特定技能と技能実習 | くねくね入道の孤独要塞(小林行政書士法務事務所別館)

くねくね入道の孤独要塞(小林行政書士法務事務所別館)

愛知県刈谷市大正町四丁目104番地、名鉄刈谷市駅近くで行政書士事務所を営む小林憲一の趣味ブログです。
行政書士業務とは直接関係ないことを書くことが多いと思います。

前回に引き続き、特定技能について、技能実習との関わりについて書く。

 

ご存知かと思うが技能実習は働くための資格ではない。

働いているではないかと言われそうだが、あれは「実習」であって「労働」ではない。

 

理念としては、日本でお金を稼ぐための資格ではなく、日本の優れた技術を学び、本国の発展に役立ててほしいというのが建前なのだ。

ただ、技術は座学だけでは学べない。

工場等で実習しなければならない。

そして、日本での生活費も必要だし、タダ働きというわけにもいくまいという名目で給料が出る。

 

期間も短い。

最長でも5年。

(1号から2号、3号と変更しても5年。1号な1年だけと個々の資格はもっと短い)。

 

もちろん、この建前は実態とかけ離れている。

多くの企業は単に労働力を求めて技能実習生を雇うのだし、

多くの技能実習生は単にお金を稼ぎたいから日本に来る。

だから、仕事がきついわりに給料が安いとわかるとすぐに逃亡して、不法就労者になってしまうわけだ。

現場できつい実習をこなすより、コンビニやファミレスで働いた方が楽に稼げることがわかるとそうなる。

 

技能実習生が真面目で

雇う企業が誠実でも悲劇は起こる。

技能実習生としての更新はもうできない(すでに3号ビザ)。

だが、非常に優秀なので当社としては今後も雇い続けたい。

なんとかならないか?

何度か相談を受けたが、どうにもならない。

他の就労資格、例えば「技術・人文知識。国際業務」についていえば、大学卒業から実務経験10年以上が必要。

この要件を満たしていれば資格変更は可能だ。

しかし、この要件を満たしている人は多くない。

本国に帰国した後、大学に入学するか、エンジニアとして10年以上働けば可能だが、それができた人が日本に来ることを望むかはわからない。

 

技能実習を問題点を解消すべくうまれた新しい資格が「特定技能」ということになる。

特定技能なら1号は5年だが、2号は他の就労資格同様無限に更新が可能。

もちろん要件を満たせば永住許可申請も可能。

(技能実習生は永住許可申請は不可能。永住許可申請には原則10年以上の滞在が必要だが、技能実習生は5年しか滞在できない。さらに10年以上の期間の内5年以上は就労資格での滞在が必要だが、技能実習は就労資格ではない。技能実習5年の後、特定技能に変更し5年以上滞在すれば要件を満たす)

 

業務との関連性が認められれば一定限度なら単純労働も可能。

(意外かもしれないが、技能自習では単純労働は不可。いや、やらせているだろうと言われるだろうが、たんにおめこぼしがあるだけで建前としては不可)

 

条件、手続の難しさ、企業側のなじみのなさ(技能実習生で十分)から想定より伸びなかったが、技能自習の廃止が正式に決定したせいか、急激の伸びている。