【289話】でもそれくらい本気なんだ…傷ついていたのは海くんの方だった | 恋心、お借りします

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【289話】でもそれくらい本気なんだ…傷ついていたのは海くんの方だった

 

はいどーも!かのかり楽しんでますか?甲楽わんです。

 

2023年7月7日よりアニメ3期の放送が始まりましたね!僕は、不安半分、期待半分という感じです。映画製作編は最も人気があるエピソードなので、やっぱり視聴者の反応が気になりますね。

 

よろしければ、アニメ3期の前に、水原千鶴の視点でかのかりを振り返ってみませんか。

 

水原千鶴視点のかのかり解説&レビュー「水原千鶴の恋物語

水原千鶴の恋物語|恋心、お借りします (ameblo.jp)

 

千鶴の視点で、和也への恋心を含めた気持ちの変化についてまとめた解説記事です。アニメでは分かり難かったし、原作漫画を読んでいる方でもほとんどが気づいていないでしょうが、アニメ2期の範囲で最も大きなイベントは「恋の自覚」でした。和也に恋しているんだと千鶴が気づいたということですね。それについては特別に記事にしているので、こちらもぜひご覧ください(【解説】超重要回 水原千鶴が「私 和也が好き」と気づいた瞬間!)。

 

 

 

それでは、最新話の話に移りましょう。

 

289話、まさか海くんがそこまで千鶴に本気だったとは!めちゃめちゃ驚きました。同時に「え?海君、かわいいところあるじゃん」と、海君が途端に僕に歩み寄って来てくれたような感じがしましたね。

 

◆千鶴に告白した後 笑顔を作って去っていく海くん 289話

 

千鶴と和也の間に割って入る海くんは、多くの読者にとっては邪魔者に見えたかもしれません。しかし、僕には彼が、和也や瑠夏、そして僕らと同じように、ただただ恋がうまくいかないと悩む、普通の人間に見えました。和也と何も変わりやしない。彼への好感度が爆上がりする回でしたね。

 

ここ数話を海くんの視点で振り返り、彼の外側に広がっている景色や彼の目の前で起こったことを整理しましょう。彼の胸で疼く痛みが感じられるはずです。

 

 

  海君は本気だった

 

僕は「どれだけ海君が千鶴に拘っているのかは不明である」と話してきました(【287話】中野海から見た「彼女、お借りします」)。彼の千鶴への思いを示唆するバックストーリーが描かれていないからです。それを大前提として、特に千鶴に固執する理由が描かれていないということから、僕は「海くんは不利な状況を無視して千鶴に恋人関係を迫る(アプローチ)することはないだろう」と見立てていました。その見立ては、「好きだよ」と彼が千鶴に話した288話以降も変わりませんでした。

 

しかし、実際にはそうではなかったわけです。海君は僕の想定しているより、ずっと千鶴に本気だった。具体的に物語の中では説明されなかったものの、彼の中には明確なきっかけと理由、思いがあって、他の女の子じゃダメだったんですね。

 

海君は一度千鶴にフラれていますし(127話)、千鶴には他に好きな人がいると知っています。かなり不利な状況です。また、海君の周りには女優のタマゴみたいな可愛い女の子がたくさんいて、デートに誘われたり告白されたりしたこともあったでしょう。それでも海くんは、「別の女の子で良いや」とはならず、「やっぱり千鶴ちゃんがいい」と思い続けていたわけです。

 

海君がこんなに一途な奴だとは…!

 

正直、予想外でした。確かに、海君には男としてのプライドみたいなものがあって、和也には負けたくないという感情が諦められない一因になっているのかもしれません。それでも、僕なら、僕の気持ちに答えてくれない千鶴ではなく、好きだと言ってくれる他の女の子とイチャつく方を選んでしまいそうです。不利な状況だと知っていて、それでも諦められなかったというのは和也と同じです。なんだか海君も可愛らしく見えてきました。

 

 

 

  ”波乱”が起きていたのは海くんの方だった

 

僕は最新話が更新される水曜日の深夜に、毎週ツイッタースペースを開いています。

 

そこでは、かのかり大好きな人たちと共に、読者や主人公の視点に囚われず、千鶴をはじめ様々なキャラクターの視点で最新話を振り返り、議論しています。

 

そこで中心的なトピックとなったのが、「本当に”波乱”が起きていたのは海君の方だった」というものでした。和也や八重森さんは、海君の登場に千鶴との関係を疑い、困惑していましたが(波乱が起きていたが)、海君の方がずっとパニックだったはずです。

 

 

(詳しく聞きたい方は、30日間{~2023年8月5日}アーカイブが残っているので、上のリンクからぜひ聞いてみてください。また、コメントはハッシュタグ #オフじゃなくもない会 でお待ちしております)

 

用事(小百合さんへの挨拶)があってちづるちゃんの実家を訪れると、そこにはちづるちゃんだけではなく、彼女の好きな人(木ノ下くん)が一緒に住んでいたわけですからね。

 

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◆ちづるちゃんの家を訪ねるとそこには和也君が… 287話

 

二人はもう付き合ってるってこと?同棲までしてるの!?と、突然想像だにしていない辛い現実を突きつけられ、困惑して当然です。「来客中かな…」と言って平静を装ってはいるものの、内心大荒れだったはずです。

 

その後、同棲ではなくルームシェアだと説明され、多少は落ち着いたでしょうが。ちづるちゃんと木ノ下くんの関係は着実に前に進んでいたわけです。

 

より不利な状況が彼を焦らせたのかもしれませんね。海くんは改めて千鶴に好きだと伝えます(288話)。

 

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◆「拒絶」の表情を見せるちづる 289話

 

しかし、彼女の表情は暗く、明らかに拒絶のサイン。海君は千鶴を諦める決心がつかず、返答を言わせません。

 

ごめん

今はあんまり聞きたくないかな…

俺にも もう少しだけ 時間が欲しいな

”ちづるちゃんを好きでいる時間”が…

 

自分が不利な立場だと重々自覚していたうえでの告白でしたが、やはり状況は覆せず、改めてこの恋が叶わないという現実を突きつけられただけでした。仕方なく、ちづるちゃんからの返事を保留します。

 

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◆でも それくらい本気なんだ 君のこと… 289話

 

女優としてのリスクを負ってまで、ちづるちゃんは和也くんとの関係を続けている

ルームシェアではあるものの、彼と一緒に生活をしている

ますます縮まっていた、ちづるちゃんと和也くんの距離

一向にこちらには向かない、ちづるちゃんの気持ち

改めて突きつけられた、拒絶のサイン

 

海くんは笑顔を作り帰っていきましたが、今回彼の目の前で起こったことを考えれば、タクシーの中での彼の心中は簡単に想像できますね。めちゃめちゃしんどかったはずです。とても冷静ではいられなかったはずです。

 

今回、和也は海君が千鶴のことが好きだと知り、彼女を奪われるのではないかと不安でいっぱいです。その気持ちは、海君も同じなんですね。いや、和也の方は千鶴を海君に奪われてしまうのではないかと根拠もなく不安が膨らんでしまっているだけですが、一方海くんの方は明確に拒絶されてしまっています。海君の方がよっぽど辛い状況です。本当に深く傷ついているのは、海くんの方ですね。

 

好きな人にはすでに好きな人がいて、という状況は多くの人が経験したことがあると思います。僕もそういう経験があって、好きな人が僕には見せてくれないような笑顔を他の男に向けていたり、アプローチを仕掛けても反応が悪かったりして、それで落ち込んで、胸が痛くて、それでも気持ちを切り替えて無理やり前を向いて。そんな経験があります。「そっか。海君の辛い気持ちはコレかぁ」と想像を巡らせてしまいましたね。

 

海君については描かれていない部分が多く、少し遠い存在だなと感じていたのですが、今回のエピソードで彼への好感度がバカ上がりました。やっと友達になれそうな気がします。

 

次に海君が和也や千鶴の前に現れるとき、不利な状況をどう捉え、どんな思いを抱き、どんな行動に出るのか、とても気になります。今回彼が「もう少しだけ好きでいる時間が欲しい」と語ったとき、「やっぱりちづるちゃんと和也君の関係がはっきりするまでは諦められない」と好きでい続ける決意をしたのかもしれないし、もしかしたら逆に、「気持ちを整理して諦めるための時間が欲しい」とほとんど心が折れていたのかもしれません。そこはかなり振れ幅があるので、彼の恋がどう進んでいくのか注目しておきたいですね。

 

とはいえ、いずれにしろ千鶴と和也のカップルは確定しているので、これから海君には辛い未来が訪れます。それでも、この恋に後悔のないよう頑張ってほしいですし、これからの彼の人生を応援してあげたいなと思いましたね。和也に負けないように、海くんも頑張れよ、という気持ちになりますね。

 

 

 

という感じで、289話を振り返ってみました。

 

あっと、千鶴と和也の話を少しだけしますね。和也は海くんが千鶴のことが好きだと知って、彼に奪われてしまわないかと不安でいっぱいです。ですが、もちろん千鶴には海君と付き合う気なんて全くありません。まさに「すれ違い」が起きているわけです。これぞラブコメの王道。このすれ違いを二人がどう乗り越えるのかが、来週以降のテーマですね。案外簡単に解決するかもしれませんし、ハワイアンズ編当初(瑠夏が和也とエッチをしたとブラフを打ったとき)のように、そこそこ長引くのかもしれません。

 

ここ数話、読者の海君への風当りが強くなってしまっています。確かに海君は多少強引なところはあるし、告白をしておいて答えさせないやり方はズルいかもしれません。それでも、彼が千鶴に迷惑をかけたり、人として道理に反することをしたでしょうか。僕には、多くの読者が彼を「嫌な奴」にする理由を一生懸命掻き集めているように見えます。

 

多くの読者は千鶴と和也が辿ってきた道筋やドラマを知っているため、二人の関係がうまくいくことを願っています。「これだけ和也は千鶴のために頑張ってきたのだから、彼が選ばれるべき」「海くんはさっさと身を引くべき」と思ってしまうんです。読者を主人公の味方につけるというのは、漫画をはじめすべての脚本で必須で(主に起承転結の「起」、三幕構成なら一幕目で行われる)、かのかりの読者も知らず知らずの内に和也の味方になってしまっています。なので、和也の気持ちには共感しやすく、海くんの気持ちには共感し辛いのは当然なんです。それが正しい。だから、些細なことを理由にして、邪魔者である彼を「嫌な奴」に仕立て上げたくなる、そんな感情を掻き立てられるのは当然です。それが、王道で、普通で、宮島さんの望んでいる漫画の楽しみ方だと思います。

 

ただ、こうやって整理をしてくと海君はただ恋をしているだけじゃないですか?和也と同じように、恋をしているだけですよね。何か理由をつけて好きな人に会い行ったり、恋愛事情を探ってしまったり、他に好きな人がいると知って凹んだり、それでもわずかな可能性を信じて諦められなかったり、僕らと何ら変わらないやり方で恋をしているだけです。主人公の和也の視点から抜け出して、他のキャラにも歩み寄れるようになると、「彼女、お借りします」の楽しみ方が一気に広がりますね。

 

では、また次の記事で!