唐突ながら、地元ローカルの東愛知新聞に、こんな記事が掲載されました。

 

 

 

ローカル紙に相応しくない記事に「何だ、何だ」と思いながら読み進めると、アテネ五輪金メダリスト、柔道の鈴木さんにはダウン症の娘さんがいるんだとか。

 

それもあって、此度「誰に注意されることもなく遊べる場所。その中に柔道がある、というイメージ」の道場を立ち上げた、という話で。

 

 

 娘はダウン症で、心臓疾患の手術も受けた。そんなわが子が成長し、人生を歩んでいく時に、自由に暴れ回れる場所が自宅以外でも欲しいと感じた。他のダウン症児の保護者らと接する中で、同じ悩みを持つ人のためにも「誰にも止められずに遊べる環境」があるといいとの思いに至った。

 

 道場は今後、発達障害や知的障害がある子どもたちが「放課後に体を動かして過ごす療育施設」としての運営も予定しており、「自分の子供の成長を自分の目で見守る場所」にしたいと願う。「娘にはここが一番安全。自分の信頼できる人たちがいる」。そこには父親としての思いもにじむ。

 

 

なるほど。まずは「そうなんだ」です。

 

そして娘さん自身はもちろん、彼女と接することになる他の子供達にとっても、安全で「誰にも止められずに」成長できる場所になったら良いなあと思います。

 

 

ちなみに、道場のサイトを見ると、こんなことを掲げていました。

 

本アカデミーでは柔道という武道を通じて、 相手を思いやる気持ち、諦めない気持ち、挑戦する気持ちを大切に、指導しております。
 

また、礼儀や返事、挨拶などを身につけながら、大きく成長していきます。

 

 

 

鈴木さんのアメブロ記事も覗いてみましたが、そちらでは、娘さんの「障害」についてはほとんど触れていないようです。

 

そこに意味があるのか、ないのか。

 

要らぬ詮索でしょうけれども、ひょっとしたら、娘がダウン症であることについても、それほど「特別」なことと考えていない(考えたくはない)のかも。

 

 

 

 

人に問われればそれなりに答えるけれども、でも、それを自分から、あちらこちらで全面に押し出すわけでもない、といったところでしょうか。

 

だとしたら「何か、良いなあ」と思います。

 

 

種としての生き残っていく。ために個の多様性を確保する。

 

その方法として有性生殖があり、その過程では必ず一定数のエラーが起きる。

 

子にはもちろん、両親にも罪はない。

 

障害がある子を授かるのはたまたまで。

 

障害がない子を授かるのもたまたまだ。

 

そこら辺に気付かないままの人生は、たぶん幸せで、ちょっと淋しい。

 

 

うん、まあ、それだけです。

 

 

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

 

 

V3、描き置きの作品「花びら」です。

 

花びらなんです。

 

 

 

 

にほんブログ村 病気ブログ ウィリアムズ症候群へ
にほんブログ村

 

にほんブログ村 病気ブログ 遺伝子の病気へ
にほんブログ村

 

にほんブログ村 地域生活(街) 中部ブログ 豊橋情報へ
にほんブログ村

 

Williams' family Touch and Go - にほんブログ村

 

 


難病ランキング

 


患者・家族会ランキング

 


豊橋市ランキング

 

 

 

染色体異常や遺伝子疾患の記事を泳いでいて出会ってしまった本。

 

 

「生まれてすぐ命が果てるかもしれません」――夫婦が授かった子は18トリソミーだった。染色体に異常があるため、脳から肺・消化器まで全身に先天性疾患を抱える。2019年1月9日、希(まれ)ちゃん誕生。国内最高の医師とスタッフ総がかりでも次々に起こる緊急事態と生命の危機、そのたび迫られる決断……。だが夫婦は揺らがなかった。「できる限りのことをしてあげたい」。ある家族の軌跡と、予想もしなかった「未来」。

 

 

 

とりあえず、書店で斜め読みを始めたのだけれども、「イカン、これは、泣いちゃう。店頭で読んだらダメなヤツだ」となりました。


 

参考までに、目次を。

 

はじめに――小児外科医が出会うさまざまな家族

 

1章 18トリソミーと宣告された日

「横隔膜ヘルニア、心奇形。しかしそれ以上に問題なのは……」。医師は硬い表情で夫婦に告げた。20週になる胎児は、18トリソミー、つまり染色体異常だという。

 

2章 新しい病院へ

夫婦は必死に調べた。こうした赤ちゃんを治療してくれる病院はないか。そして18トリソミーの子どもを育てる母親のブログで「日赤医療センター」を見つけた。

 

3章 育む日々

夫婦は女児に(まれ)と名付けた。希ちゃんが抱えるさまざまな病気も判明する。主治医は言った。「手も足も出せないかもしれません。そうなると亡くなってしまう可能性が高い」。

 

4章 誕生と手術

緊急帝王切開になった。1538グラムでの誕生、だが産声は聞こえない。先天性食道閉鎖症という病気が見つかり、生後8時間でお腹を開く手術を受けることになる。

 

5章 初めての退院

生後40日目、希ちゃんは初めて自分で呼吸をした。体重も2000グラムまで増える。だがある異変が生じる。気づいたのは、仕事を続けながら面会に日参する母親だった。

 

6章 在宅医療的ケアと子育て

念願の退院が叶った。新生児集中治療室のような環境を自宅に再現し、夫婦はどちらかが必ず家にいるようスケジュールを組んだ。3週間は順調だった。だが――。

 

7章 再び自宅へ

2020年1月9日、希ちゃんは1歳の誕生日を自宅で迎えた。そこに新型コロナ禍が近づいていた。希ちゃんには気管出血という新たな問題も起きていた。

 

8章 深夜の大量出血

これまでと比べ物にならない大量出血に、夫婦は救急車を要請した。全力での治療も、期待通りにいかない。「もしものときは」と尋ねる医師に、母親はある決意を伝えた。

 

9章 心停止

呼吸停止に続いて心停止。だが奇跡的に、25分後心臓が動き出した。病院の廊下で夫婦は話した。「生命力を信じて一緒にがんばりたい……」「諦めたらそこで試合終了だ」。

 

10章 肝臓にがんが見つかる

18トリソミーの子は肝芽腫を合併しやすい。医学論文でそのことを確認した母親は、主治医に検査を願い出る。採血結果は、良くない方に振り切れていた。

 

11章 最も難しい手術

「希ちゃんがこの先、生きていくために必要な手術。そのためにもやりたい」。出血の理由を突き止めた小児外科医は、希ちゃんの7回目の手術を要請した。

 

12章 中心静脈カテーテルから感染

2回目の緊急事態宣言のなか、家族は自宅での時間を過ごしていた。すべてがうまく回り始めたときに、つまずきが起きた。感染から発熱。もはや多臓器不全に近かった。

 

13章 2歳10か月

突然だった。「心臓マッサージはやめます」。そのまま全員が27分間見守った。死後の処置が終わると、病理解剖の話が出た。病院に来たときから、母親の心は決まっていた。

 

14章 新たな決意

多くの人のお世話になり、病院には総力を結集してもらった。自分にも、できることはないか。夕食の場で妻は夫に相談した。「特別養子縁組、考えてみませんか」。

 

15章 育ての親になる

特別養子縁組のあっせん団体の職員が、家庭訪問にやってきた。そして実は、と話し出した。まもなく、手足の指が欠けている子が生まれるのだという。夫婦は即答した。

 

16章 家庭裁判所への申立て

自宅にやってきた(りん)くんは、猛烈な勢いで成長した。健康診断、予防接種を経て、保育所にも入所した。一緒に暮らして1年近く、家庭裁判所から「審判書」が届いた。

 

17章 新しい家族

この子はきっと苦労するだろう。だから、それに負けないくらいの自己肯定感をつけてあげたい。母は言う。「特別養子を迎えて、後悔している養親の話は聞いたことがない」。

 

おわりに――奇跡の人