川越には仮装を楽しむ文化も脈々とあることに気付き、「川越唐人揃い」、それに近年のハロウィンも大いに盛り上がる。活況を呈している浴衣・着物も、普段と違う服装で非日常を楽しむという気持ちが根底にあるかもしれない。

 

川越藩奉行所 見廻り組が正式に発足したのは2016年12月でしたが、今振り返れば、その年の3月に行った夜警巡回が大きな伏線になったと言えます。2016年3月、一番街商店街による「小江戸川越 江戸の日」が行われ、寺田さんは長谷川平蔵に扮し、「鬼平の火盗改」として一番街を夜警巡回しました。

 



 

(「二升五合市 小江戸川越江戸の日」一番街商店街2016年3月19日~26日

https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12147276726.html

 

寺田さんが川越藩奉行所 見廻り組とは別にこちらも中心となっているのが「川越藩火縄銃鉄砲隊保存会」。毎年3月の小江戸川越春まつり、7月の川越百万灯夏まつりで鉄砲隊演武を披露していることで知られている。
また、5月GWの蓮馨寺の小江戸川越春まつりフィナーレイベントでは、甲冑着用体験を行っていることも恒例です。

 

 

 


(「徳川家康公の鷹狩り行列」川越百万灯夏まつり2015年7月26日

https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12055783449.html

 

 

 

(2017年5月GWの蓮馨寺の小江戸川越春まつりフィナーレイベント)

考えてみれば、火縄銃鉄砲隊は演武や華やかな時代行列がありながら、その実、鉄砲隊による川越の街を守るパレードである面もあり、川越藩奉行所 見廻り組も同様の活動と言える。

鉄砲隊が日中なら、見廻り組が夕方以降の川越を守る。

蔵造りの建物や古い建物の街並み、ハードという面は充実している川越で、寺田さんは、それを活かしたソフトで川越の魅力を相乗的に高めようとしてきました。鉄砲隊も見廻り組も、どちらも徹底的にソフトを突き詰めようとしている。

ソフトの充実ということで言うと、一番街商店街の「小江戸川越 江戸の日」は、まさに商人たちによるソフトの充実というテーマがあり、ハード頼みだけではなく街としてソフトパワーを発信していこうとしている。

さらに言えば、寺田さんは一貫して、河越城を中心にして発展した「城下町 川越」を広く知ってもらう活動を続けてきたと言えます。寺田さんが関わるものには全て城下町 川越のテーマがあることに気付く。

そうそう、毎年6月の川越の一大お茶イベントである「茶あそび彩茶会」も寺田さんが立ち上げたものでした。

 

(第六回「茶あそび彩茶会川越大会」2016年6月12日川越の名所を巡るお茶体験

https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-11555788923.html

 

一番街を見廻る見廻り組の一行。今日の川越も何事もなく安泰のようだった。

 

 

一番街から仲町交差点を曲がり、大正浪漫夢通りへ進む一行。

日もとっぷりと暮れて、辺りは暗闇に包まれていく。この時間からさらに気を引き締めていこうとする見廻り組。ゆっくりと歩を進めながら、周囲の様子に目を光らせ神経を尖らせているようだった。

寺田奉行が打ち鳴らす拍子木の音を聞きつけた商人が表に出てきて、「ご苦労様です」と声をかける。

ここでも「川越らしいね」と通行人の注目の的の見廻り組、しかし面々は周りのざわめきは別の世界のことと気に留める風でもなく、表情を崩さず真っすぐ前を見据え、自分たちの世界を守りながら歩いて行くのだった。

 

 

 

 

 

 

大正浪漫夢通りからさらに南下して行く一行、県道川越日高線を越え、いつの間にかクレアモールに足を踏み入れようとしていた。

どこまで行くのだろう・・・

ここまでは、蔵造りの建物という背景や通りを歩く浴衣姿の人と時代的な一体感がありました。そして川越藩奉行所 見廻り組の伝われ方として古い街並みを背景に進む姿が使われることが多かった。それもそのはず、やはり見栄えがいいわけですから。

しかし。

見廻り組の活動は、一番街だけを見ることではない。

クレアモールというまさに近代に入って来たことで、見廻り組の存在感がよりくっきりと浮かび上がるよう。

「古い街並みも大事だが、川越はそれだけじゃない。今の時代に人で賑わうクレアモール周辺も見廻ることが大事なのだ」とここから先の道にも目を配る、見廻り組の細心さが感じられるようだった。

一番街のような「昔にタイムスリップしたみたい」という感ではなく、「昔の人がタイムスリップして来た」という感を漂わせながら、クレアモールに溢れる現代人が一行を振り返る。なぜここに!?と目を丸くする人がいる一方、既に川越で半年以上の回を重ねているので、知っている人は知っているようで声をかける人もいる。

小江戸蔵里を過ぎ、さらに店と人がひしめく通りへ入っていく見廻り組。クレアモールに鳴り響き拍子木の音。風景とのギャップに驚きつつも、一行の目は真剣そのもの。これだけの人が歩いている通り、より神経を研ぎ澄ませて見て歩かなければならないのだ、と気を引き締めているようでした。

 

 

 

 

 

 

 

角を曲がり、本川越駅方面へ。信号待ちで立ち止まっていると、周りの人がすかさず、「これはなんですか??」と話しかけていた。外国人に一緒に記念写真を頼まれることもあった。単にコスプレしている一行と思う人もいたでしょうが、担っていた任務は重大で真面目そのもの。彼らがいるから川越の街は平安を保てているのだ。(多分)。

本川越駅を折り返し点として今度は中央通りを北上して行く。

連雀町交差点から「川越昭和の街」へ。

昭和の街では蓮馨寺に立ち寄り、街の安泰を祈念する寺田奉行なのだった。

 

 

 

 

そしてまた、一番街をゆっくり北上して行き、札の辻を左折すると菓子屋横丁を見廻って、養寿院門前から拠点となっている小江戸川越屋に戻って来たのだった。たっぷりと約一時間半の行程で街を見廻った川越藩奉行所 見廻り組。

今日も川越は異常なし!と安堵の表情を見せていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

任を終えて緊張を解いた見廻り組の面々は、小江戸川越屋の裏の拠点で夕飯を共にするのだった。夕飯込みの活動なのです。この日は冷や汁うどんが振舞われました。仕事の後の冷や汁は最高!と声が挙がる。

 

 

川越奉行所見廻り組の活動はこれからも定期的に続いていきます。

川越の街を守るために、夜の川越の魅力を知ってもらうために。

観る側として、あるいは一緒に歩く側として、どちらにしても川越のディープに触れることができるでしょう。

 

彼らがいる、川越は安泰なのだ。

 

「川越奉行所見廻り組」

活動日:第二・第四土曜日夕方~。

集合場所:「小江戸川越屋」(川越市幸町9-2)の裏側。

集合時間の目安:17時・17時半など夕方

集合時間は都度決まるので事前に寺田さんに確認を。一時間半ほど街を見廻ります。

参加費:1500円(衣装の貸し出しプラス終わったあとにお疲れ様!と夕飯もつきます)

連絡・問い合わせは寺田さんまで 090-9816-2623