【205話】あなたの彼女でいられて 幸せ | 恋心、お借りします

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【205話】あなたの彼女でいられて 幸せ

 

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【204話】本当の娘みたい 追いつめられた瑠夏は!?

 

 

はいどーも!甲楽わんです。かのかり楽しんでますか。

 

205話は、この旅行のまとめみたいなお話でしたね。

 

 

◆誘ってくれて ありがとう 205話

 

誘ってくれて ありがとう

 

迷惑をかけてごめんと謝る和也に、そんなことないよと伝える千鶴。誘ってくれてありがとう。その気持ちは、本物ですね。千鶴はこころから、この旅行に来てよかったなと感じています。

 

和也に「君がいい」と伝えてもらい、ドキドキの「彼女」の時間でした。和おばあさんにも、家族が居ないだなんて思ってほしくないと言ってもらえました。千鶴は、この旅行で和也の彼女として過ごせて本当に幸せだったんです。彼の彼女になれる未来が見えているから、はじめて感じた幸せもありました。ふふふ。なんだか見てるこっち恥ずかしくなってしまいます。

 

今回は、千鶴の視点でハワイアンズへの旅行を振り返りながら、この一言にこめた想いというか、このとき千鶴の目に移っていた景色について語っていこうと思います。

 

 

  ざっくりデート2回分くらい

 

おっと、そのまえに。それまで謎だったこの旅のレンタル料金について話しますね。特に海外ファンの間では、今回レンタル料金を請求した千鶴への批判が巻き起こっているので(日本のファンは誰一人そんなこと言ってませんよ)、この話はしておこうと思います。

 

◆まぁざっくりデート2回分くらいってことで 205話

 

千鶴は、和也とふたりきりになると、この旅のレンタル料金について説明します。ざっくりデート2回分くらいだそうです。ふふふ。もう千鶴は、まともにお金を受け取る気がないっすね。請求額がざっくり過ぎるw。千鶴が全額請求なんてできるはずないし、その気もない。レギュラーデート3回分(2時間×3回)という僕の予想は、ほぼ当たりでしたね。

 

そもそも千鶴が和也にレンタルしてもらっている目的は、お金を稼ぐことではありません(他のお客さんとは生活費を得ることが大きな目的となっていますが)。和おばあさんに2人の嘘がバレないようにしたいし、和也の彼女でいたいからです。お金を稼ぎたいのなら、毎回利用規約を破らないといけないお客はあまりにリスクが大きすぎます。さっさと縁を切った方がイイ。千鶴はずっと、その危険を承知で、レンタル彼女としては間違ったことをしているという気持ちと葛藤しながら、それでも彼の力になってあげたくてレンタルを続けてもらってきたんですね。

 

◆いえ… なんでも… 186話

 

この旅行だって、ただ「和也の彼女でいたい」という一心でついてきました。私はレンタル彼女だから、この旅行は断らないといけない。それは分かってる。頭では、ダメなことだって分かってる。でも、もし私が「行けない」って言ってしまったら…。瑠夏ちゃんが和也と楽しそうにしている姿を見たくない。和也は私が好きだと言ってくれた。和也の彼女は、”私”なんだから(【186話】レンタル彼女より大切なもの 和也の彼女は私 )。

 

今の千鶴には、レンタル彼女として正しさよりも、和也の彼女でいることの方が大事なんですね。だからこの旅行に着いて来る決断をしたんです。当然、個人的な感情でこの旅行についてきたのに、和也にレンタル料金を請求してごめんなさいという気持ちあるでしょう。さらにさらに、和也との嘘の恋人関係は、千鶴がお願いして続けてもらってきた(91話)。あのとき、和也が提案した通り「別れる」と小百合おばあさんに話せていたら、この状況にすらなっていないはず。この旅行で、和也が千鶴をレンタルしないといけないという状況を作ったのは千鶴です。正直、全部千鶴が悪いです。千鶴もそれは良く分かってるはずです。

 

本音では、この旅行でのレンタル料金を受け取りづらいはずです。でも、タダでいいとも言いづらいんです。だってうまく理由を説明できないから。和也と千鶴の間では、彼女でいるのは、仕事だからということになっています。仕事をするのに料金を受け取らないのは間違っているし、それは和也が納得しないでしょう。これまで映画製作も含め和也にはたくさんしてもらったから、その「お返し」として今回はただで仕事してあげると言うこともできるのですが、きっと和也は「映画製作は俺がただやりたいからやっただけで、そんな気遣ってくれなくていい」と言うでしょう。それくらい想像つきます。結局、和也の彼女でいたくてこの旅行についてきた千鶴は、「タダでいいよ」と言ってしまったら、和也を納得させられる理屈が見つからない。まぁ、和也に彼女でいたかったからこの旅行についてきたと本音を伝えれば納得はしてもらえるかもしれませんが、千鶴がそんなことができる女の子ならもう和也の彼女になれてます。

 

和也を納得させられて、かつできるだけ彼への負担の小さくするためには、どうしたらいいだろう。その答えが、レギュラーデート2回分(ざっくり)なんですよね。千鶴なりに考えての提案、というか、日本人ならこれくらい普通に状況や相手の反応を察して行動します。千鶴の立場で考えたら、当然の提案です。できるだけ和也への負担を小さくしなきゃ、でも請求額が少なすぎると逆に気を遣わせてしまうんじゃないか、そう悩んでる千鶴が可愛いですねw

 

 

 

では、千鶴の視点でこの旅行を振り返っていきましょう。

 

 

 

  不安ばかりで始まった旅行

 

千鶴にとって、この旅行は決して前向きなものではなかったはずです。瑠夏ちゃんに、「和也ともうえっちしました」と言われ(187話)、ふたりはもうほとんど恋人なんじゃないかとか、和也は瑠夏ちゃんを選ぶ気でいるんじゃないかと、不安に押しつぶされそうだったはずです。もし瑠夏にあんなことを言われなかったら、千鶴は、海くんのパーティーのときみたいに、できるだけ二人でいられる時間を作っていたでしょう。ただ「おはよう」と挨拶をする瞬間さえ、一日で一番ときめく時間になっていたかもしれません。しかし、自分と和也との未来に暗雲が立ち込めている今、彼と仲良くしようだなんてできない。和也の恋を応援する立場で、瑠夏と付き合いなさいとお願いした自分にはふたりの間に割って入る権利なんてない。和也に会うと、瑠夏に言われたことを思い出して不安で仕方がなくなる。千鶴は1か月間も和也と普通に話すことができませんでした。

 

◆私 もう えっちしましたから! 187話

 

この旅行は、千鶴が大きな不安を抱えたまま始まりました。千鶴は、本当の彼女がいるのかもしれない状況で、和也の「彼女」を演じなければいけない。瑠夏の視線を気にするだろうし、必要以上に「彼女らしいこと」はできないでしょう(189話)。和也と瑠夏が一緒にいるところ見たら、不安で胸が痛んだはずです(【187話】打ち砕かれた千鶴の決意と心)。

 

 

◆麻美さんがこの旅行に 191話

 

さらに、追い打ちをかけたのが麻美さんの登場。千鶴は麻美と和也とのレンタル関係を終わらせるという約束をしていました(183話、195話)(【195話】押しつけられた麻美との約束)。麻美さんは自分がレンタル彼女であることを和おばあさんに簡単にバラせる状況にいる。何をしてくるのか分かりません。

 

こんな状況で、まともに旅行を楽しめる人間なんていないでしょう。

 

 

 

しかし、ターニングポイントになったのが、和也の告白(未遂)です(192話)。

 

◆ドッドッ (192話)

 

和也は私を選んでくれた

和也と恋人になれる未来がある

 

和也がまた、「君がいい」と伝えようとしてくれた。千鶴は彼の本心を確かめることができました。旅行までの1か月間、ずっと不安だった瑠夏と和也の本当の関係。ここで一気に解決に向かいます(【192話】和也は私を選んでくれた 千鶴の高鳴る鼓動

 

瑠夏問題がほぼ解決し、瑠夏と栗林も普通の友達として振舞ってくれています。麻美さんも、今のところ何もしてきません。

 

 

◆そう 良かった 193話

 

改めて和也の気持ちを確かめることができた千鶴。恋する乙女の顔。千鶴は「君がいい」と伝えてくれて嬉しくてたまらなかったでしょう。ここから和也とのドキドキ恋人タイムが始まります笑。

 

 

 

  和也は私の彼氏

 

まぁ、ココからの千鶴は、「彼女」としてやりたい放題ですね笑。旅行が始まったばかりのとき瑠夏の牽制で和也と距離を置いてしまった千鶴はどこへやら。レンタル彼女の仕事として許される範囲で(ようは普通の彼女がしてもおかしくない範囲で)、和也に甘えまくります。まぁ、千鶴は、制服デートや励ましデートのときも、仕事を理由にできれば、自分の気持ちに素直にやりたい放題彼女やってましたよね。自分から「手、繋いでいい?」ってお願いしたり、映画鑑賞中2時間もずっと手を繋ぎっぱなしだったり。普通のレンカノはやらないっすよ(あのときはそれくらい千鶴は寂しかったんです、不安だったんです)。

 

 

◆ドキドキ ウォータースライダー 194話

 

 

◆ドキドキ ビキニトップ 196話

 

◆何よ ルリスズメダイって! 197話

 

今は、和也の彼女でいてイイッ。一緒にウォータースライダーに乗るのだって彼女なんだからやって当然(195話)。滑り降りると、ビキニのトップが外れちゃって、和也にその紐を結んでもらっちゃたりして(196話)!好きな人がこんなに近くに…!千鶴の方もドキドキですよ笑。和也に喜んでほしくて選んだ水着も、褒めてもらえました(197話)。ポップコーンのシェアも彼女なら当たり前(201話)。

 

この旅で千鶴は、和也を「本物の彼氏」だと感じてるでしょうね。そう思って全部やってます。これから恋人になる人との「事前デート」みたいな感じです。千鶴は「和也の彼女でいたい」という気持ちにただただ素直に行動してるだけだし、和也がやってくれる一つ一つに「私のこと好きなんだな」って感じちゃってるってことです。めちゃめちゃ、彼氏と彼女の時間を楽しんでます…!

 

プールではしゃいだり、ポップコーンシェアしたり、彼女として自分がただやりたいからやっているだけ。ほぼ素です。レンタル中なので「彼女」として振舞わなくてはいけない状況には違いないんですが、ほとんど演じている感覚はないでしょう。そういう意味では、ほとんど仕事してません。

 

これまでも、デートの時には和也を彼氏だと思っていいと考えていたはずです。和也に「今は彼女だから」と言っていたのと同じように。でも、和也の気持ちに気づく前は、和也はデートの練習として「彼氏」をやっているとか、彼は家族の前で「彼氏」を演じてるって思っていたわけですね。それが今は、和也が自分を好きだってわかっちゃってますから!和也と目が合うたびに、「私のこと好きなんだ」って感じて、ドキドキじゃないっすかね!?

 

それに、いずれ和也とは本物の恋人になるんです。レンタル彼女の仕事としてできる範囲を超えて、仲良くしたいとか近づきたいとか一緒に楽しみたいとか、そういう気持ちに素直になっても問題ないですよね。海くんのパーティのときと同じです。だから、やりたい放題です。

 

むしろ、「彼女」でないときの方が、「演じて(自分の気持ちを偽って)」しまっていることの方が多いかもしれません。仲良くしたいみたいなこと言ったらどう思われちゃうかなとか、お客とプライベートな関係はあんまり良くないとか、瑠夏ちゃんの前では和也のこと好きじゃないってことになってるしとか、いろいろ考えてしまって、本当はもっともっと和也の傍にいたいのに、素直に行動できないことばかりです。「和也に恋をしていない自分」を取り繕ってると言う感じでしょう。

 

 

 

 

  あなたの彼女でいられて 幸せ

 

旅行1日目は、千鶴が夢見てきた時間だったはずです。和也とは家族ぐるみの付き合いで、和也と自分の周りには小百合おばあちゃんや和おばあさんがいて、千鶴はいつかこの嘘が本物になってくれたらどれだけいいだろうと願ってきました。小百合さんには、最高の言葉で応援してもらいました(112話)。

 

 

◆でも 彼ほどあなたに相応しい人はいないわ 112

 

いつか この嘘を 本物にしたい

 

彼への恋心に気づいた千鶴は、そう願い続けていたはずです(86話)【解説】超重要回 水原千鶴が「私 和也が好き」と気づいた瞬間!)。

 

そして、ふたりの夢の実現のために支え合い、その想いは一層強くなっていった。映画製作や小百合おばあさんの死を通して、おじいちゃんが話してくれた「私を支えてくれる人(136話)」は、和也なんだと、彼であって欲しいと確信していった(166話)。

 

 

◆天を仰ぐ千鶴 202話

 

おばあちゃん わたし今 幸せだよ

「傍にいたい人」が傍にいてくれる きっとこれからもずっと

 

今はまだレンタル彼女と客の関係だけれど、和也と恋人になれる未来は手を伸ばせば届くところにある。いつか来るはずの、ずっと望んできた未来。レンタル彼女の仕事だけど、ただ自分の気持ちに素直に彼の傍にいることができる。和也も好きだと言ってくれる(【202話】おばあちゃん わたし今幸せだよ)。

 

一緒にバレーボールをしたり、ウォータースライダーに乗ったり、水着を褒めてもらったり、紐を結んでもらったり、ショーを見たり、「本物の彼氏と彼女」の時間。和也と目が合うたびに、彼に話しかけるたびに、彼の声を聞くたびに、「私を好きでいてくれるんだ」と幸せな気持ちでいっぱいだったでしょう。

 

 

◆ここに居る 千鶴さんの家族は ここに居る 203話

 

もし、千鶴に和也との未来が見えていなかったら、和おばあさんの言葉もただの重荷にしかならなかったはずです。きっと、和さんの夢見ているような和也と自分の素敵な未来はないんだと、嘘をついている自分を責めてしまったはず。実際、和也の本心を知ることができるまで、千鶴はずっと、受け取ってしまった指輪をどうしたらいいんだろうと悩んできました(91話、122話)。でも今は違う。木ノ下家の一員になれる未来が見えている。だから、自分を受け入れてくれることが、こころから嬉しいと思える【203話】千鶴と瑠夏 それぞれの葛藤

 

 

 

千鶴は、ベンダールームで和也とふたりきりになると、感謝を伝えます。

 

◆誘ってくれて ありがとう 205話

 

誘ってくれて ありがとう

 

千鶴がそう言ったきっかけは、何度も謝る和也に「そんなに気にしなくていいよ」と伝えたかったからです。でも、「誘ってくれてありがとう」という気持ちは本心です。

 

千鶴の言う通り、これまでなかなか仕事や役者のレッスンが忙しくて、旅行なんて行ってられなかったのも事実だし、「理想の彼女」を演じる必要なかったのも事実です。プールやウォータースライダーなどのアトラクション、ショーなどイベント、美味しい料理が本当に素敵で、だからこの旅に来てよかったと感じたのも本当。でも、それと同時に

 

あなたの彼女でいられて 幸せ

 

千鶴は言葉にはしていないですが、千鶴がこの旅行で一番幸せを感じているものは、和也が傍にいてくれること、彼女として和也や彼の家族と過ごした時間です。和也の彼女でいられたから、プールでもドキドキしちゃったし、ショーも料理も最高に楽しかったんです。千鶴は和也に「ありがとう」と伝える瞬間、そんな夢のような時間を振り返っているはずです。

 

千鶴にはめちゃめちゃハッピーな旅行初日になりましたね。好きな人が自分を選んでくれて、1か月間ずっと不安だったことがすっきり解決して、好きな人の恋人でいられて、なんども彼の気持ちを感じて、「傍にいたい人たち」が自分の幸せを願ってくれて。僕が千鶴なら、布団にもぐりながらニヤケまくって悶えてます笑。

 

 

 

  進展はどこ?

 

最後に少し、別の話をさせてください。

 

最近のかのかりに、進展がない、スピード感がない、引き延ばしだ、というコメントが多く、僕も多少心配はしています。かのかりガチ勢が毎週Twitterスペースで感想会をして盛り上がっている一方で、多くの読者が不満を持ったり、飽きてしまっていたり、最新話を読まなくなったりしているらしい。

 

まぁ、僕みたいなガチ勢は、毎週1万文字のブログを書いちゃうくらい楽しんでいるんですが、実はそれと同時に、ライト勢が退屈に感じてしまうのも無理ないなとも思っています。じゃぁ、どうしてそう感じてしまうのか、個人的な見解をしますね。

 

ハワイアンズ編が始まって以降、かのかりの物語構造は、良くない状況が続いているなと思っていました。これでは読者が退屈してしまっても無理ないと感じています。どうしてか。それは、多くの読者が最も期待しているものに対して、まったく答えが示されてないからです。

 

今読者が一番期待していることは、「和也が告白したらどうなるのか」です。千鶴も和也のことが好きっぽいし、和也が告白したらどうなるか知りたくてたまらないんです。その期待感は、和也が告白すると決意した瞬間ピークに達していたはずです(179話)。

 

ふたりが映画製作をしていたときには、クラウドファンディングはうまく行くんだろうかとか、映画撮影は順調に行くんだろうかとか、小百合さんに映画見せられるのかなとか、千鶴の夢が叶うのかということについての期待が中心だったんですが、映画製作も終わり和也が告白を決意した瞬間から、完全に読者の期待は「和也が告白したらどうなるんだろう」になっているんです。

 

それに対して、今のかのかりは25話以上(半年以上)何一つ答えを示していません。和也は告白しようと決めているものの、毎回戸惑ってチャンスを逃しています。彼の気持ちはとても分かりますが、物語として面白いか、告白が簡単に止まってしまうことに読者が納得できるかと言われれば、そうではないでしょう。

 

物語の面白さは、「葛藤」の面白さです。キャラクターに大きな「目的」があって、それを阻む「障害」がある。視聴者はいつも、キャラクターが目的のために障害を乗り越えていく姿を見たいと思っています。その乗り越え方が見たことないものや想像してなかったものだと面白いし、その姿に感動するんです。

 

和也が毎回同じ理由(障害)で立ち止まってばかりいては、すぐに飽きてしまうし、何度も何度も立ち止まるようなら「和也が告白したらどうなる?」という期待感もどんどん失われてしまいます。物語自体への期待感(「次週どうなるんだろう?」と知りたくなる気持ち)も失われて当然です。

 

映画アルマゲドンで例えるなら、こういうことです。巨大隕石が地球に近づき、人類は滅亡の危機。そこで立ち上がったのが、石油採掘技師たちだった。彼らは、家族と別れ、決死の覚悟で宇宙へと旅立った。巨大隕石を打ち落とすことができるのか、人類の存続をかけた戦い。全人類が、彼らの戦いを見守っている。視聴者も、どうやって隕石を打ち落とすのかを知りたいんです。そんなとき、宇宙へ到着した石油採掘技師たちが、仲良くトランプゲームを始め、ディナーを楽しみ、宇宙遊泳にはしゃいでいたら、どうでしょうか。かれこれ1時間も、のんびり宇宙ライフが続いていて、誰も隕石に爆弾を仕掛けにはいかないとしたら、どうです?おい、隕石どうした!?さっさと始めろよ!って感じですよね。かのかりは、今まさにこの状況です。

 

僕は、和也と千鶴が恋人になってないから、読者が不満を持っているだろうと言っているわけではありません。ひとつひとつのお話のスピードが遅いと言っているわけではありません。そうではなく、和也が告白したらどうなるかに答えを示さないから、読者は不満だろうと言っています。たとえ千鶴が和也を振る結果になったとしても、読者が知りたいのはそれなんですから。その答えを読者に示して、そこから新たな話を展開しないと(千鶴と和也が恋人になれる希望を見せないと)、いつまで経っても読者は進展がないと言い続けるでしょう。

 

また、もう一つ読者が期待していたの麻美です。このハワイアンズに現れた麻美は何を企んでいるんだろう。その期待は皆持っていたはずです。しかし現状、麻美ちゃんは何かしてくるぞというフリだけで、何もしていません。麻美は、考えが分からないからこそ恐怖感のあるキャラクターです。だから、簡単に素性を見せたくないのも分かるのですが、この期待に対してもかのかりはほとんど答えを示していません。もし、麻美がもっと早くに動き出して、彼女の目的が明らかになっていたら、もし具体的に和也たちを脅かすことができていたら、ここまで進展がないと言われなかったかもしれません。

 

今のかのかりは、間違いなく千鶴と和也が恋人になるという方向に向かっています。読者はそれに注目しています。しかし、和也の告白はつまらない理由で止まってしまっていて、一方千鶴もどうして彼の告白から逃げてしまうのか不透明なまま。多くの読者には、2人が恋人になるために、何に悩んで何と戦っているのか、全く見えていません。2人が恋人になるための「葛藤」が示されていない状況なんです。それでは、物語に期待感が全然持てなくなってしまったり、引き延ばしだと言われたりしても、当然だろうと思います。

 

 

 

という感じで、205話を振り返ってみました。まぁ、宮島さんがやってることは、実はこれまでと同じなんですけどね。和也と千鶴の関係性が変わったときに、その時にしか見られない千鶴を描くことです。和也の気持ちを知ることができて2人の未来が見えている千鶴だからこそ見せる行動だったり気持ちだったりを描いていますね。こういうところを丁寧に読み取っていただければ、毎回面白いんですよ!次週にも期待しておきましょう!

 

では、また次の記事で!