朝9時に集合したスタッフは、
イベントのためにテントを移動 テーブルセッティングし、コーン設置していく。
また別の人は、竈に火を入れ お米を蒸かし始めていった。
また別のテントでは、具材の確認、準備等、
てきぱきと準備に取り掛かっていきました。
何をすればいいですか?ではなく、自分ができることをそれぞれが自分で見つけて、動いていく。
今年はどんなことをやらかし、どんなドラマが生まれるのでしょう。
きっと今回も最高の餅つきになるはずだった。
スタートの時間まであともう少し。。。
今や川越最大の餅つきイベントであり、市民発で市民が創り上げる市民祭のようなイベントが・・・
1月23日(土)「小江戸蔵里もちつき大会」11:00~14:00頃
今年で3回目となったイベントは、毎回川越で旋風を巻き起こし、
川越ってこんなこともやっちゃうんだ、できちゃうんだ、と川越の可能性を切り拓き続けている。
川越で、特に斬新なイベントが二つあります。
それが、小江戸蔵里もちつき大会と川越水かけまつり。
そして、その二つのイベントは同じ人がまとめている。。。
関実行委員長は二つを自ら率先して動き、遊び、リーダーとしてまとめています。
(第2回「小江戸蔵里もちつき大会」700人以上の来場者で賑わう
http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-11982171552.html )
(「第二回川越水かけまつり@蔵里 ヒャッハー」2015年8月30日(日)川越ラブストーリー
http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12068589373.html )
どちらも小江戸蔵里を会場にしての開催。
企画するだけでなく、それを受け入れる蔵里の度量の広さもここで言及しておきます。
今年のもちつき大会は3キロずつ5回、計15キロつく予定で、
たくさんの人につき立て餅が行き渡るようにしていました。
「餅つき」というのはシンプルな内容ではありますが、それをどれだけ楽しめるか、
関さんは実は、小江戸蔵里もちつき大会において、
毎回違うテーマを設定していることをご存知でしょうか。
(2015年1月小江戸蔵里もちつき大会より。
※川越水かけまつりの使い回しではありません。ちゃんと「餅」と貼られています)
今年関さんが考えたのは、
餅つきというのは単なる餅つき以上にもっと深いものではないか、ということ。
どんなことをしたらいいだろう、川越の人があっと驚くような何かが欲しい・・・
だが、これだ!というものが見つからない。
悶々と悩んでいた夜のことだった。ふと、見上げて輝いていた月の存在。
その満月には、うさぎが居た。
二匹のうさぎが楽しそうにお餅をついていたのがはっきりと見えた。。。
「そうだ・・・これだ!?」
関さんの中で何かが弾けました。
小江戸蔵里もちつき大会2016のテーマが決まった瞬間でした。
また、川越で新たな境地を切り拓きそうな予感が漂い始めたのだった。
今回に向けて関さんがボランティアスタッフを募集したところ、
「手伝うよ!」と応援の手は次々と上がり、気が付けば40人を超えていた。
毎週のように各地で様々なイベントが開催される川越の中でも、
間違いなくボランティアスタッフが一番多いのがこのイベント。
凄いのは、お願いするのではなく、みんな自ら率先して手を上げているのです。その熱気が毎回ある。
仕事でもない、地域の行事でもない、完全にボランティアなのに、喜んで集まってくる。
こういう時によく、学園祭のよう、という表現をしますが、いや、違います。
楽しんでもらいつつ、自分たちも楽しむ、そのバランス、心の余裕、
大人の本気の仕事と本気の遊びが同居していることが、学園祭にはない、
大人にしかできないものでした。
大の大人が本気になって遊んだら、もうそれは大変です。
今の川越の街の市民レベルの現場の感覚に触れたいなら、
小江戸蔵里もちつき大会、川越水かけまつりに来てみた方がいいです。
今の川越はどこにあるのか?ここにあります。
ここに集う人たちを本当は一人一人紹介していくと、
川越各地で活躍している人たち、
それは川越オールスターズともいえる顔触れが揃っていることが伝わるのですが、
さすがに全員は紹介できない。。。
どこにそんなに人が集まる魅力があるのだろうと考えたら、
このイベントは、実行委員長の関さんの人柄がまずあり、周りを巻き込み、
周りの力をうまく引き出している。
「自分にできることは何か?」
一人一人が思いを持ち寄り、それぞれができることを率先して動いていく。
会場セッティング、餅を丸め、絡めるための準備、竈、薪を割る、臼、杵、
信じられないことに、たくさんの役割分担が必要となるこのイベントが、
実は特に細かく誰がこれ、と事前に役割分担を決めておかなくても、
場はまったく混乱せず、自然とそれぞれの仕事に分担されて動いています。
一人一人が有機的に動いて、常に留まらず流れ、それはまるでヨーロッパサッカーのよう。
餅つきの奥に、その熱を感じて欲しい。。。
3回目で慣れ、あうんの呼吸感が深まっているというのもありますが、毎回そのよどみない人の動きは、
一人一人が思いを寄せている、という以外ありませんでした。
さらに、ここにお手伝いで来られなかった人までも
「自分にできることは」と思いを寄せ、
スタッフの賄いに用意してくれていたのが、ミネストローネ。
朝早くから準備していたスタッフたちは、ひと段落すると手を休め、賄いで腹ごしらえをする。
「美味しい~!」「体が温まるね!」とフーフーしながら食べていました。
豚汁や甘酒を作ってくれたスタッフもいて、パウンドケーキの差し入れ、など
ここに集まっているスタッフの何倍もの人が気持ちを寄せていた。
「今日はどのくらいの人が来てくれるだろうね」、
「予報で雪となっていたから外に出る人少ないかな?」、
「いや、先週アド街ック天国で川越だったから、また観光客が増えそうだよね」、など、
かじかむ手をさすりながら、会話は途切れません。
そしてスタート前に記念写真。
「さあ、これから餅つきで川越を盛り上げるぞ!」
このイベントは、水かけまつりもそうですが、
一日ずっとお手伝いできなくても、それぞれが参加できる時間の都合でよいとしていて、
その気軽さもたくさんの人が集まる要因でした。
途中で帰る人もいるため、集合写真も始めに撮っておく必要があったのです。
この日の事前の天気予報は雪。開催不可能!か!?と思われましたが、
土曜日が近づいてくると降雪時間が変わってきて、
前日になると、明日の日中の天気は大丈夫じゃないか?という予報に落ち着いていった。
金曜日の夕方に開催決行を決定。
それでも、土曜日は朝から空に重たい雲がずっしりと居座る様子に、
いつ雪が降り出すだろうかと、準備を進めている最中もヒヤヒヤしながら空を見上げる一同でした。
今振り返るとそれは・・・みなの日頃の行いの賜物だったのか、
あるいは本当に・・・ウサギたちのちょっとした仕業だったのか。。。きっとどちらでもあったのでしょう。
時間を追うごとになんだか空が明るくなっていることに気付いた。
そう、雲がだんだんと薄くなっていったのです。
「え!そんなことが。。。」
驚きを隠せない表情で頭上を見上げる、その間にも、雲は晴れていった。
ついには、雲間から太陽が・・・
あ、いや、真ん丸とした・・・満月が、顔を見せ雪原を照らし出したのです。。。!
「おおお!月だ!」「月が出た出た!月が出た!」「ヨイヨイ♪」
鮮やかな満月のした、思わず小躍りするスタッフ。
その喜びはスタッフのみならず、どこからかやって来たウサギたちも同様で、
今年のテーマ通り、うさぎのもちつきがここに再現。
満月の中でウサギが餅をついているように・・・見えるでしょうか・・・??
やっぱり餅つきには満月は欠かせない、
蔵里の上に満月がかかって、俄然準備の手に力が入る一同なのでした。
満月に、ウサギに、残雪の風情も相まって、ある意味絶好のうさぎのもちつき日和。
バニーボーイも登場!
満月が顔を出したのを確認すると、スタッフたちはお供えをしようと鏡餅を用意。
鏡餅のために関実行委員長が用意したのがバウムクーヘン。
自ら大ファンと公言する
一番街にあるバウムクーヘンノリスケさんのバウムクーヘンをこの時も買い込み、
さつまいもバウムを二つ重ね、
その上に夏みかんを載せて、満月にお供えしました。
それは鏡餅ならぬ、斬新な鏡バウムでした。。。
「うさぎ うさぎ なに見てはねる
十五夜お月さま 見てはねる♪」
満月に向かって唄いだすスタッフたち。
ちなみにスタッフ用の賄いにもノリスケさんのバウムを用意していて、
今月限定のヨーグルトをみんなで「美味しい~!」といただきました。
ノリスケさんのバウムクーヘンは、食べるだけでなく、
これを使った楽しむことも毎回で、
2015年8月の川越水かけまつりの時は、
ノリスケさんの5つのバウムで祝川越水かけまつり開催五輪バウムで祝いました。
「そろそろいいぞ!!」
竈からもち米の香ばしい香りが噴き出し、薪が燃える匂いが混ぜ合って、
これぞ餅つき、という香りが立ち込める。
「さあ、もっと火力を上げていくか!」と声を上げる。
11時になろうかという時刻、準備の手に追われていたスタッフが顔を上げると、
そこには・・・
数十人の人が並ぶ列ができていました。。。
「こんなに待っている人がいるなんて!」
「こんなに人が来てくれるなんて!」
初回の人数としては昨年以上の人が集まり、
驚きつつも川越で3回続けてきた手応えを感じるスタッフ。
雪の予報だったのに、凍えるような寒さなのに、これだけの人が来てくれた、
スタッフは安堵しつつも、早くお餅を届けようと表情を引き締めました。
「よし!もういいよ!これでいこう!!」
ついにもち米が蒸かし上がった。
蓋が外されたせいろからはボワッと山のような蒸気が立ち上がりました。
すぐにもち米を臼の中に投入し、杵で潰し始める。
そして、男たちが杵を振り下ろしていった。
「ヨイショー!」「ヨイショー!」
スタッフたちの掛け声が響く。つき手とこね手の絶妙なリズムは、まるでウサギが跳ねるよう。
列から見守る子どもたちも一緒になって、「ヨイショー!」と声を出していました。
男たちが代わる代わる躍動し、もち米はだんだんと艶やかな餅になっていく。
十分について仕上げた後には、子どもたちに餅つき体験してもらうのも毎回の恒例です。
重い杵を必死に持ちながら、後ろを支えられながら、
自分でついたお餅を食べる、その体験はきっといい思い出になっていくことでしょう。
お餅はお湯を張った鍋に入れ、いよいよお餅切り分け班の出番です。
お餅を丸め、絡め、お皿に載せて運ぶ、
並んでいるお客さんを横に意識しながら、早く提供しようと手を動かし続ける切り分け班。
小皿に載せたお餅をテーブルの上に次々と置いていくと、
「きな粉とからみ、一人おひとつでお願いします!」
お客さんは好きな方を手に取り、つきたて餅を「美味しい~♪」と味わっていました。
きな粉の方が人気があるようです。
みるみるうちになくなって、これにて初回の提供は終了、
3キロのお餅をついて、130人ほどの人にお餅が行き渡りました。
餅のつき手のなかに、
ひと際豪快に杵を振り下ろすスタッフがいました。それはもう、臼が割れんばかりの勢い。
訊けば、御祖父さんが南大塚餅つき踊り保存会を立ち上げた初期メンバーの一人なのだという。
川越で餅といえば、小江戸蔵里もちつき大会と南大塚餅つき踊り。
実は繋がっていることがここで判明した。。。
(2016年1月10日「南大塚餅つき踊り」前編 西福寺~菅原神社
http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-11748610711.html )
(西福寺にある、平成三年、南大塚餅つき踊り30周年継承記念碑)
初期メンバーの孫とひ孫にあたる親子が、現代で蔵里のもちつき大会にも協力している。
男たちの躍動は西福寺も小江戸蔵里も変わりません。
初回のお餅が行き渡らなかった人は次回を待っていた。
さあ、次のお餅に取り掛かろうと、
蒸かされたもち米を臼に投入し、また男たちが躍動しながらつき始める。
2回が終わったところで、しばし時間が空くことに。
せいろを2枡ずつ蒸かしていたので、次の2枡までまた時間を置くことになったのです。
イベントの最中には、続々と川越でお馴染みの人たちが陣中見舞いに顔を見せに来てくれて、
さながら川越同窓会のような雰囲気に。
カレーの差し入れと共に激励に来てくれたのが、
キックボクシング日本チャンピオンの瀧澤選手に、ボクシング日本ランカーの田乃岡選手。
大学いも川越いわたさんからは、大学いもの差し入れ、
KOME山田屋さんからはチャーハンとお稲荷さんの差し入れ、
ミケさんからはポカリスエットの差し入れ、その他にも・・・とたくさんの人が応援してくれていた。
・・・と、広場のテント内には、
来場者にお餅を振る舞うためのお餅切り分け班の横に、
もう一つのテーブルがあったことを見かけたでしょうか。
実はそちらは切り分け班とはまた別の部署で、別名餅LABと呼ばれる秘密の空間がありました。
そこは、
(よく言えば)新たな餅の可能性を模索する実験場であり、
(簡単に言うと)スタッフ賄い用のお餅を作る部門で、
来場者に振る舞うお餅ではなく自分たちで食べる用という緩さから、
自由な発想でチャレンジできる場所でありました。
振り返れば私達の世界は、得てしてこういう自由な空気の中から革新的な製品が開発され、
歴史が新たに塗り替えられていったように、
餅LABから何かを変えると意気込んだスタッフは、
「これとこれ混ぜてみよっか」
「ああ、いいんじゃん?やってみよう」
バター餅、
味噌ピーナッツ餅、
鰹醤油餅、
韓国海苔&粒胡椒餅、
チョコ餅など、様々なレシピを考案しては、
「う~ん、もうちょっと何かプラスしたい」、
「オリーブオイルとか?イタリアンになるかな」と試行錯誤を繰り返していました。
(ちなみに、鏡バウムの横に添えていたイチゴ大福なども餅LABが開発したもの)
さらに触れておかなければならないのは、
今回のイベントの活躍は、川越の人はもちろんのこと、ウサギたちの存在に、
それに触発されて「僕も!」「私も!」と手を挙げてくれた動物もいました。
川越でお馴染みのキャラクター、ミケさんとクロミも何かお手伝いがしたい、と参戦。
さらに、ウサギのラビーちゃんも蔵里にやって来ていて、子どもたちと記念写真に収まっていました。
ミケさんとクロミは中市本店さんで鍛えた列の整理などを率先して担当し、
クロミは・・・なんと、竈の前でウチワで扇ぐ担当まで!
事前に「私も餅つき楽しみにしていたので、いろいろお手伝いたい!」と
意気込むジェスチャーを見せていましたが、
まさかここまで自分からやってくれるとは。。。
「私もお役に立ちたいの!ウサギばかりじゃなくクロミもいるの!」と頑として譲りませんでした。
その熱意に圧倒されるスタッフ。
そんなに小江戸蔵里もちつき大会に想いを寄せてくれるならと、
クロミの奮闘を見守るスタッフたちでした。
時折目をしょぼしょぼさせながらも、必死に扇ぐクロミ、
初めての経験だろうか、体勢を崩しながらも・・・ウチワを扇ぐ、クロミ。
スタッフが「竈の周りは危ないから!」とクロミを話しかけても、
「大丈夫!こんなのへっちゃら!」というジェスチャーで応えるクロミ。
今回のもちつき大会で、実は陰のMVPがクロミだったのでは?と感じる。
3回目、4回目の餅つきが終わり、いよいよ最後の餅つきが始まった。。。
最後の回も子どもたちについてもらい、さあ、餅を切り分けるぞ、というまさにその時でした。。。
「自分にもつかせて欲しい!」
スタッフの間を掻き分けて姿を現したのが、ラビーちゃんでした。
え!ラビーちゃん突然どうしたの?と怪訝な顔を見せるスタッフ。
これまで広場で子どもたちと交流していたラビーちゃんは、
みんなが楽しそうにお餅をつくのを見ていて、自分もついてみたくなったのでしょう。
いや、それは、ウサギとしての本能とでも言うべきか・・・
そう、きっとそうに違いない。
ずっと蔵里の上に架かっている満月に照らされ、
ウズウズして我慢できなくなったラビーちゃんは、最後に、本心に従った。
「ラビーちゃんやるの!大丈夫?」心配そうなスタッフの表情をよそに、
重たい杵を手でぎゅっと握り締めると、豪快に臼に何度も振り下ろしていった。。。
それこそまさに、うさぎのもちつき。
はからずも今年のテーマがここに本当に再現してしまいました。
満月の中で餅をぺったんぺったんつくラビーちゃん、その光景にスタッフはしばし見惚れていました。
そして、その光景にさらに触発されたのが、ミケさん。
「自分にもやらせて!」と杵を持つと、
満月のなか、ミケのもちつきが始まった。
ついたお餅は切り分け班が最後の奮闘、
きな粉とからみにして来場者に提供しました。
終わってみれば今年も大盛況の一日で、
5回で述べ695人につきたて餅を振る舞うことができた小江戸蔵里もちつき大会2016でした。
スタッフたちは誰もが充実した表情を浮かべながら、
「楽しかったね!」と笑顔を見せていた。
市民が一体となって創ったイベントは、
たくさんの人に楽しんでもらい、なにより自分たちが最高に楽しんじゃいました。
醤油 松本醤油商店さん
秘伝のたれ&湯 大学いも・川越いわたさん
チョコレート 佐野ちゃん
大根 相沢ファームさん
蓋 ゆたか建設さん
薪 富士見櫓跡御嶽神社さん
いろいろ 蔵里さん、HENTAI RUNNERさん、スケキヨ会さん、川越ラブの皆さん、餅つき踊り保存会(仮)の皆さん
友情出演 ミケ、クロミ
次回は2016年8月、第3回川越水かけまつり@蔵里でお会いしましょう!!