「運命の恋愛」第二話

第一話はこちら
https://ameblo.jp/koremiturie/entry-12607499082.html
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タクロウとの待ち合わせは、彼がひいきにしているショットバー。

 



無口だけど腕のいいマスターが
最高に居心地の良い空間を演出してくれている。

お店に着くと、すでにタクロウは飲んでいた。

「ユウ、ありがとうな。ユウがいなかったら今日の案件、
確実に落としてた。サンキュー。今日は好きなだけ飲んでいいよ」


「タクロウ嬉しい、ありがとう。でも、私がお酒弱いの知ってるでしょ。
それとも、酔った私を介抱してくれるの?」


「酔ったら、タクシーに押し込めちゃうかな......冗談。
ユウはだらしなく飲まないでしょ。気品があるよね。
ユウのそういうところ、好きだよ」


そう言いながら、私の肩に手を回す。だから私は、彼の胸に頭を預ける。
いつも通りの甘い時間の始まり。


彼は仕事のことを熱く話してくれる。私は、じっと目を合わせて大きくうなづく。
そして仕事という戦場を駆け抜けてる同士だからこそ出来る、
鋭く的確なアドバイスをしていく。

「タクロウの、そういうところ好き。
仕事ってさ、人生そのもの.....タクロウ見てて思うの。

仕事への姿勢というか生き様っていうのかな。
真剣に向き合うことができる人って
自分に強さを求めていくよね......」


タクロウはすごく嬉しそうに反応してる。
どんどん、ご機嫌さんになっていく。


その証拠に、かなりお酒が進んでいる。

「飲み過ぎじゃない?明日も仕事でしょ?」

「大丈夫だよ。ユウは心配性だなー。もうー」

そう言いながら、私の髪をくしゃっとしてくれる。
そんな風にされると、ますます好きになってしまう。
でも、気持ちを抑えないとダメな関係。


それは私が結婚してるということもあるけれど、
彼にも同棲している彼女がいるから。
曖昧で複雑な関係の私たち。


お酒も進んで、すごくいい雰囲気。
このまま2人になれる場所に行きたいな.......
そんな風に思っていた矢先、私のスマホにLINEが入る。

「ママー、今日もお仕事遅いの?」

娘のマナミからのLINE。私には小6になる一人娘がいる。
娘は私にべったりで、ママっこ。
だから小6になっても、1人で寝れなれない日もあるみたいで。


時折こうしてLINEが入る。娘は仕事を応援してくれる。
家にたった一人でいる淋しさに耐えられない時に、
たまにLINEを時々送ってくる。

普段はとってもいい子で、ほとんど駄々っ子しない。

「ユウがシンデレラになったな。
もう、お開きにしよう。マスター、チェックして」


娘のLINEが入ると、彼は私をシンデレラって呼ぶ。
そしてどんなに盛り上がっていても、
あっという間にお開きにしてしまう。

それは彼の思いやりなのかもしれないけれど、私は淋しい。
私の本音は、駆け落ちしようってプロポーズされることだから。

駅の改札まで送ってもらったあと、1人になる。
その途端、一気に母親の顔になる。
帰りの電車の中は娘とのLINEラリー。

「マナミ、まだ起きてるかな?
ごめんね。今、帰りの電車だから。もうすぐ帰れるからね」

「あのね、今日はママが作っておいてくれたカレー、1人で温めたの。
パパも遅かったから。ママのカレー、美味しい」

「ありがとう。明日は一緒にご飯しよ」
「わーい!嬉しい!ママと一緒にご飯、楽しみ」


LINEのラリーは止まらない。学校で流行ってること、
女子グループでの悩み、あれこれLINEで話をしてくる。

素直に甘えてくる娘が可愛くて仕方ない。
だけど、恋する気持ちも止められない。



いけない母親だと思いながらも、
燃えたぎる運命の恋愛の炎は止められない。


ーー続くーー