『日経ビジネス文庫
撤退の本質
いかに決断されたのか』
森田松太郎
杉之尾宣生
日本経済新聞出版社
2010年8月2日第1刷発行
ビジネスにおける「撤退」を議論する必要があり、読んでみることにしました。
軍事面のテーマとビジネス面のテーマを対比させてわかりやすく読むことができる。
以下要点。
①大東亜戦争とダイエー
まずは長期的な視点からなる戦略がしっかりとあること。そして、「戦略」と「現実」に乖離が発生し始めたら、「撤退」を検討する必要があること。泥沼にはまって逃げられなくなる前に。
②日露戦争終結と松下電産
将来の予測が当たるように現実的視点で考える。自分に都合の良いように論理飛躍をしないこと。そうすれば、妥当な判断が下せる。
③織田信長の金崎撤退と日産
判断や決断は最終的にはトップの資質。トップのビジョン、戦略と決断力。
④日中戦争とIHI
状況を正しく認識することが必要。そこから正しいジャッジが生まれる。
⑤ドイツの戦車導入とノキア
未来の状況を予測する力が必要。
⑥キスカ撤退作戦とブラザー工業
トップがぶれないこと。状況に応じて柔軟に対応すること。
⑦乃木希典とニチロ
乃木希典は凡将ではなく、柔軟に対応した。環境の変化に合わせて柔軟に対応すること。
⑧日露戦争からの誤った学習とカネボウの粉飾
日露戦争は銃剣突撃ではなく、有効な火砲利用による勝利であった。しかし、「銃剣突撃」を推奨するように戦史を意図的に編集された可能性がある。結果として誤った認識、結果に。カネボウも粉飾決算を行うことで、実態から目をそらし、短期的に安易な方向に。実態を正しく認識し、対策していれば、生き残れた可能性がある。
『撤退の本質』とは言いながら、「撤退」ではない内容のような気がするテーマも多いが、過去の事象から教訓を得るという意味では、良い勉強となった。