【184話】恋のキューピット♡七海麻美 | 恋心、お借りします

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(自称)水原千鶴を応援する会の会長。
頑張りますので、イイね下さい。

はいどーも。かのかり楽しんでますか!?

 

184話、ついにこの時が来ましたね。


 

どう足掻いても麻美に2人の関係が嘘だとバラされてしまうと確信した千鶴は、大きな決断を迫られます。

 

和也と恋人になる そのために動く

 

この決断です。

 

千鶴の状況と気持ちの流れを整理してみましょう。

 

 

 

  千鶴の恋を止めていたもの

 

千鶴はずっと和也と恋人になりたいと願っていました…。でも、和也が自分を好きだとは思えなかった。和也への恋心に気づいた後(86話)、映画製作の4か月間、ずっと”片思い”していたわけです。そのときには和也と恋人になれる未来が来るとは、なかななか思えなかった(【解説】ずっと深刻だった水原千鶴の葛藤)。しかし

 

俺の理想の彼女はさ…

 

理想の彼女は水原で!

◆俺…ずっと前から 君のこと… 174話 

 

174話、あの夜「俺の理想の彼女はさ…」と言ってくれた和也の真意を知ります。そこでやっと千鶴は、和也も私と同じ気持ちでいてくれたんだと、嘘を真実に変えられるんだと、和也と恋人になる未来があるんだと分ったんですね。良かった、マジで。

 

普通の漫画なら、ここで千鶴が振り返って和也を引き取め、「好き」って伝えて恋人になっちゃいます。でも、そうさせないのが「かのかり」。

 

実はこのとき千鶴は逃げてしまったんですね。和也に「2人の関係を変えましょう」と伝えることから、「好きだと」言うことから。

 

 

◆ああもう なんとかしないと… 174話

 

ああもう なんとかしないと…

 

ベットから面を上げて言ったこの言葉。和也と恋人になろうという意味です。でも、その裏には、いざ和也に「好きだ」と伝えようと思ったら難しいなという千鶴の苦しみも混じっていたわけです。

 

かのかりの恋、かのかりの人間ドラマは、漫画やアニメの世界はなく、現実世界のようなスピード感で進んでいきます。そこで生きるキャラクターも、なかなか決断ができないし、状況に流されてしまう、そんな私たちと同じような弱さを持つ子ばかりです。

 

想像してみてください。あなたに好きな人がいたとします。友達づて、もしくはたまたま、その子が自分のことを好きだ知ったとします。めちゃめちゃ嬉しいし、恥ずかしいですよね。それが和也の真意を知った直後の千鶴の状況です。

 

そこから、すぐに告白に行けます?

 

朝たまたま出会ったら、ドキドキしてしまって、ヤバそうですね…。とりあえず時間をおいて、告白するぞ、もしくは告白されたらちゃんと返事するぞっていう心の準備が必要です。

 

特に千鶴は、「好き」というのが苦手なキャラクターなんです…。調ド級の、ツンツンドライキャラなんです。20巻まで到達して、和也に素直に好意を伝えたのは「あなたって いい人ね!」「あなたと出会って後悔したことなんて一度もない」くらいなもんです。ありがとうと言うことすら、時に恥ずかしがってうまく言えないんです。和也に対して「○○してあげる」とは言えても、「○○したい」とは言えないんですね、自分の好意が彼にバレてしまうから。そして、好意がバレそうなときには、そっけなくしたりツンケンしたりして、隠してしまいます。

 

千鶴は和也に好きだと知られてしまうのが、すごく恥ずかしいんですね。そして、告白されてもうまく答えられるのか不安なんです(たぶん)。

 

僕自身、好意は素直に出すタイプなので、その気持ちは良く分かりません。ただし、174話以降、好き避けしたり(175話)告白されそうになって動揺したり(180話)、描かれてきた告白できない要因を考えると、それは「好き」と知られるのが恥ずかしいってことなんですね。さらに千鶴にとってはじめての恋。人を頼るのが苦手な千鶴は、自分の本心を誰かに話して相談することもめらってしまうんでしょうね。今はどうしたらいいのか具体的な方法が見つからないのかもしれません。

 

ちなみに、レンタル彼女を辞めるべきか迷っているということはありません。小百合おばあちゃんに、「でも彼ほどあなたに相応しい人はいないわ」と言われたときから、とうに和也と恋人になれるならレンタル彼女を辞める覚悟はあるはずです(112話)。自分の恋心に気づいた後、そういう描写は一度もありませんしね。179話でも、恋人ができたらレンカノは辞めると言っていましたね。

 

好きだと知られるのが恥ずかしい 告白を受けるのが不安

今はまだ 何をしたらいいか分からない

 

だったら、とりあえず今の関係のままで、ゆっくりと気持ちを固めたい。千鶴自身、好きな男の子で頭がいっぱいで、常にくっついていたいっていうタイプ子じゃなさそうですしね。お隣さんとして傍にいてくれて、何かあれば話せて、たまにデートができる、とりあえず、そんなレンタル彼女と客、お隣さんの関係で満たされていたんだと思います。

 

 

 

  恋のキューピット七海麻美

 

ところが、そう悠長なことも言ってられない状況になってしまいました。麻美ちゃんの脅しです。

 

 

◆もう…終わりにしよ? 一緒に…何もかも 全部…! 183話

 

(和也のストーカー行為)ヤバいよね…

だから安心してっ 私はあなたの味方

面倒な客に掴まっても 守秘義務で何も言えなかったんでしょ?
 

でも もう ちづるさんが振り回される必要なんてない

もう終わりにしよ? 一緒に…なにもかも全部…

助けてあげる 和くんから

 

 

和也をストーカー扱いして、レンタル彼女と客、嘘の恋人関係を終わらせましょう、という提案です。千鶴は結局NOと言ったんですね。

 

実際にはYESともNOとも言えないうちに、麻美ちゃんは去って行ったのかもしれません。でも、千鶴の気持ちはNOなんですね。絶対にそんな提案には乗れない。


 

◆やっぱり… マミさんがバラす気でいるのは 間違いない… 184話

 

なら、もう麻美ちゃんが和おばあちゃんに2人の関係が嘘だとバラしてしまうこと受け入れるしかない。そう判断したわけです。いや、麻美ちゃんならどちらにしろ、バラしてくるだろうと判断したのかもしれません。

 

1年半もの間、和也と続けて来た”恋人関係”が嘘だとバレてしまう。和おばあちゃんにも、木部くんにも、軽蔑されてしまう。この状況に追い込まれて千鶴の気持ちが動きます。

 

◆その時―――私は――― 184話

 

嘘だとバレたとしても せめて和也と恋人になっていよう

 

麻美ちゃんは遅かれ早かれ、和也との恋人関係は嘘だとバラしてきます。和也との関係がどうなっていようと、結局彼女は和おばあさんに告げ口してくる。最悪、もっと千鶴と和也の信頼を奪ってしまうような行動に出るかもしれない。それはもう止められない。でも、そのときに嘘を真実に変えられたなら、信頼は失わない。

 

まだまだ30%くらいしか決意は固まっていないかもしれません。でも、今の関係を変えるために動かなきゃと思った。それは大きな気持ちの進展です。

 

かのかりはいつも、キャラクターの気持ちをベースに物語が展開されてきました。極論で言えば、表面的な関係性がどうなろうと知ったこっちゃありません。大事なのは気持ちの流れ。和也と千鶴が、「好きだ」と伝えなきゃという気持ちになることです。

 

麻美ちゃんが恋のキューピットになってくれましたね!

 

 

 

  ちづる 決断のとき

 

千鶴にとって、この嘘は自分だけのものではありません。和也と私のふたりで守ってきたものです。いや、もっと言えば、和也にお願いして守ってもらった嘘です。

 

私 おばあちゃんに「別れる」って言いたくない 91話

 

私 おばあちゃんに「別れる」って言いたくない

 

いいじゃない

おばあちゃんの思い出の中では

私に素敵な人が見つかったって…

それでいいじゃないっ

 

何度も「別れる」と、嘘だと明かそうと言ってくれた和也。彼にお願いして守ってもらった嘘です。

 

今、和おばあさんや木部くん、大学の知り合いなどに、ふたりの関係が嘘だとバレされてしまったら、恥をかくのは和也。信頼を失うのは和也。

 

和也はきっと笑って許してくれるはずです。俺が何とかすると言うはずです。でも、すべてあのとき別れたことにしなかった千鶴のせいです。今一番大切な人を自分のせいで貶めるのは、絶対に嫌なはずです。千鶴自身が自分を許せないはずです。

 

◆バレちゃう… 184話

 

そして千鶴自身も、絶対に和おばあさんを悲しませたくない。嫌われたくない。

 

千鶴にとって和おばあさんは大切な存在です。誰よりも千鶴を可愛がってくれました。信頼してくれました。いつか家族になって、これからも自分の味方でいて欲しいと思う人です。そんな人の信頼を失うわけには行かない。もし1年半もの間嘘をつき続けていたと知られてしまったら、孫を騙して金をせしめていた女と糾弾され、和也の相手として認めてもらえない、それくらい深刻に考えているかもしれません。せめて、その前に和也と恋人になっていたい。これまでは嘘だったとしても、今は本物なんだと安心させてあげたい。

 

あの日、和也にお願いして守った嘘。結局千鶴は小百合おばあちゃんには、嘘だと明かせませんでした。おばあちゃんが大好きな和也が、彼氏じゃないなんて言えなかった。本当は和也との幸せな未来なんて、どこにもないんだとは言えなかった。

 

でも、今は違う。私が決断さえできれば、和也との未来を描ける。和みおばさんを悲しませることはない。

 

◆俺…ずっと前から 君のこと… 184話

 

千鶴は和也が好きだと気づいても、好きだなんて言えるはずもなかった。このレンタル彼女と客という恋愛なしの関係の中で、「好きだ」と言う難しさを誰よりも分かっているはずです。

 

仮初なんかじゃない
あれは 俺の本心で
理想の彼女は水原で!

俺…ずっと前から 君のこと…

 

それでも、和也は勇気を出してこう答えてくれたんです。他の子でも良かったはずのに、レンタル彼女の私を好きでいてくれて、いつも傍にいてくれた。苦しいときに駆けつけてくれた。

 

千鶴がずっと傍にいたいと願う人、和也からの告白は、心から嬉しかったし救われたと思います。

 

あなたは 和也さんの気持ちに 本気で向き合ったことがありますか!?

恋心を真剣に 受け止めようとしたことはありますか?

この人が私を一生幸せにしてくれる人かも知れないって考えたことありますか?

 

幸せにすると誓った和也の恋心を受け取るのは千鶴です。今度は千鶴が勇気を出すときです。決断のときが来ました。

 

 

 

最期は、千鶴の目線で物語を振り返りながら、「決断」について語ってみました。状況に流されて決断する、弱さをありのままに描くというのが「かのかり」らしいですね。でも、そこではっきりする気持ち、「和也の傍にいたい」と言うのは本物ですからね。

 

次回予告が「瑠夏の警備」。それなら、千鶴の恋人になるための行動が瑠夏に止められてしまうかもしれませんね。でもきっと、こころの準備は固まると思います。温かく見守っていきましょう。

 

 

 

水原千鶴の視点で振り返る「彼女、お借りします」レビュー&解説「水原千鶴の恋物語」もよろしくお願いします。