「だんご茶屋 八一八」ひとつぶのお米から | 「小江戸川越STYLE」

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「時が人を結ぶまち川越」
川越のヒト・コト・モノ、川越物語りメディア、小江戸川越STYLE。
川越の現場で様々なまちづくり活動にも従事しています。
「小江戸川越STYLE」代表:石川真


だんご茶屋八一八さん。

ただいまお店お休み中です。イベント出店など行っています。


☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


川越市久下戸(くげど)。

川越線南古谷駅横から南へ、

県道川越新座線(113号線)沿いにある地域で、

のどかな田園風景が左右に広がる川越ののんびりタイム、久下戸。

一直線に続く県道は、走ってるだけで開放的な気持ちにさせてくれる道。

この時、一面の田はもう稲刈りは終わってしまっていたけれど、

地平線に目を細めると、いつでも優しい気持ちになれたりする。


この辺りには、昔から何代も続いているお米農家さんがたくさんいます。

川越の風景として、蔵造りの町並みが象徴的にありますが、

明治の蔵より、ずっとずっと前からここでお米を作り続けている人たちがいて。

川越の、昔から変わらない素の表情が、久下戸にはある。

そんな地区にある一軒のお団子屋さん。

南古谷駅から県道を南へ。

南古谷中学、ファミリーマートを越えて、信号を過ぎたら左に曲がりました。

「また戻ってこれた。。。」なんだか懐かしさがこみ上げる。

ちょうどこの辺は、以前訪れて記事にした「田舎うどん てつ 」が近くにある場所。

久下戸の氷川神社の近くです。


細い道沿いを目を凝らしながらゆっくり進む。

通りに看板が出ていると聞きました。。。鉄構会館(てっこうかいかん)の近くに、

ああ、きっとここだ。

「OPEN」の看板に丸が縦に四つ並んだ「八一八」の看板が目に入りました。
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駐車場に車を止めて外に降りると、

同じ川越なのに市街地と空気が違うこの感じ。

川越ってやっぱり田舎だなあって、なんだかホッとするこの感じ。

川越の久下戸にあるのが、

「だんご茶屋 八一八(やぁや)」

読み方は「やあや」。

このお店を知ったのは、ウニクス南古谷にある天使の小箱の大谷さんの紹介です。!

天使の小箱Hand madeふぇすたin蔵里

同じ南古谷として、交流のある二つのお店。


八一八は、店主の土田さんが笑顔で、

「丸の形が好き」と言うほどなので、

お店の外も中も丸の形がいっぱい溢れていました。(*^o^*)


アーチに、椅子にテーブルにオブジェに、ライトに。。。

丸の形が風景に自然と溶け込んでいて。

ぜひ、あちこちの丸を探してみてください。♪

ここで食べられるのはもちろんお団子。


そのお団子の話しだけでもいいんだけど、

でもそのお団子の背景までを掘り下げたい。

川越でずっと続いてきた米作りの営み、

八一八の団子に今でも大きな影響を与え続けている

おばあちゃんの存在。。。
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八一八のお団子は、代々受け継いできた畑で作ったお米を使って、

玄米・白米のお団子をここで焼いています。

今でも現役のお米農家さん。

外に卸しているのも少しあるけれど、

基本は自分の家で食べる分を作っているそう。

この辺りの農家さんはみんな、

自分で食べるお米は自分で作る、

米や野菜を作って隣近所でお裾分けをし合って、

食生活が半径数百メートルで完結する、


「それがずっと続いてきた、川越の営みです」


今はしなくなったけど、

昔は焼畑を行っていて、その時は一面煙に包まれて

外に出られないくらいだったそう。
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(お店の裏手にあるのが、八一八の田んぼです)


今の時期は稲刈りが終わって、一段落の時。

お店の後ろに田んぼが広がり、目の前には畑。


「田んぼや畑、子どもたちに遊んでもらって全然いいですよ♪」


だそうです。外のテーブルで食べるのもよし、

犬連れの方ならドッグカフェとして外のテーブル使えます。


緑溢れる畑の中に、可愛い小さな建物がある佇まいがなんともいい。

あの建物は、ほぼセフルビルドで建てたそうです。

いかにもお団子屋さん、という雰囲気ではなく、

カフェのような感じで。でも本人は、「茶屋」という表現が好きとのこと。


お店は2008年にオープン。土日のみここで営業しています。


店内は木がいっぱいの優しい雰囲気。

ライアーという楽器で奏でられるBGMが流れていました。

(ジブリ映画「千と千尋の神隠し」のテーマソングで使われていたあの楽器)、

絵本が好きだという本棚にはたくさんの本たちが。

エンデの『モモ』に『はてしない物語』を発見。


そして入ってすぐ、

お店の一番の特等席がどこなのか、すぐに分かりました。。。

外の景色を眺められるカウンター席、

ここが八一八の陽だまりの特等席。
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川越のお団子屋さんの中で、

米から自分たちで作っているお店はおそらくここだけ。

先にお団子よりも、先にお米作りがあるからこそ。

玄米のお団子があるのも珍しいです。

素材にこだわって体に良いものを、

大事に一個ずつ一本ずつ作る八一八のお団子。

たくさんは作れないけれど、

でも本当に美味しいもの、手間をかけたものは

たくさんは作れない事は分かります。


丁寧に米作りに向き合って、

醤油、みりんはもちろん有機で、

油は丁寧にろ過した北海道の菜種油、砂糖は未精製のものを。


「素材のこだわりが半端ないですね」


「でも、その方が美味しいから」


笑顔でさらっと言います。(*^o^*)


以前はランチも提供していて、玄米菜食だった。

米は自作、目の前の畑で作った野菜と使って。


「新鮮だと味が濃いんです。そしてやっぱり美味しい」


久下戸の風景も、昔の一面田んぼからだんだん変わってきて、

新しい家が建つようになった。

若い家族が増え子どもたちで賑やかになって、改めて考えるのは体の事。


「小さい頃に食べるもので味を知る大事な時期。

いずれ大人になればいろんなもの食べるようになると思うけれど、

最初に食べるものは体に良いものを食べてもらいたいなって」


素材にこだわる、

そして全部を手で行うこと。


お米を作って、


収穫したら洗って乾かし、


挽いて粉にしたら、


篩う(ふるう)、


熱湯で練ってから、


棒状にし、


丸める器具でサンドした後、


手で一個一個綺麗に丸める、


それを蒸して、


串に刺して焼き上げます。


使う道具は、昔からおばあちゃんが使っていたもの。。。


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八一八のお団子のメニューは、

・醤油ベースの焼きしょうゆだんご(白米・玄米の2種類)
(焼き上がり時間は、
10:00頃と13:30頃。多少前後します)

・揚げだんご(白米・玄米の2種類)


甘い餡のお団子は、
・あんこのだんご(北海道の『無施肥自然栽培小豆』)
・かぼちゃあんのだんご(長野の『えびすかぼちゃ』)
・白みそのだんご(北海道の『無施肥自然栽培ゆきてぼう』+国産白みそ)


甘みは自分で調節・粉もののお団子、
・麦こがしのだんご(四国のはったい粉+洗双糖)
・きなこのだんご(北海道の大豆きなこ+米あめ糖蜜)


頂いたのは、焼きしょうゆだんごの白米と玄米、

揚げだんごの白米と玄米、

あんこのだんご、

白みそのだんご、です。
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左上の四つ団子が焼きしょうゆ、

下の二つ団子が揚げだんごです。

それにあんこに白みそ。

まさに八一八のお団子のフルコースですね。(*^o^*)


焼き立ての玄米の焼き醤油団子の美味しさは感動的です。

他のお団子なら、一本くらい食べれば充分な気持ちになるけど、

このお団子は5本は食べたくなる。

玄米のお団子を出せるのは、

自分で作っているからできる事なんです。


揚げ団子は香ばしくて、

白みそは自然な甘さ。

美味しい、だけじゃなく、優しいなあ。


そして、八一八のお団子でみたらしがないのは、

川越っ子なら「団子はやっぱり醤油」というのが昔からの味だから。(*^.^*)

川越も狭山も所沢も、団子と言えば四つ焼き醤油団子。


地域で昔から食べられてきた味、

「醤油を食べて欲しい」

醤油にこだわるのは、土田さん自身が、

そのお団子に親しんできたという大事な思い出もあるんです。(-^□^-)


それは小さい頃から作ってくれて食べた

大好きだったおばあちゃんの味。。。


☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


明治生まれの土田さんのおばあちゃんは、

食糧雑貨のお店をやりつつ、

お祭りの時などにはお団子をこさえて出していたそう。


「そのお団子は、小さい頃から食べていた懐かしい味。

おばあちゃんは何でも物作りするのが好きな人で、

大人になったら一緒に何かお店やりたいね、なんて話しもしていて」


おばあちゃんが亡くなった後、

家族で、「おばあちゃんのお団子また食べたいね」

そんな話しが出たりする事もあった。けれど、

もう食べられない事が寂しかった。


いろんなお店でお団子を食べ歩いても、

「やっぱり、おばあちゃんのお団子が一番美味しい!」

改めて、おばあちゃんの存在の大きさに気付かされる。。。

その後、タイミングよくカフェなどで働いたりして、

飲食店っていいな、自分でやりたいな、と思うようになる。

そんなある時、

夢を見た。


「おばあちゃんと二人でお店をやっている夢だったんです」


ハッと気付いた。そうだ、おばあちゃんのあのお団子を作ろう!と。

お団子なら父も母もお手伝いして作っていたし、

自分も小さい頃から大好きだった味、

お米を自分たちで作っているし、

おばあちゃんが使っていた形見の道具も残ってる、


「お団子屋を始める全部の条件が揃っていたんです」


亡くなった後も、大事に保管していたおばちゃんの道具。

焼き台に、

せいろに、

棒状にする道具。
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作る道具も作り方も、

おばあちゃんのままに。


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焼きしょうゆだんご。


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揚げだんご。


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あんこのだんごと白みそのだんご。


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甘いお団子は2回練り返しているので、

凄く柔らかい食感です。

どのお団子も、食べていると自然と畑が思い浮かぶような。。。

目の前で作ったお米でお団子を作るというのは、

こういう事なんだって。


「お団子」と言うと、

「昔懐かしい味」「昔ながらの」っていう表現がよく使われるけど、

八一八のお団子はおばあちゃんの味であり、

今の感覚の美味しさがあります。

そういう意味で、今までのお団子とは違うもの。!

素材にこだわって丁寧に作った、

女性的な優しい味。


お団子が手作りなら、

飲み物の梅糖蜜ももちろん手作り。

これも衝撃的な美味しさだった。。。

自然に沿う事は美味しい。


炭酸水割りを頂きました。
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途中で梅ジャムを入れて気分を変えて。

これはぜひ飲んで欲しいオススメの一杯。

でも期間限定です。(*^o^*)


これがあまりにも美味しくて、

他の飲み物も気になって頂いてしまいました。。。

ほうじ茶です。
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お、美味しい。。。


ほうじ茶以外にも、煎茶・紅茶もあります。♪


ほうじ茶を飲みつつ

ホッと一息ついて外の景色を眺めていると、

だんだん眠くなってくる心地よさ。(*^o^*)

「ずっといたくなる」

そうお客さんが言うのも分かります。
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そうそう、気になった方もいると思いますが、

「八一八」、どうしてこの店名になったんだろう。。。??


それには、偶然のような必然のような、

不思議なエピソードが関係しているんです。


「甥っ子からあだ名で、『やあや』って呼ばれていた事があったんです」


そして、


「以前いた職場で、名前を数字に変える遊びをしていた時。

やあやを数字に変えてみたんです」


そうしたら、「やあや」は「818」になった。

棒に四つの丸、そう、お団子の形。


「これって団子じゃない??」

「ホントだ!」


それは、昔から親しんだ、
四つ焼き醤油団子の形そのままだった。

こんな二つの出来事が同じ時期時に起こった不思議な縁。

これしかないと決めた店名なのでした。
お店を始める時って、

こういう運命的なエピソードがあるものなんですよね。


店内を見回して、丸の形が多いので聞いたら、

「丸の形が好きなんです」

そう言っていた土田さん。


そしてあの時、

実はすぐに言い直していたんです・・・
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「やっぱり、お団子が好きだからかな」


と、笑顔で言っていました。


最初から美味しい味覚を追い求めるより、

自然に沿って素材にこだわればこんなに美味しくなるんだ、と

教えられる八一八の時間。

昔はそういう食が当たり前だったんだろうけど、

今そういう感じを与えてくれる場所って少ないですね。。。

どこにでもあるわけじゃない、

わざわざ探して出かけて行かないと、、、

でもある所にはある、その一つが八一八です。


一本のお団子から自然は雄大なんだって気付かされて、

手間をかけている人がいる事、

川越市内にほっこりできる場所がある。


川越のほっこりタイム、久下戸でした。。。



「だんご茶屋八一八(やぁや)」

川越市久下戸3447

土日営業10:00~15:30(ラストオーダー15:00)

だんごの予約あり(10本から)
休み等は↑サイトに載っています

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