オーダーで「KIKONO」の手編み帽子 自然な優しい風合いの白い帽子 | 「小江戸川越STYLE」

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「時が人を結ぶまち川越」
川越のヒト・コト・モノ、川越物語りメディア、小江戸川越STYLE。
川越の現場で様々なまちづくり活動にも従事しています。
「小江戸川越STYLE」代表:石川真

 

2014年、この冬降った記録的な大雪。

一面雪景色に覆われた川越を眺めていたら、

今手もとにある帽子、あ、これに似ているなって思った。

真っ白で、自然な肌触りで、風が作る風紋、人が歩いた足跡、

そう、雪が街に降り積もった時の様子の全部がそのままあるようで。

 

帽子から雪の情景を思い起こさせるような、

そんな帽子ができあがりました。

 

改めて、かぎ針と毛糸からできることが、

シンプルだけど、シンプルだからこそ生み出す人の手って凄い。

 

できるまでの10日間という

短いようで長い時間。

その10日間は、

お互いの気持ちを編みこんだ10日間のようでした。

 

こちらはワクワクしながら

「どんな帽子ができあがるんだろう」と考えない日はなく待ち、

 

一方KIKONOさんは

「楽しみながら作りました」と、ちょっと大変な今回の帽子作りを楽しんでいた。

 

一日ごとに、今日はどの辺まで編んだかな?と想像し、

今日はここまで編めたと一歩ずつ進んで行ったでしょう。

 

今思うのは、

ものは大事だけれどものでしかなく、

帽子という一つのものを介在させた心のやり取りが

なにより楽しいと思った。

自分のために作ってもらう、

誰かにために作る、

気持ちの編み物が「帽子」という形になった、そう思いました。


 

KIKONOさんに帽子のオーダーをお願いしようと思ったのは、

以前取材で伺って、じっくり話しを聞かせてもらった縁から。

 

2013年10月に川越の一番街にオープンした

帽子&カゴのお店です。

以前の紹介記事「KIKONO体と一体になる帽子♪」

一番街から、蘭山記念美術館横

菓子屋横丁方面へ抜ける細道を進んだ先にあるお店。

 

考えてみたら、一番街は川越最大の観光地だけれど、

飲食以外で自分で手作りをして自分で販売しているお店って

ほとんどないなって。

それが貴重だし新しい♪

 

 

コンクリート打ちっぱなしと一面ガラスに挟まれた脇道は、

透明感があってスタイリッシュ。

一番街にこういう脇道がある事が、むしろいいなといつも思う。(*^o^*)

KIKONOは、ハンドメイドの帽子といろんな国のカゴを扱うお店。

 

帽子はぜんぶ自身による手編みで、

夏は木材パルプなど、冬は毛糸で、温もりある帽子を制作しています。

今の寒い時期だと、

コットン、アクリル、ウール、アルパカ、

良い素材を使って丁寧に編んだ、温かく見た目も可愛い帽子たち。

店内でいつも編んでいる様子があって、

ここが帽子作りの場にもなっています。

 








 

見た目の風合い、触った感触、いろんな優しさがあるけれど、

被ってる事を忘れるくらいの一体感。

本当に優しい物って、体の一部になるものだと思う。

 

触っても被ってもチクチクしない帽子を、

KIKONOの住吉さんは以前、

 

「被り心地は大事にしています。

チクっとしたら取りたくなっちゃいますよね。

快適に被ってもらいたいんです。

自分は一日中被っているんですけど、全然痒くならないですよ」

 

と語っていました。

 

今まで、帽子をかぶる習慣もなかったし、

ましてやオーダーで作ってもらおうなんて発想もなかった。

でも、KIKONOの帽子を見ていると

自分でもかぶってみたくなる気持ちがムクムクと湧きあがるのを感じました。

 

そこには、

今までの帽子に思わなかった何かがあったのかもしれません。

ひと言でいうと「自然さ」。

かしこまった、かっこいい、そういう帽子もいいけれど、

それは人と帽子が隔てられているような気もして、

いまいちピンと来なかった。

 

でも、何度も見て知っていました。

KIKONOの帽子をかぶった人がみな

優しく見えるよう変身していく様子を。

 

KIKONOにあった帽子には、

体と一体になるような自然さがあって、

かぶっていることを意識しない自然さがありました。

そして、

もの自体に雪景色や草原、自然を思い起こさせる自然さがあったのが

なにより決め手。

 

気付いたら、思っていたことを

口にしていたんです。。。

 

「KIKONOさんに帽子作ってもらおうかな。。。」

 

ここから始まったオーダーメイドの帽子作り。

帽子を被るのはいつぶりだろう・・・

トレードマークになるような帽子にしたい(*^o^*)

オーダーなんて初めてのこと、どうやって進めていくのかな。

 

帽子作りに向けた10日間の

まずスタート地点に立ちました。


 

☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


 

どんな帽子にしよう?と思っても、全然イメージが湧かない、

オーダーする時に参考にするのが店内の帽子たちです。

並べられた帽子を眺めながら、

気になった形や色、飾りから具体的なイメージを膨らませていきます。

オーダーされる方は、いろんな年代の方がいるそうで、

小さい子ども用から大人まで様々。

 

冬の帽子は10日くらいで、

夏の涼しい帽子はオーダーが多いので、20日くらいいただいているそう。


 

編み方ひとつとっても様々な技法があり、

そこに色も加わると、数え切れないくらいの組み合わせがあります。


最初は、黒やグレーなんていう色も考えたけれど、

せっかくKIKONOに頼むなら

KIKONOらしい帽子がいいなと選んだのが白。

それも真っ白ではなく生成り色。

 

「この色が似合いそう」

 

少しベージュがかっていて、もともとの自然な色、

落ち着いた柔らかい毛糸を見せてくれました。

 

光に当てるとゴールドをまぶしたように、

キラキラと輝く毛糸。

 

どんな帽子にしよう?とデザインの前に、

毛糸から考えた帽子作りでした。

 

帽子じゃなくても、見てるだけで満たされるようなフワフワな毛糸(*^o^*)

この毛糸で!と即断。これに出会って具体的にイメージできた。

(実物を見た時に、「ベーグルみたいですね」という言葉が出たくらい、

美味しそうな毛糸でした。。。)

ウール50%、アクリル40%、レーヨン10%の毛糸。

ウールは保温性、保湿性に優れています♪

 

他にも、こういう毛糸がいいと言うと、

わざわざそのために仕入れに行くというKIKONOさん。

お客さんのために素材から仕入れます。

形は、お店にある帽子は女性向けが多かったので、

いろいろ相談し、編み方をアレンジしてもらうことに。

 

「丸い編み方ではなく、縦の線になるように編みましょうか」

 

隙間がないくらい、ぎっちり編みこんだ形を提案していただきました。

 

一つ選ぶごとに

ぼんやりしたイメージがはっきりしてくるのを感じます。

 

お店の帽子を被って、

もう少し大きめとか小さめ深めなどバランスを見て、

その人なりのサイズに合わせる。


 

KIKONOさんにとってもこの帽子は

一つの挑戦でした。

 

「これは積み重ねていく編み方なので、一番時間のかかる編み方なんです。

でも編むのが楽しみ♪楽しみにしていてくださいね!」

編むのが楽しみと言っていただいて、

余計に楽しみになります。

 

楽しみに待つ人、

楽しみながら編む人、お互いの気持ちを編みこんで

雪景色にそびえる雪山を作り上げるような帽子作り。

一歩一歩登り始める日々が始まります。




今はどこまで進んだかな・・・?考えない日はなく

 

それから5日後。

 

この形でいいか、確認して欲しいとお店に向かいました。

一体どんなものになっているだろう。。。

 

お店に入ると、笑顔で

「ここまでできました」

と途中までできた帽子を差し出してくれました。

まだ、半分くらいです、と言っていましたが、

全体像が見えてきて

ほとんど完成しているようにも見え(*^o^*)

(本人によるとまだまだこれからだそうですが。。。)

これから頂上までの追い込みが待っています♪


 


ちなみにKIKONOさんの帽子作りは、

頭のてっぺんから編み始める、と

この時初めて知る(*^o^*)

てっぺんからだんだん広がって

大きな雪山のような帽子になっていきます。

 

いろいろ相談して話しはしていても、

言葉で伝えたものが

こうして現実の形になっていることに感動。

しかも手編みなので、そこに掛けた時間と手間を余計に考えます。。。

 

もともと物作りが好きだったというKIKONOの住吉さん、

なにより編む事が好きで、生活の中に編み物があるのが自然な事だった。

普段は、一日で編んで完成させてしまうくらい没頭して作る。

そんな話しを以前の取材の時

お店で編み編みしながら聞かせてくれました。


 

まだ未完成といいつつ、試しに頭に乗せてみたりして、

どんな完成になるのか、ワクワクしてきます。

 

「これで大丈夫ですか?それでは、これで進めていきますね♪」

 

ここから最後、頂上までの追い込みを登っていきます。


そしてまた5日後。

 

オーダーしてからちょうど10日経った時です。

帽子完成しましたと連絡をいただき、お店に受け取りに。

 

お店に入ると、ひと際素敵な帽子が置いてあるなあ、と思ったら・・・

それでした(笑)

手間のかかる編み方で、一編み一編み確かに登るように、

そして出来上がった優しい雪山のような帽子。

 

 

風合いも自然、触っても自然、被っても自然、

これがKIKONOの帽子です♪

被っても被っていないような感覚で、

ずっとこのままでも気にならない柔らかさ。

 

この10日の間で、面白いことがあったそう。

 

「この帽子を見て、『試しに被ってもいいですか?』って言われるお客さんが何人もいましたよ」

 

思わず試着したくなるのも分かります。。。(-^□^-)

オーダーの帽子だから、と断っていたそうですが、

いや、全然被ってもらって良かったんですけどね♪


 

これで完成かと思ったら、最後に大事な工程が待っていました。

 

「飾りはどうしますか??」

 

いろんな飾りの中から

白い帽子に合う茶色いボタンをアクセントに選び、

その場で縫い付けてくれます。

 

一つだけでもいいけど、

縦に3つ並んだら素敵かも、と提案していただき

最後の仕上げを見届けました。。。


 


 







 

これが今回オーダーで作ってもらった帽子です♪

自然な優しい風合いで、触ってるだけで気持ちいい。

目が見えないくらいぎっちり編んで、

積み重ね、雪が降り注いだような編み込み。

見ていると、雪平原に風が作った風紋のような情景が見えました。。。

 

既にこれ被って出歩いているので、

見かけたら声掛けてください♪

・・と、宵の市の時に

「それKIKONOさんの帽子ですよね?」と話しかけられ、

さすが風合いで分かるものなんだな、と思いました。

 

帽子を作ってもらうというのは、初めてのことだったけど、

KIKONOさんじゃなかったら頼まなかったです。

この帽子は一生大事にしたいもの。

 

いろんな方のオーダーがあって、

毛糸ごとにそれぞれの物語があると思います。これはその一つ。

 

「楽しんで編みました」

 

その言葉を聞いて、帽子に気持ちがこもっているようで

余計に愛着が湧いて。

待っている気持ちと時間、編んでいる気持ちと時間、

二つが編みこまれていい帽子になりましたね。

 

これからもその一編みから、

優しい自然を生み出してください♪

 

次の物語へバトンタッチ。。。(*^.^*)

 

「KIKONO(キコノ)」

川越市元町2-2-1 Fギャラリー内

平日10:00~16:30

土日10:00~17:00

月・水休


 


 

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