「わあ、素敵!」
店内を埋め尽くすガラス製品に、
思わず声を上げる方がいました。
綺麗なとんぼ玉をはじめ、アクセサリーに食器に、
丁寧に手作りで作られたガラス製品が、お店の中に溢れています。
見れば見るほど引き込まれていく、透明感のあるガラスの世界。
たくさんのガラスが並ぶ中で、とんぼ玉が一際あちこちで光ります。
それは、小さな宇宙のようです。
手に取った小さなとんぼ玉の中には、
まるで宇宙が詰まっているよう。
想像力が膨らむ広大さを感じさせます。
川越で、たくさんのガラス作家さんの手作りガラスと出会える場所として、
貴重な唯一無二のお店が
「川越体験工房 青い鳥」です。
今やガラスの世界では有名な作家さん、
伊藤けんじさんが、
「川越でガラスの文化を広めたい」と開いたお店です。
確かなガラスの仕事がここにあります。
チルチルとミチルが青い鳥を探す旅に出発したように、
川越でガラスの魅力を知る旅に出かけました。
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
川越の一番街。
レトロな雰囲気の埼玉りそな銀行の斜め向かい、
入口にガラスの青い鳥が下がるお店があります。
どこかユーモアのある表情の青い鳥。
階段から二階に上がると、そこに落ち着いた空間が広がります。
いろいろな体験ができる体験工房として、
お店では体験以外にも、
ガラス製品の販売やカフェ、ギャラリー、レンタルボックスが一体となって、さまざまな過ごし方ができます。
お店に並ぶガラスのアクセサリーや食器などを見て回り、
「今ギャラリーで展示されているのはなんだろう?」と覗いてみたり、
一番街の中で喧騒から離れてゆっくり滞在でき、
二階から見下ろす街並みは開放的で、
知られざる最高のロケーション。
時の鐘も、二階席からちょこんと顔を見ることができます。
一番街を二階で過ごすのは、川越を知るコアなファンが好きな過ごし方です♪
カフェとして、ふらっと珈琲を飲みに行きたくもなる。。。
珈琲にもこだわり、丸山珈琲の豆を使用しています。
ここは一番街のアミューズメントパークのような場所です。
キラキラしたガラス製品に囲まれた店内は、
川越にいることを忘れるほど。
そして、
蔵の町並みに透明なガラスが実は良く合うことも教えてくれます。
このお店で体験できるのは、とんぼ玉つくり、サンドブラストグラスつくり、ステンドアクセサリーつくり、彫り絵グラスつくり、ジェルキャンドルなど、ガラスを中心に楽しい手づくり体験メニューを揃えています。
他にはフェルトつくり、手織りコースター、フォトフレームつくりもあって、
子どもから大人や親子まで、予約不要で、気軽にその場で体験ができるお店です。
観光客が多いかと思いきや、地元の方がやって来ることが多いそう。
体験メニューを見ると分かりますが、
青い鳥が大事にしているのが、ガラスの体験です。
とんぼ玉作りを体験できるのは、川越でほとんどなく、
著名なとんぼ玉作家さんが
教室講師としてこれだけ集まっているお店はそうそうありません。
吹きガラス工房がルーツのお店ならではの個性です♪
ガラス制作は、上記のような数十分で終わる体験もありますが、
定期的に通う教室も開講していて、
ガラスの魅力を川越で広めているお店です♪
店内にあるうさぎのオブジェなども作る磯谷さんは、
とんぼ玉業界では有名な方。
ルーツとなる川崎の工房でのとんぼ玉教室では、
遠方から習いに来ている生徒さんもいるそうで、
その方が川越で教えてくれるのは、ガラスを知る人からすると、実は凄いこと。。。
青い鳥の繋がりから実現している教室です。
磯谷さんに学んだ方が青い鳥のスタッフにもいて、
作品の販売もしていますが、
今後はとんぼ玉の講師も担当していくそうです。
とんぼ玉というのは、
もともとはガラスの装飾で、大昔のエジプトの時代から身につけられていたもの。
今は、ネックレスに着物に、いろんな使われ方をしています♪
ビーズの和訳が、とんぼ玉。
そして、とんぼ玉の教室講師の一人には、
冒頭の写真で紹介した
川越でお馴染みのとんぼ玉作家の福島さんも名前を連ねています。
個人的に「この人は天才だ!」と、去年から追いかけている方(*^^*)。
ガラスの中に入れている魚も貝も、すべてがガラスで作った手作りのもの。
とんぼ玉を、ここまで芸術品に仕立てている技術が凄いです。
ガラスの中に、泡を自由自在に入れ込む技を持つ人は、
この方だけかも。
まだまだ知らない方も多いと思いますが、
初めてガラス制作に挑戦するなら、
とんぼ玉はうってつけです。
気軽に楽しさのエッセンスを感じることができます。
とんぼ玉は吹きガラスと違い、
テーブルの上にバーナー一つで気軽に作ることでき、
お店で学べば家で一人で作ることができます。
小さなガラス玉ですが、
そこに宇宙が詰まっているような広大さがあって、
それをネックレスやストラップに使える魅力。
着物の方には帯留め、かんざしにも良さそうです。
店内に並ぶ明るくて可愛らしいガラスは、
手作りで作られたもの。
大量生産にはない温もりを感じます。
ガラスの体験が多い、という
話しだけでは分からないかもしれませんが、
このお店のガラスに懸ける思いは相当なもの。
ガラスが好きで、ガラスを作るのが好きな熱がひしひし伝わります。
青い鳥とガラス。
その真意に迫ります。。。
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
実はこの川越のお店は、
その道のりを辿ると
川崎にある工房に遡ることが分かりました。
もともとはガラス作家である伊藤けんじさんが
今から30年以上前に
川崎市に構えた本格的な吹きガラス工房が始まり。
そこを拠点にずっと活動し、
7年前には軽井沢にも工房を開設。
どちらの工房も自身の作品制作の現場であり、
多くの方にガラスに親しんでもらう教室も開いています。
続いて2011年8月に開いたのが、
川越の青い鳥でした。
気軽にガラスに親しんでもらうため、
とんぼ玉の体験のお店を考えていたら、
一番街の二階にあるこの広い場所と巡り合った。
「この広さなら、いろんなことができるはず」と、思いを広げた場所。
「川越の街の雰囲気が昔から好きだったし、
通りからふらっと誘われるように入った脇道の風情も好きでした。
川越ならガラスを好きになってくれる方がきっといるはず」
と思いを定め、
川崎や軽井沢とは違う形のお店にしたのが青い鳥です。
青い鳥に並ぶガラス製品は、伊藤さんの作品をはじめ、
川崎、軽井沢の工房の作家さんのガラス製品も扱っています。
本格的な吹きガラスの作家さんが、
日本人の生活にそれほど馴染みのあるものではないかもしれません。
「ガラスにしかない透明感、見ているだけで明るい気持ちになるガラス食器などの魅力を伝えたい」と話します。
使い込むと味が出るのとは違う、
いつ見てもキラキラしていて明るい気持ちにさせてくれるガラス。
川崎や軽井沢、実際の工房では、
どのようにガラスを手作りしているのでしょうか。
ここからさらに旅を進め、
青い鳥から糸を辿って川崎の工房の話しに踏み込みます。
3ヵ所あるガラスの工房、お店のなかでも、
川崎がもともと始まりの場所。
伊藤さんは今から30年以上前、大学を出た後にガラスの学校へ通い、
卒業後すぐにガラス制作のための窯を構まえて、
制作をスタートしました。
そこは吹きガラスを制作する自身のアトリエであり、
ガラス制作の講座も開き、
さらに、ガラス制作をする人のために窯のレンタルもしているほど、
大きな工房です。
ガラス制作のための窯を個人で新たに持つことはとても大変なことですが、レンタルすることでガラス作家さんの活動を支えています。
自治体関係の工房が多いガラスの世界で、
個人工房としては最大というくらいの規模、
ガラスの世界では、伊藤さんは名の通った有名な方です。
今は、川崎、軽井沢、両方に吹きガラスの窯を構えているので、
それぞれの地を行き来しながら、毎日制作を続けています。
川越の青い鳥に顔を出す日もあり、
店内のギャラリーで
伊藤さんはじめ川崎、軽井沢の作家さんによる展示会を開く機会もあります。
それは、
川越で開かれる手作りガラス作品の展示会としては、
最もクオリティーの高いものに入ると思います。
伊藤さんの作品は、完成度を突き詰め圧倒されるくらい質が高い。
コップなど日用品ではありますが、芸術作品でもあります。
キラキラして綺麗なガラス製品。
その制作は、きっと簡単ではない工程が続くんだろうなと想像した通り、
やはり・・・壮絶でした。
ガラス制作は、
「スポーツする芸術」と言われるほどの体力が重要な現場です。
いよいよ・・・
ガラスの奥深さとガラス作りの難しさを感じてみたいと思います。。。
吹きガラス工房の室内は常時40度超えます。
窯の中はなんと1400度にも達し、
前に立つだけでもクラクラするくらいで熱で
体力が消耗していく大変な現場です。
窯の中には陶器のポットがあり、
そこにガラスの原料となるを珪砂(けいさ)入れて溶かします。
そこに一緒に銅やコバルトなどの鉱物を混ぜて、色を付ける。
吹き竿の先に原料を巻き付け、息で吹いて膨らませます。
思いの形になるよう繊細に扱い、
熱管理、タイミング、神経を張り詰めさせる時間が続きます。
ガラスが完成しても窯の熱さは変わりません。
「窯の火は消せないんですよ」
窯のガスの火は、一年中絶やさず燃やし続けます。
唯一火を落とすのは、
中のポットが劣化して交換するときだけ。年に一、ニ度のことです。
その時以外はずっと火は点けっ放し。
長年ガラス制作をしているみなさんでさえ、
「窯の前は尋常ではない熱さ」
と語り、特に夏には熱で体調を崩すこともある。
温度変化による体調の変化には特に注意しているそうで、
冬から温かくなる6月くらいは
まだ体が暑さ、熱さ、湿気に慣れていない時期。
窯の熱で体に負担がかかるので、
様子を見ながら作業を進める時期でもあります。
短い時間でさえそうですが、
工房では時に何時間も窯の前で作業する時もあります。
青い鳥にある伊藤さんのガラス作品は、
ガラス制作は、時間との勝負で作るイメージがありましたが、
作品によっては何時間も掛かるものがあると知りました。
一回で思うようなものができる時もあれば、
イメージと違いロスになってしまうものもあります。
吹きガラスの制作は直接手で触れるわけではないので、
独特な難しさがあります。
熱に耐え、思うように作れるようになるまで時間がかかるガラス作り。
それでも、
ガラスならではの、ガラスにしかない魅力にとりつかれている人たちがいる。
ガラス作りが好きで、川崎の工房で開いている講座に通う方には、
週二くらいのペースで、すでに20年になる方もいるそう。
繊細な作業だからこそ継続が大事で、
30年やっている伊藤さんでさえ、
一週間ガラス作りから離れると感覚が狂うと言います。
だから思うように出来上がったときの喜びは、
「言葉では表すことができないほどの感動」と語ります。
作っている時の緊張感、
思い通りにできた時の達成感。
土がこんなにキラキラしたものになること。
その変化になにより感動する、と。
「ガラスは、作っている時も凄く綺麗なんですよ」
火に入れた時の色、冷ました時の色。
小さなとんぼ玉でも嬉しいのに、
大きな作品が綺麗にできた時は全身で嬉しい、
それがガラス制作を続ける原動力になっています。
伊藤さんをはじめ、川崎、軽井沢のスタッフの方々は
みんなガラスが大好きで
「ガラスオタク」と自認するくらいガラスにとりつかれている人たちばかり。
「ガラスはやめられない」
透明で、キラキラしているガラスは、人を虜にする魅力がある。。。
今日も窯に向かっている姿があります。。。
このような話しの先にある越の青い鳥。
ガラスを巡る旅から川越に戻って来ました。
青い鳥では大きなガラス作品は作れませんが、
そのエッセンスを体験してもらおうと、
とんぼ玉などのガラス体験を用意しています。
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
とんぼ玉は、壁から好きな色のガラスの棒を選んだら
棒の先をバーナーの火で溶かします。
溶けたガラスを土台となる白い棒に移し変えます。
火にかざしながら綺麗な球体になるように
バランスよく棒を回していきます。
青い玉に模様を付ける時は、この上に別の色のガラスを重ねます。
この白い棒で線を描き、熱することで
線が模様のように広がっていきます♪
じっくり熱して模様を作り、冷ますととんぼ玉の出来上がり。。。!
二色のガラス棒が素敵な形と模様になりました。
☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
初めての方でも取り組みやすいのがとんぼ玉です。
ガラスにこれだけの情熱を注いでいるお店が
川越にあることが新鮮な驚きでした。
それも一番街で、
二階の落ち着いたお店にあったことに感動です。
そうそう、
入口に下がり、店内にもあるガラスの青い鳥。
実はこれも伊藤さんによる作品だったのです。
店内の由来にもなった青い鳥は、
実在するインコから取ったもの。
飼っているマメルリハインコが・・・青い鳥でした。
「青い鳥のスタッフはみんなガラスが好きで、
とんぼ玉やステンドグラスの制作を続けている人が多いんですよ」
ガラスは楽しいんです、
楽しそうにそう話していたのが印象的でした。
川越で、ガラスの楽しさを発信しています。。。♪
「青い鳥」
川越市幸町5-4雅堂二階
10:30~18:00不定休
長い長い旅が終わりました。チルチルとミチルがハッと気が付くと、
そこは見なれた自分たちの部屋。
懐かしい木こり小屋へ戻ってきました。光やパンの精たちとも、これでお別れです。
おまけに、チルチルとミチルはお婆さんとの約束を思い出し、気が重くなります。
とうとう青い鳥を見つけることができなかったからです。
朝日がのぼります。部屋をノックしていつものようにお母さんが起こしにきました。
チルチルとミチルはお母さんに、長かった旅のことを一気に話し始めます。
パンや水や砂糖を連れて旅したこと。亡くなったおじいさん、おばあさんにあったこと。
天国でお母さんの愛の深さを知ったことなどを話します。
けれども、お母さんには何かなんだかさっぱりわかりません。
そこへあのお婆さんがやってきます。
チルチルは青い鳥を探せなかったことをお婆さんにわびます。
すると、お婆さんはチルチルが前から飼っていた鳥をほしがります。
それは青くもなんともない一羽の鳩。
でもふしぎなことに、
その鳩をよく見ると旅に出る前よりずっと青くなっているではありませんか。
チルチルはずいぶん遠くまで青い鳥を探しに旅をしたのですが、
なんのことはない、それはごく身近にいたのです。