川越style「ミュージカル『ロミオとジュリエット』 レビュー『flap!』」2015年8月 | 「小江戸川越STYLE」

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開演まで2時間に迫った控え室では、慌ただしく準備が進んでいました。
次々にメイクが終わっていき、

メイクが終わるともうそれまでとは別人のようになって、

完全に役の人物に生まれ変わっているようだった。

メイクに着替えに、そして最後の確認として台本を読み込み、

「あのシーンなんですけど・・・」各人が芝居の打ち合わせを重ね、

時計を見上げながら、「あともう少しか・・・」その時を迎えようとしていた。


 

 


 

舞台の方では、照明や音響の最終確認が行われている。

 

二日間に渡って上演されるロミオとジュリエットは、この日が千秋楽。

疲れた様子も見せず出演者は、持っているもの全てを出し切ろうと気合が入っていました。
2015年8月28日、29日川越市民会館やまぶき会館で開催されたのが

川越の夏の恒例ともなっているミュージカルカンパニーすてっぶ1主催、

「ミュージカル『ロミオとジュリエット』 レビュー『flap!』」。


8月28日開場15:30、開演16:00

8月29日開場11:00、開演11:30/開場15:30、開演16:00

『ヴェローナの町で古きに渡り対立する両家、キャピュレット家とモンタギュー家。

そこに生まれたロミオとジュリエットの純愛。死より強い愛、永遠の愛とは・・・』

 

一昨年は「夏の夜の夢」、昨年はシェイクスピアの四大悲劇の一つハムレットを上演し、

 

シェイクスピア劇に挑んできたすてっぷ1は今年、

満を持して最高のラブロマンス、ロミオとジュリエットを演じることになった。
ここに至るまでの経緯は、以前大正浪漫夢通りのショーや、
稽古場の熱気溢れる練習の様子を伝え、
おとまち小江戸夏まつりのステージを追いかけて伝えてきました。

 

 

(2015年7月川越百万灯夏まつりより)

 

 

 

 


(ロミオとジュリエット熱気溢れる練習 http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12061825353.html

 

 

 

 

(おとまち小江戸夏まつりより http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12066001622.html

今までの伏線は全てはこの日のため。

いよいよ集大成となる本番を迎えることになりました。

 

ミュージカルカンパニーすてっぷ1を主宰する飛翔ひかるさんは元宝塚歌劇団、

 

今回ティボルト役で出演する石川裕梨さんも元宝塚歌劇団。

他にもすてっぷ1劇団員に、オーディションをくぐり抜けてきた方、

昨年から引き続き出演する方など、

演じること、歌うこと、踊るが最大の喜び、というミュージカルに愛を捧げるメンバーが集まって

舞台を作り上げています。

 

すてっぷ1版のロミオとジュリエットは、原作の物語を踏襲しつつ、

 

飛翔さん演じるヨミやクラウディアといったオリジナルキャラクターを創造して、

ここに今までにないロミオとジュリエットを作り上げることに成功しました。
昨年のハムレットは、最後に大逆転ハッピーエンドで幕を閉じましたが、

今年のロミオとジュリエットは・・・??オリジナル脚本が楽しみなところ。

やはり最後は悲劇的な結末を迎えてしまうのか??

いや、すてっぷ1なら違うラストを用意しているんじゃないか?

誰もが知る名作ロミオとジュリエットだからこそ、

その結末にみな想いを巡らし、この舞台では一体どうなってしまうのだろう、

上演数週間前から川越は結末の話しで持ちきりとなっていた。

 

初日を終えた心境を飛翔さんは、

 

「昨日はどうなるかと思ったけれど、始まってみればなんとか形になった。

早変わりも上手くできていてよかった」
と振り返っていた。

納得の公演でしたか?という問いには、すぐさま

「いや納得はないですね。舞台は何回やっても納得はないと思います」

だから舞台を続けるのだ、そんな思いが滲み出ているような言葉でした。

 

やまぶき会館の控え室では出演者がバタバタと動き回り、声が飛び交う中、

 

時計の針は刻一刻と、その時が近づいていることを報せていた。

その時だった。

開場まで間もなくとなった時刻、飛翔さんは出演者を一室に集め、最後の確認を行った。
それまでの喧騒が嘘のようにしんとなった部屋、張り詰めた空気に覆われ、

緊張した面持ちの出演者たちは飛翔さんの話しに真剣に耳を傾けていた。



「酒場のシーンで・・・
あそこでは自然にはけてください、
墓場のシーンで・・・
パリスとロレンスのところ・・・
マウロと神父様のところ・・・」

細かい確認が続いていく。

 

一方、この日は外は生憎の雨模様。時間を繰り上げて開場すると、

 

雨の中この舞台を楽しみにしていた方がどっと入場し、ロビーは明るい声が充満する。

パンフレットを買い求める人に、出演者に激励のプレゼントを置く人、

ミュージカルらしい華やかな雰囲気に包まれていました。


舞台裏と客席の、ワクワクとドキドキのコントラストがたまらない。

同じ時間、同じ空間で、こうして楽しみに来る方と楽しんでもらいたい者が、

ほんのわずかの距離で隣り合わせになっていること。

楽しみにしている人がいるから頑張れる、

舞台を楽しみにきた、

改めて、ミュージカルは出演者だけでなく、観客と一緒になって創るものだと思い知らされる。

 

このミュージカルには毎年のように観に来ている方も多く、

 

すてっぷ1が舞台観賞の楽しさを川越で広めてきた結果がこの日の盛況ぶりに表われていた。

元宝塚歌劇団の出演者だけでなく、

川越の一般市民も参加していることは稽古場の記事でも伝えましたが、

大正浪漫夢通りにある「泰玉スガ人形店」の須賀さん、帽子店の「BlueFairly」の松本さん、

おとまち小江戸夏まつりに出演していたミュージシャン有梨さんなどが参加していて多彩な顔触れ。

また、今年の公演にもNPO法人あいアイの人たちが出演していることも特長。

あいアイのことは、Gallery&Cafe平蔵の中でも伝えています。

「Gallery&Cafe平蔵 http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12064197644.html

あいアイの子どもたちは出演するだけでなく、観客としても前日に見に来ていて、

「感動した!」「涙が出てくる」と語っていた子が多くいた、と先生が話していました。

 

まさに川越一体となって出来上がっている舞台だからこそ

 

川越の人に応援され、共感されるものになって、観賞にも熱が入るのだと思います。

出演者はみな仕事や活動の合間に稽古場に通い、芝居に踊りに歌に、練習を積み重ねてきた。

一般の人も参加している、なんて言い方では申し訳ないほど

練習に打ち込むその姿は舞台人そのものだった。
昨年も見ているので断言できますが、ダンスも芝居も昨年よりさらにレベルが上がっていて、
これだけの質の舞台を身近な場所で観賞できるなんて、川越は恵まれている。

稽古場の様子を取材したのが、本番3週間ほど前のことでした。
あの時から既にダンスのキレに芝居の熱に圧倒されっ放しでしたが、
出演者は口々に「いや、まだまだこれから」と話していて、これから詰めていかなければならないところがたくさんあることを自覚していた。
あの日からの日々を、メイクの手を動かしながらキャピュレット役の出演者が明かしてくれた。
「本番が近いていくとみんな役に入り込んで出来上がっていくので、

その役の迫真の演技に、周りの出演者が思わず泣きながら見ていることがあった」
その人がだんだんとロミオになっていく、
その人がジュリエットになっていく、
マーキューシオに、ティボルトに、ロレンスに、乳母に、
稽古を積み重ねていくことは役の人物になっていく過程を共に過ごすことでもある。
同じ稽古場という空間で同じ演技を見ているにもかかわらず、
いや、だからこそ、なりきっていく過程に引き込まれていくのかもしれない。
そうして舞台の出演者たちは心を一つにし 、いつしか大家族のような絆で結ばれるのだという。

 

客席もどんどん埋まっていき、空席が見当たらない状況になっていく。
舞台袖では幕が上がるのを今か今かと待ちわびる出演者たち、

 

ついに数ヶ月に及ぶ成果を魅せる時がきた。。。
緊張から開放され、むしろわくわくが勝っていくようで、

開演直前になると出演者たちは一様に笑顔になっていくのは昨年同様だった。

ついに始まる、

ついに始まってしまう、始まってしまえば終わってしまう、

様々な感情が入り乱れながら、幕が上がる直前の高揚感は、出演者にしか出せない表情をしていた。











今回の舞台も音楽はオリジナルで作曲されたもので、照明は今年初の試みが行われていました。
昨年は舞台上の出演者が均等に照らされていましたが、
今年は照明が当たるのを絞ってよりドラマチックに見せようとしていました。

その辺りも今年の見所だった。
2015年8月29日11時30分、

ミュージカルカンパニーすてっぶ1主催ミュージカル、

ロミオとジュリエットの幕が上がった。。。
袖から次々と出演者たちが、照明でまぶしく照らされた舞台上へ飛び出していく。

 

ヴェローナの町のキャピュレット家とモンタギュー家による両家の諍いは、相変わらず続いていた。

 

両家の者たちが遭遇すれば常に一触即発の状態に陥り、喧嘩も日常茶飯事。

いがみ、憎しみ合う両家の子息子女に生まれついてしまったロミオとジュリエットの宿命。

ロミオはロザラインという意中の人がいたが、

敵のキャピュレット家の舞踏会に忍び込んだその場で・・・ジュリエットと運命的に出会うことになる。

目と目を合わせた瞬間から二人は強く惹かれ合い、恋に落ちる。。。

バルコニーで熱烈な愛を告白するジュリエット、こっそり聴き入るロミオ、

二人は顔を合わせ、愛を確認する。
親同士のいざこざなどどこ吹く風、二人は結ばれ、ロレンス神父立会いのもと愛はついに成就される、

ところから事態は急展開。

ロミオは親友の敵を討つためにティボルトを殺害してしまい、ヴェローナの町を追放になる。
悲嘆に暮れるジュリエットはある企てを試みるが、その真意が行き違いでロミオに伝わらず、

ロミオは自害、それを見たジュリエットも。。。

(ここからはダイジェストで。上演中含めた会場の写真撮影はNGとなっています。

これらは取材という形で撮影しています。)

 

 




 

 




 

 

 

 


 

 




 

 

 



 

 

 






 

 







悲劇的な結末だった。

シェイクスピアの原作の通りだった。

悲劇だからこそ、二人の愛の純粋性が際立ち、胸が締め付けられるような結末だった。。。

原作の通りだったらここで終わる予定でした。

しかし、物語はここで終わりではなかった、さらに続いていく。

その先にある希望とは・・・??

 

第二十二場 再開

 

マギー:ロビン、遠くに行かないでね。あなた、キャサリンは大丈夫かしら?

ジョージ:今、連絡があったよ。もう直ぐ着くらしい・・・。

マギー:本当に?赤ちゃんは男?女?

ジョージ:さあ、自分で聞いてご覧。

 

ジョージ:おめでとう!お父さん!

 

リチャード:ありがとう!これからも、家族ぐるみよろしく頼みます!

マギー:赤ちゃん・・・どっち?

キャサリン:女の子よ!

マギー:本当?嬉しいわ!これで、私達の計画通りよ!

ジョージ:何だい?計画って。

マギー:私達、姉妹のように仲良しでしょう?だから、子供同士が結婚すれば、

本当の親戚になれるわねって。

キャサリン:ロビン!初めまして、ジュリアよ。

 

ロビン、覗き込む。ロミオの声

 

 

ロミオ:やっと会えたね。もう離さないよ。

 

 

緞帳閉まる。。。

 

 

明かせるのはこれだけ。
その最後の様子はぜひそれぞれの目で確かめてください。後日DVDが発売される予定だそう。

 

ミュージカルロミオとジュリエットが終わると、

すてっぷ1の真骨頂、激しいダンスを繰り広げるショータイム、レビュー『flap!』の時間となりました。

これがこの舞台のもう一つの見もので、昨年も「あれは凄かった」と大反響を呼んでいた。

ダンスに歌に、クスっとなるコミカルなものまでいろんな曲が次々と繰り広げられる。

そして、ショーの中の衣装の早変わりに目を奪われ、

先ほどまでロミオを演じていたあの出演者がこの役で・・・など、

ロミオとジュリエットに出演していた役者が多数登場し、違った役回りがまた新鮮に映る。






 

 




 

 








公演が終わると客席から満場の拍手、夢の中にいるような面持ちで

「楽しかった」「凄かったね」と言い合いながら観客はやまぶき会館を後にしていました。

ホールにいた時間は確かに夢の中に浸っているような幸せの時間で、

これだけの夢を創れるミュージカルというものの力を思う。

そして、夢を創るために、たくさんの人が日々練習していた姿、本番前の表情を見てきて、

夢を与えるためにはここまでのことをしなくてはいけないと知るからこそ、

余計に深く感動しました。

ミュージカルカンパニーすてっぷ1の公演は、来年も予定されています。

時が落ち着いて、季節が巡れば、あの稽古場で厳しい稽古がまた始まっていくでしょう。

今年より一回りも二回りも大きくなって、スケール感を増した舞台を楽しみにしています。

川越の劇団が創り上げるミュージカル、

来年も熱い夏になりそうです。。。