【234話】千鶴の真実を知る女 八重森みに
はいどーも!甲楽わんです。かのかり楽しんでますか?
◆和也が千鶴とキスをしたことに喜ぶ八重森さん 234話
234話、八重森さんが師匠と水原さんがキスをしたことを知り、嬉しさのあまり泣いちゃいましたね。ずっと師匠の恋を応援してきた八重森さんからしたら本当にうれしい出来事だったわけです。
八重森さんは同時に、師匠が三か月も水原さんに避けられていることを聞かされます。二人は上手く行っている。キスをしたと言う事実を聞かされたらそう思って当然。なのに、どうして。マジで謎すぎる水原さんの行動に八重森さんもびっくりです。
コスプレ系Youtuberであり、独特の世界観をもった八重森さん。ころころ変わる表情や突飛な言動、大胆な策略で読者を楽しませてくれます。そして八重森さんと言えば、和也と千鶴の恋の成就を願う、キューピッドですよね。師匠と水原さんの恋に成就を願い、ときにはやりすぎてしまうことも(撮影旅行のとき無理やり二人きりにするとか)。
しかし、物語における八重森さんの役割はそれだけではありません。『読者代表』とか、『乙女の顔ゲッター』とか言ったらいいでしょうか。今回は、初めて八重森さんについて語ってみたいと思います。
読者代表 八重森みに
皆さんはシャーロックホームズ(著 コナンドイル)という小説を知ってますか。名探偵であるホームズが難事件を解決してくお話です。ワトソンというキャラは、ホームズの友人です(加えて小説の語り手でもあります)。
ワトソンは物語の登場であると同時に、読者代表でもあります。たとえば、なにか事件が起こったとする。そいうときワトソン君は、『これはおかしいですね』とか『これはどういうことでしょうか』とか名探偵のホームズに聞くわけです。するとホームズが、推理を始め彼の考えを教えてくれるわけです。こうやってワトソン君は、起こった出来事を整理し、理解できない点や疑問点を明確にし、読者に提示する役割を持っています。
八重森さんも、同じような役割を担っています。和也がクラウドファンディングを始めたころ(115話)、千鶴と和也の関係を聞かされた八重森さんは、「水原さんも好きに決まってる」と言います。千鶴が利用規約違反と言うリスクを負ってまで一年も和也との嘘の恋人関係を続けたという事実を整理して、そう言っているわけですね。一見、テキトーな意見を言っているように見えますが、そうではないです。客観的に考えてみてください。レンタル彼女の仕事を解雇されるリスクをずっと負い続け、何度も嘘の報告を事務所にして和也との関係を続けてきたことを考えれば、誰が考えても、ただ千鶴がお人好しだからでは説明付きません。なにか「特別な想い」があるのは間違いありません。
千鶴と直接接している和也は、どうしての彼女の演技や理屈も誤魔化され、千鶴の本心には気づけません。千鶴が言っていることに疑問を持たず、簡単に納得してしまいます。しかし、少し遠いところで客観的に和也と千鶴を見られる八重森さんは、二人の間に起きた出来事(千鶴が和也に何をしてきたか)をかなり客観的に整理できます。彼女の視点は、物語をよく理解している読者に近いと言えます。そうやってこれまで二人が過ごしてきた時間を整理してくれるわけですね。だから、八重森さんは、かのかりにおけるワトソンくんだと言えるわけです。まぁ、加えて的確な推理もするので、名探偵ホームズの役割も持っていると言えるかもしれません。
◆千鶴が和也にキスをしたことなど状況を整理する八重森さん 234話
234話でも、千鶴が和也にキスをしたことや、告白を聞いたうえでキスをしたのだからそれは好きのサインだとか、避け続けているのはおかしいだとか、和也と千鶴の状況を八重森さんが整理してくれています。
千鶴の図星を突く 八重森みに
八重森さんは和也と違って千鶴の理屈や演技には騙されません。ちゃんと真実に気づいているんですね。基本、言っていることは正しいんですよ。
八重森さんが登場したとき、ベランダで仲良く話をする千鶴と和也を見て、イチャイチャしてるんだったら付き合っちゃえばいいと言います(105話)。
◆そんなにイチャイチャしてるなら 付き合っちゃえばいいのに 105話
二人には自覚は無くても、はたから見たら恋人同士もしくはそれくらい仲がいい二人に見えるわけですよね。このとき千鶴は、すでに和也を好きになっていて、自分の気持ちが恋だと自覚しています(【解説】超重要回 水原千鶴が「私 和也が好き」と気づいた瞬間!)。だから、恋人同士に見られているのが恥ずかしくて、顔が真っ赤。表情を見せたくなくてうつむいてしまいます。そして、その後和也の部屋を訪れた千鶴は、イチャイチャする気なんてないと必死に自分の恋心を否定しちゃうわけですね(107話)。
さらに八重森さんは、和也から千鶴との関係を聞き、千鶴の方も和也のことが好きだと考えます。そしてついに、クラウドファンディングの返礼品を探しているとき、千鶴の本心を探ります(121話)。
◆和也との関係は協定だと言って 本心を明かそうとしない千鶴 122話
彼氏として師匠とかどうなんですか。そう聞かれた千鶴は、和也に対する恋心を知られたくなくて、隠そうとします。和也からは私のことは好きではないと聞いているし、彼との関係は協定なんだ。そう和也と自分は恋人にはならない理屈を並び立てて、八重森さんには本心を明かさないようにするわけですね。そして能面をつくり、図星を突かれた戸惑いが顔に出ないようにします(13-18巻・前編 水原千鶴の恋物語 満足度④)。
八重森さんが千鶴の本心を言い当てることで、千鶴のリアクションを引き出しているわけです。もし八重森さんの言うことが的外れならなら、千鶴はそれは誤解だと単純に説明すればいいんです。しかし、八重森さんが言っていることが正しいから、何かそれらしい理屈をつけて誤魔化すしかありませんし、戸惑いが顔に出そうになってしまいます。八重森さんがいることで、そういう千鶴のリアクションを見せられるわけですね。八重森さんは「乙女の顔ゲッター」なわけです。
と言う感じで234話を振り返ってみました。いや、ほとんど234話の話ししていませんね笑。話したのは八重森さんについてです。
多くの読者が、そうだよ、そうだよ、八重森さんの言う通りだよ、早く付き合っちゃえよと思ったんじゃないでしょうか。八重森さんが言った通りです。好きでもないのに、キスなんてできるはずがありません。誰がどう考えても、水原さんは師匠のことが好き。
次の235話では八重森さんが千鶴の本音に迫ります。千鶴の言うことには多くの嘘がありした。次は、「千鶴の嘘」というタイトルの記事を予定してます。では!また次の記事で!