第4回「川越パンマルシェ2015 後編」 | 「小江戸川越STYLE」

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「時が人を結ぶまち川越」
川越のヒト・コト・モノ、川越物語りメディア、小江戸川越STYLE。
川越の現場で様々なまちづくり活動にも従事しています。
「小江戸川越STYLE」代表:石川真

 







 

 



「いらっしゃいませー!」

「ありがとうございます!」

川越パンマルシェ、11時のスタート時には会場の小江戸蔵里の広場は来場者で埋まり、

それぞれの出店パン屋さんにパンを買い求める列ができていました。
会場を見渡し、「パンマルシェ、年々大きくなってるね」
というお客さんの声が聞こえてくる。

これだけの人が一ヶ所に集まっても大きな混乱が起きないのは、

事前にどのお店をどこに配置し、どう列を作ってもらうかまでスタッフで計算し、

当日も各店の列にスタッフがついて案内していたのも大きかったと思いますが、

なにより、パン好きの方の穏やかな雰囲気あってこそ、パンマルシェだからこそだったかもしれません。

出店パン屋も会場の様子を、「川越パンマルシェは穏やかな雰囲気」と今年も口にしていました。

 

ボランティアスタッフが列を見渡して連携をとる。

「楽楽さんとPANJAさんの列が長くなってるので、要注意ですね」

入間市から出店のPANJAさんは、今年も注目を集めたお店。

お店はスタッフ総出、相当な覚悟でたくさんのパンを作ってきましたが、

それでもPANJAのパンを求める方で見る見るパンがなくなっていく。

 

楽楽のブースでは、フレンチトーストやカレーパンが飛ぶように売れていきました。

毎年、パンマルシェにスペシャルパンを投入する楽楽さんは、

今年のフレンチトーストやカレーパンがやはり大人気。

レモンクリームパンも瞬く間になくなっていきます。


善太郎さんは、二日間徹夜してかつてないほどたくさんのパンを出品し、
「まだまだたくさんあるから大丈夫ですよ!」
と販売に力が入ります。

新河岸から初出店のベーカリークレープさん、
「お店の常連の方も来てくれて、うちを初めて知る方も大勢来てくれてます」
と話している。

CAFE ANTIさんの6個入りカップは子どもたちに人気で、
この日のために用意した焼きドーナツも目当てにされていた方が多かったよう。

UPPER EAST SIDEさんは、その場で作りたてのホットドックを提供。

 

サニーサイドテラス&MimiDINERが用意したバインミーも大好評。

ベトナムを知る二つのお店が作るバインミーは、これ目当てに来た方も多くいました。



他にも揚げたてのバナナロールパンや生ライムソーダ、モヒートも暑い中大人気。

生ライムソーダは、MimiDINERでも人気だったもので、パンマルシェでも

「生ライムソーダだって!美味しそう」と行き交う方から声が上がっていました。
サニーサイドテラスさんは

「噂通りパンマルシェの熱気は凄い。バインミーを楽しみにうちに並んでくれるなんて本当に嬉しい」

と声を弾ませる。
Mimiさんは、「今日も大変だけどそれよりバインミーを作るここに至るまでが戦場でした」

と徹夜同然で作り続けた過程を振り返っていた。
二人のバインミーはお昼過ぎにはなくなる人気ぶりでした。

「今年は昨年の5000人来場を超えるんじゃないか」
会場の熱気を肌で感じながら、出店パン屋さんたちが口々に言い合う。

 

そして、今年は外の広場だけでなく、室内にもパン屋が出店していて、

埼玉県の人気店が集まって出店していました。

こちらのお店を目当てにしていた方も多かったようで、室内に長蛇の列。


特に、「みやび亭のパンを買いに来ました」と話す方が多く、

「洋風あんぱんください」

「パン・ド・ミください」

京都のたま木亭までは買いに行けないけれど、

でもみやび亭が川越にやって来るならぜひ食べてみたい、と楽しみにしていた方は多かった。

このことに、他ならぬみやび亭さんが驚いていました。

「うちのお店のことや、たま木亭のことまでこんなに多くの人が知っていることがびっくりです。

パン好きの方の熱意は凄い」

口コミ力、パンに寄せる多くの人の思いを間近で感じていたよう。

それはみやび亭さんだけでなく、

今回初出店の川越市外のお店は、みんな川越パンマルシェの熱気に圧倒されているようでした。
「バケットください」
「あんバター一つ」
panya no takesanのハード系パンも人気で、
ブーランジェリーキシモトさんは、「室内の列凄いですね!」と目を丸くし接客に追われていました。
キシモトさんのあのメロンパンも大人気。
この3店が出店した室内では、一時室内の列どころか外まで並ぶほどの盛況ぶりでした。

室内のお客さんの熱気を感じながら、別の一室では

昼過ぎに販売するパンセットと焼き菓子セットの準備に追われるスタッフの姿。

 

一つの袋に何店ものお店のパンが入った福袋は、この日だけの特別企画。

どのパンも埼玉県産素材を使用する、というテーマもあって

今年もこのセットを狙っている方が多くいるようでした。
「みやび亭のパンを買いにきて、次はパンセットを買おうと思います」
と列に並ぶお客さんの声。

4回目となるパンマルシェは毎回参加している方も多く、

列で待ちながらお客さん同士でパンマルシェの話題で盛り上がっている場面をしばしば見かけたのが

今年ならではといえました。
「このイベントは列に並ぶ人がみんか穏やか」と話していたのが印象的でした。


広場では子どもたちがワークショップに夢中です。

今年用意されていたワークショップは、
「パンのスポンジはんこづくり」と「粘土で作るミニチュアパンの体験教室」

「パンのスポンジはんこづくり」は、
『スポンジを使ってパンモチーフのスタンプを作ります。
カッターナイフを使わずに作れる簡単手づくりはんこです。

紙袋やポストカードに押してスタンプとともにお土産にしましょう』

 

「粘土で作るミニチュアパンの体験教室」は、

『粘土で本物そっくりなミニチュアメロンパンのマグネットと
更に小さいメロンパンのピンチを1個づつ作ります。
マグネットの方はパクっとかじった食べかけパンに仕上げますよ!』という体験でした。


ワークショップのすぐ隣、広場で毎年お馴染みになっているのが棒パンBBQ。
ボランティアスタッフ運営によるこのコーナーは、子どもから大人まで大人気。


 






子どもが一生懸命生地をこねる姿を見守っていた親御さんは、
「去年も来て棒パン作って、『今年も行きたい!』とずっと言ってたんですよ」と話す。
棒パンBBQは、丸い生地を手の内に包み、手の温度で発酵が進んだら生地を細長く伸ばして、
竹の棒にくるくる巻いて焼き台で焼く、という全工程30分くらいのもの。
パンマルシェスタートから棒パンコーナーには参加者が押し寄せて、手作りパン体験を楽しんでいました。
子どもたちが焼くのをサポートしながら棒パンスタッフは、
「見ていると去年より生地の膨らみがいい。気温が高くなったからかな」と話しています。

午後になると広場は落ち着きを取り戻し、まったりとした穏やかな雰囲気に包まれていくパンマルシェ。





スタート直後は毎年、あのお店のあのパンを買いたい、という熱烈なファンが大勢詰めかけますが、
午後は人の数も落ち着いてきて、

それに合わせ広場に余裕できたところに室内のゲストパン屋さんが外に移動してきて、
これで全ての出店パン屋が外の広場に集まりました。

午後はお店の列もなくなっていくので、ここからの時間を待っていた方も多いでしょう。

もちろん職人たちが徹夜してまで作ってきたパンはまだまだあり、なにより、
広場内のあちこちのお店を買い回りできるという、パンの祭典らしい楽しみ方ができました。
慣れている方はこれを知っていて、
「始めに室内の所沢のキシモトさんのパン買って、そこのリュネットさんのパンを買って、

これから子どもが棒パンやりたいと言っているので、自分はホットドッグ食べようかな」と話していました。
購入したパンをベンチに早速座って食べる光景があったり、
ビール片手にパンを頬張る姿があったり、見ているだけでも幸せな風景。

雑貨ブースもひっきりなしに人が訪れ、

tenoriさんの雑貨やRAWAさんのリースを手に取る光景が見られました。




パンマルシェも終わりに近づいてくると、
出店パン屋も他のお店のパンを買いに行ったり、

お互いの様子を話し合う場面が見られたり、と交流の時間にもなっていった。



「晴れるなんて奇跡だね」
「あのパンが凄く売れた」
どのお店も何ヵ月も前からパンマルシェのことは意識し、打ち合わせを重ねてきた。
このパンの祭典を共に作り上げたまさに戦友のような関係は、
今回川越市外からやって来たゲストパン屋が、

「川越のパン屋の結び付きは感動的」と感嘆するほどでした。

全国各地で開催されているパンイベントの中でも、川越パンマルシェの他にはない特色と言えるのは、
地域のパン屋が中心となって集まって、出店パン屋が実行委員として動いていることでした。
その日に集まって終われば解散、ではなく、

地域のお店が集まって地域の場所でマルシェを開催し、そのことで地域に何かが残り、

文化として発展させていくという思いが込められているのが川越パンマルシェ。

川越にはもともと個人のパン屋さんが多く、

それぞれが地域に根差していたことがそもそも発端としてあったと思います。
一年にたった一度だけでいいからみんなで集まってイベントをしよう、
賛同したお店の顔ぶれはそれこそ川越中のお店で、
霞ヶ関、新河岸など川越の郊外地域からの出店が多かった。
川越のど真ん中で開催し、川越のみならず埼玉県を代表するようなイベントに成長したパンマルシェが、市街地から離れたお店が多く集まっていることに、いつもながらくすぐったいようなギャップを感じる。
でも、善太郎さんの「うちのお店の商圏は半径500メートルですから(笑)」という言葉が物語るように、
パン屋は地域に根付いてこそ、という

パン屋としての存りようが感じられる川越パンマルシェはやっぱり素敵。

16時。

 

まだまだ熱気冷めやらぬ状況の中、第4回川越パンマルシェ終了となりました。
終わってみれば、実に7000人ほどの来場者に15000個のパンが来場者の手に渡り、

今年もまた過去最高を更新しました。

 

 





この日の夕食に、翌朝の朝食に、パンマルシェのパンが食べられ、

それこそ街中にパンが食卓に上がったことを想像すると、奇跡のような出来事にも思えます。
これまで準備に費やした何ヵ月もの時間や年々増す期待をひしひしと肌に感じながら

無事に開催できたことを振り返り、出店パン屋もボランティアスタッフもみな、

やりきった表情は充実感に溢れていました。

そしてその後の密かな楽しみといえば、お客さんの反応。
さすがにイベントの真っ只中にいる時は、

出店パン屋は目の前の接客に追われてお客さんと会話する時間はなかなかとれませんが、
パンマルシェ最中から、終わった夜に、翌日の朝になるまで、
続々とFacebookやTwitterなどのSNSにアップされるパンマルシェの様子やパンの写真は、
実は出店パン屋さんもスタッフもみんなよく見ているんです。
「うちのパン食べてくれたんだ!」
「家でそんな風にして食べてくれたんだなあ」
など嬉しい感想を漏らし、幸せな気持ちに浸っていたのです。
いろんな反応を見て、徹夜して頑張った苦労が報われる部分があると話すパン屋さん。
そこから15000通りのパンの食べ方があったことに思いを巡らし、今年の達成感を噛み締めていた。

回を重ねるごとに規模が大きくなっているパンマルシェですが、
同時に、確実に、パン屋さん同士の繋がりは強くなっているのも実はある。
こういう共にイベントやろうという共闘意識って、パン以外の業種であるのかといったらないし、

パン屋さんならでは。いや、正確に言うと川越のパン屋さんがやはり特別なのかもしれない。

パン屋さんとスタッフという個人で作り上げている手作り感溢れるパンマルシェは、
拡大するスピードに運営が追い付かず後手になる不備はまだまだあちこちにあると思いますが、
やってみて出てきた一つ一つの改善点は次の回に生かそうと話し合い、

少しずつバージョンアップしてきたこの4回目でした。

今はまだ今年を終えた疲労感で来年のことは考えられない面々ですが、
パンの祭典がこれからも川越で開催できるよう、今回の反省点を洗いだし、次に繋げていければ。。。

ベーカリークレープさんは、
「来年はもう少しパンの種類を増やそうと思います」
と早速来年に向けた計画を考え始めている。

きっとまた来年も川越パンマルシェは開催されていくはず。
それまでは、各お店を巡ってパンマルシェの雰囲気を味わったり、

自分たちの地域のパン屋さんを大事にし、

パンが身近にある生活を楽しんでもらえたらパンマルシェを開催した意義にもなると思います。

また来年、お会いできる時を楽しみにしています。
全出店者、全スタッフから、

「ありがとうございました!!」

川越パンマルシェ2015、無事に完。

そして最後は、これもパンマルシェ毎年の恒例となっているみんなでハイタッチで締めくくりました。
この日集まったボランティアスタッフは30人以上。
暑い中、ずっと動き続け、パンマルシェを支えた仲間が達成感を分かち合いました。
「お疲れ様!」
「お疲れ様!!」

 


 


今年も、みんなで作り上げ楽しんだ川越パンマルシェでした。
 

第4回「川越パンマルシェ2015」
【川越】
ブーランジェ リュネット
BREADMAN
善太郎
ベッカライ0044
WACCI
パン工房クローバー
ベーカリークレープ
川越ベーカリー楽楽
ANTI (おからドーナツ)
UPPER EAST SIDE(ホットドッグ)
サニーサイドテラス+MimiDiner(バインミー)

【ゲスト】
PANJA(入間)
ブーランジェリーキシモト(新所沢)
PANYA NO TAKESAN (戸田)
みやび亭 (羽生)
Clarte(久喜市:ジャム)

 

【雑貨店】
tenori
アトリエRAWA

【ワークショップ】
高橋由紀(ミニチュアパン)
武田真理恵(パンのスポンジはんこ)