元就君と無動君、レインの話をしています。 | 天明今生・鈴音詠唱

天明今生・鈴音詠唱

オタクという名の崇拝者です、
そして愚痴などを呟き、叫び、
日々を生きる糧としたいです。

も「五馬、やってみたよレイン」

む「おお」

も「ああいうのはどういうものなの?何か、1つ何か終わらせるとぽこっとまた別の1つ

  が出て来るんだ、それを終わらせるとまたぽこ」

む「1つ1つそれなりに攻略していくと次が来る、しかし模範解答はない」

も「そうなんだ」

む「ちなみに感想的にはどうだったんだ」

も「一言でとなると、『それって無茶だよ』だね」

む「成程」

も「俺には無理だよ、だってあの子、機械にめちゃくちゃ強いよ」

む「メカオンチだしなお前」

も「何かさ、途中から全然だよ、あの子が何をしているのかがもう異次元だよ、

  でも結果的にあの子はお父さんを造ってしまったよ」

む「そのお父さん、はどういう感じに見えたんだ」

も「うわーという感じ」

む「成程」

も「人間じゃないじゃん」

む「だな」

も「でも一番うわーとなったのが、もしかしてこの子はお父さん大好き!な子なのかな、

  というやつでさ」

む「ファザコンだと」

も「実はさ…篤麻がさ…うちに来てばかりという頃、俺の父さんにすっごくベタベタと

  していてさ…」

む「そう言えばお前のお父さんとやらを知らないんだよな、職業と酒乱、だけしか」

も「大学では哲学を勉強してたんだ、ああそれと、杵柄家の養子」

む「随分とまあ」

も「それで猫アレルギーだから、俺が小さい頃からずっと保護猫が家の中にいたしね、

  だから自宅だというのに自室に引きこもり生活を長年続けてきていたんだよ」

む「猫アレルギーな方だとお前のお母さんとやらは知っていたのか」

も「知らなかったんじゃない?知ってたらさすがに」

む「さすがにな、まるで家庭内で嫌がらせ行為だよな」

も「…いや、あり得る、よ」

む「何を根拠に」

も「母さんは俺の部屋を荒らす空き巣の犯人だよ、ならば父さんが猫アレルギーだと

  知りながらも、そう、まさに嫌がらせのように保護猫団体と契約をしたんだ、

  父さんがうちの中で自由に動き回れないように、そういう作戦を実行したんだ」

む「過激な思考だな」

も「俺も機械に強くなろう」

む「無理はよくないが」

も「父さんがもしこの先猫アレルギーで死んだとして、そんな憐れな父さんを俺が、

  あの子のように複製してあげるんだ、それが長男としての俺の宿命だよ」

む「猫アレルギーではなかなか死なないんだが」

も「もしもの話だよ、万が一、父さんの死因が母さんによる嫌がらせ行為、猫アレルギ

  ーとなった場合、俺が今から機械に強くなっておいて、父さんを複製する」

む「複製した父親はもう以前のお前の父親ではなくなるぞ」

も「…!!」

む「あの子が複製した父親を思い出せ」

も「お、おかしなお父さんだったよ…」

む「そして」

も「そんなおかしなお父さんをあの子はぼっこぼこにぶっ壊したんだ…」

む「そんなこと、出来るのか、お前に」

も「出来ないよ…俺が父さんをボコボコにしてしまったら父さんが即死する」

む「よっ、体力テスト2年連続首位」

も「じ、実はさ」

む「まだ何か」

も「俺、あの体力テスト、おかしいんじゃないのってみんなに思われたくないから、

  全然、その、本気で挑んでないんだよね…」

む「ほう」

も「何だっけほら、遠投」

む「ソフトボールを投げるやつな」

も「あれも手抜きをしてたんだよね、実は…」

む「本気を出した場合、どれくらい投げられるんだ?」

も「本気を出したことがないんだ、だから分からない、でも左手で投げて、

  今年の春の記録は3キロを超えて」

む「俺はその測定をした方を知りたい」

も「し、しばらく帰ってこなくて、中断したんだよね…」

む「左手で投げてってことは右利きでいいんだな?」

も「あ、いやあ、そういうの全然分からないんだよ」

む「文字を書くのは」

も「右手」

む「他に何かで左手を使ったり」

も「たまに文字を書くのが左手」

む「両手利きか、いいなそれ」

も「え、普通じゃないって思わないの」

む「俺は両手利きになりたい、自由に両手を器用に扱えたらいろいろ可能になる」

も「いろいろって何」

む「いろいろだ」

も「気になるよ」

む「例えば、杵柄元就の全裸を両手で器用に触りまくれる」

も「…前もそんな話があったよね」

む「全裸鑑賞券な」

も「そ、そうだ、五馬もさ、俺をあの子みたいに複製してしまえばいいんだよ」

む「は?」

も「複製した俺を全裸にして触りまくればいいよ、うんうん、それがいい」

む「馬鹿を言え、複製は複製、俺は本物のお前の全裸を見て此の手で触りまくりたい、

  そんな俺の微かな希望を打ち砕かないでくれないか」

も「そ、そこに何かがあるのかな…」

む「ある。」

も「何があるんだ、まず目的、何故俺の全裸所望なのか、それを知りたい」

む「見て触りたい、それだけだ」

も「えーと、ちょ、ちょっと俺、身の危険を感じているよ」

む「何も取って食おうというわけではない、眺めまわして触りまくる、それ以外に

  望みはない。友達相手に恋愛感情とかを抱くっておかしいだろ」

も「眺めまわして触りまくる先に何があるんだよ、何かが始まってしまうよ」

む「始まってない」

も「は、始まるような言い方だよ」

む「俺の側では始まってない、お前の側では何も始まらない」

も「とにかくさ、俺を複製しなよ、ね?」

む「なら複製する為に俺の前で全裸になってくれ、そして触らせてくれ」

も「だからさ、完全に複製をするんじゃなくて、これっくらいっかなーくらいの」

む「完全再現をしないと俺の気が済まない、目的が果たされない、そういう責任を

  お前は取ってくれるのか、どうなんだよ」

も「俺の方が責任を取ってもらいたくなるよ」

む「なら、交換条件といこう」

も「お、う、うん、五馬にも利点、俺にも利点、という交換条件だね」

む「俺はお前の全裸鑑賞と触りまくる、それが利点だな」

も「つまりはそこでもう俺は全裸だね」

む「そうなるな」

も「その全裸の俺にとっての利点、が交換条件になるんだよね」

む「そうなるな」

も「既に全裸になっている俺に何か利点があるのかな」

む「一応誰にも邪魔されずにしたいので、2人きりだな、室内で」

も「じゃ、邪魔をされずに…」

む「嫌だろ、公開で全裸は」

も「嫌だよ」

む「なので目の前には俺しかいないわけだ、交換条件を呑むのも俺だ、そうなれば

  自ずと目の前にいる俺に対するお前の利点が交換条件になるな、

  何がしたいんだ」

も「何がしたいんだって、それは俺の台詞だよ」

む「先程から俺の目的は話しているぞ」

も「だからさ、全裸の俺を眺めまわして触りまくる、その目的だよ」

む「だから目的が全裸鑑賞と触りまくる事だって」

も「だからさ、何故それを目的としているかの目的だよ、ああなんか頭がごっちゃ、

  もういいじゃん、俺を複製してしまっていいよ、あ、その俺の複製さんは名前を

  つけたりする?」

む「名前か…本来なら杵柄元就という名前をつけたいんだが」

も「それじゃあ複製とならないよ、本物の俺みたいだよ」

む「別の名前か…どうしても固有名詞は外せないからな、『俺の杵柄元就』でどうだ」

も「何かもう違うよ」

む「別の名前か…『俺だけの全裸ver杵柄元就』」

も「何かもう嫌だよ」

む「別の名前か…『ド直球ドストライク杵柄元就』」

も「前からそれ、ずっと言ってるよ」

む「仕方がない、本当にド直球ドストライクだから」

も「俺のどこにそんな野球系の異名が?俺、野球の経験はないよ」

む「例えだ、断言すれば『俺にはお前しかいない』という意味と同じだ」

も「もう何かが既に始まっているよね」

む「始まってない」

も「五馬はさ、友達相手に恋愛感情は抱かないみたいなことを言っているけど、

  絶対に俺の全裸をもう既に好きなんじゃないの」

む「恐らくな」

も「ほらー!!」

む「恐らくという段階だ、体育の時に着替える、その時のレベルでは恐らく、

  という段階だ。直に此の目で眺めまわして触りまくったら別次元だ」

も「俺を何だと思ってるの」

む「友達だよ」

も「友達には恋愛感情を抱かないんだよね」

む「当たり前の話だ」

も「でも俺の全裸はもう『恐らく好き』なわけだよね」

む「本気に至れていない」

も「本気になってしまうんだよね、別次元になるって言ったよ」

む「本気というより真剣、それ以外考えられない程に夢中、というレベルになると

  思われる。推測の域を超えていないんだが」

も「それはもう恋愛感情だよ」

む「あのさ、恋愛感情は心の問題だろ、外見や能力だけで黄色い歓声を浴びるどこぞの

  アイドルさんと真剣に交際には発展しないだろ、あくまでファンとアイドルという

  間接的な関係性だ、それと同じだ」

も「つまりはその」

む「俺はお前の身体のファン、そしてお前の身体は俺のアイドル」

も「俺の身体目的だよね、よく分かったよ」

む「分かってくれたか」

も「断りたいね」

む「交換条件、俺は結構譲歩するぞ、もはやお前のパシリになってもいい、こき使う

  奴隷になってもいい、蔑む奴婢となってもいい」

も「そんな関係性を俺は友達に求めないよ」

む「日々罵倒してくれてもいい、日々蹴り飛ばしてくれてもいい、顔を合わせればもう

  殴り飛ばしてくれてもいい、もう俺を殺してくれて構わない」

も「ちょ、」

む「死罪にしてくれて構わない、死んでお前の生き恥を償う」

も「え、ちょ、」

む「むしろ俺が生き恥を感じてもいい、例えば過去の一件の続きをしてもいい」

 

(過去の一件=五馬無動全裸未遂事件:俗に、五馬無動激怒事件とも呼ばれる)

 

も「過去の一件?」

む「高等部1年の5月中旬の話だ、今江が俺にホームルームの最中に教卓の前で全裸に

  なれと言ったことがある、それの続きをしてもいい」

も「え、今江は今江で五馬の全裸鑑賞券を欲しかったの?」

む「あ、別に俺はそんなことで生き恥を感じないんだ」

も「俺だったら死にたくなるよ」

む「俺の生き恥って何だ」

も「し、知らないよ」

む「生きているだけで恥と感じる行為?何かあったか?俺に」

も「ありますよ」

む「何だ」

も「俺に対して全裸希望としていることだよ」

む「いや、全然。それでは俺にとって何の生き恥にもならない」

も「俺に全裸をと言っていることがもう恥だよ」

む「恥ではなくて微かな希望だ、もしも叶うなら嬉しいな、という願望だ」

も「お願いします、俺の複製で我慢してください」

む「だからその複製を完全再現する為には本物を此の目に焼き付けないと、

  此の手で感触を確かめないと、完全再現をさせたいのなら全裸になってくれ、

  そして全身を触りまくらせてくれ」

も「俺にとってはなーにも利点がないよ」

む「目の前に俺が居る、そんな俺に対しての望みがあれば応える、交換条件だ、

  何がしたいんだ」

も「…だからそれは俺の台詞なんだよ…もういいよ、俺が五馬の複製を作るよ、

  そして本物の五馬を完全無視するよ、複製した五馬をこれから友達だとするよ、

  さよなら本物の五馬君」

む「ならこの一件は却下、という返事でいいんだな」

も「そうなるよ、本物の五馬君」

む「分かった、諦める」

も「え、」

む「無理強いをしたところでそれはそれで人生の汚点となるんだろうから、

  なら俺が諦める、我慢する事で解決する」

も「あ、諦める事が可能だったんだね…」

む「微かな希望であっても絶対にそれが叶いますという保証はない、

  流れ星に3回お願い事をぶつくさとしても願いが叶うとは言い切れないだろ、

  俗に迷信とされる行為だ、

  それに人には限界がある、時に諦める事も大切な選択の1つだ、

  悪かった、ついつい熱弁を振るった」

も「うん、いつもよりぐいぐい来るなあと思ったよ、多弁だったし」

む「それくらい本気で真剣だった、としてくれ」

も「…」(何だかどんどん罪悪感に苛まれていく元就君)

む「それで話は変わるんだが、レインに関して他に何かあるか」

も「…、え、え?何?」

む「父親の複製を果たした機械女子、な」

も「あ、ああうん、そしてお父さんをぶっ壊した娘ね」

む「途中で精神を疑うみたいなイベントがあっただろ」

も「あー、そうそう、何かそういうぽこ、があった」

む「俺も結構悩んだんだよ、俺の精神状態も疑うべきかとかな」

も「情緒不安定だと思うよ」

む「仕方がないよな、ちょうど俺達の年頃って思春期の終末期だろ」

も「いや、別な意味で」

む「個々で悩む事は別だしな、そうか、俺は情緒不安定か、ならすべきことは1つ」

も「何か対策をするんだ?」

む「実は俺の趣味の1つに座禅がある」

も「しゅ、趣味で座禅…」

む「実家の一室、と言っても親父の部屋なんだが、防音室でさ」

も「中の音を外に出さない」

む「逆に外の雑音も中に入ってこない、そこで約半日座禅」

も「お父さんは、…ああそうか、仕事でいないんだよね」

む「あんなでも多忙な医者だしな」

も「ちなみにお父さんの部屋に勝手に入っていいの」

む「何か知らんが、いつでも好きに入って好きに使ってくれ、と言われてるんだ、

  母ちゃんの部屋には絶対に入らないで欲しい、と親父は懇願して土下座してくる

  がな」

も「気になるね」

む「うちの親父は母ちゃん命だからな、…うわ、」

も「どうしたの」

む「…蕁麻疹」

も「あー、五馬って家族の話になるとそうなるんだよね、…家族アレルギー?」

む「親父&母ちゃんアレルギーだな、アレルゲンが親って何だかな、叔父叔母には

  こんな状態にならんが、実の両親に対してだけこう、蕁麻疹がな」

も「…耐性をつけるために、お父さんとお母さんの複製を作る、とか…」

む「俺に死ねと言いたいんだな」

も「え、か、家族アレルギーでし、死んだりはしないよ」

む「…今ちょっと想像しただけで具合が悪くなってきた、悪い、保健室行く」

も「ご、ごめん」

む「お前も父親に対してもう少し優しくしてやれよ」

も「分かったよ、父さんに猫の複製を送り付けてみる」

む「それは飴と鞭での鞭だ、びしばしぶっ叩かれて父親が死ぬぞ」

も「分かったよ、母さんにブツを投げつけておくよ」

(元就君がよく言っているブツというのは牛乳、パックの1リットルの牛乳)

む「すまん、薬をつけてもらってくる」

も「う、うん」(すっごくすっごく罪悪感に苛まれてしまった元就君)

 

も「…ぜ、全裸、になってあげた、方がいいんだ、よな…で、でも俺にとっての利点、

  目の前に居る五馬に対して何か望みを、…えー?交換条件だよな、俺はもうその

  時全裸、そんな俺が二人きりの密室で目の前の五馬に望む事?利点になるような

  何か、…えー、既にもう全裸の俺に何か利点がある?交換条件だよな、…交換、

  交換する条件、…うーん、交換してもいいよという条件、…あ」

 

戻ってきた無動君。

 

む「痒い…でも搔きむしると悪化する、この痒さとの戦いも原因が親」

も「あ、五馬、俺、交換条件を思いついたよ」

む「ん?」(確かそういう話をしてたっけか、というレベル)

も「俺の目の前で五馬も全裸になるんだ」

 

これは事件です。