遷わる景色 | 徒然コオロギ庵~旅する似顔絵師~

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一年の半分を旅に過ごす似顔絵師コオロギの日々の雑記。趣味の古墳巡り&地質巡り&車中泊アレコレetc徒然とだらだらと書き尽くします

せっかくなので最後まで書き上げよう、そうしよう。

夏の東北の旅。


奥の細道をたどった何年か前の自分をたどる旅。

ややこしいな。


奥の細道最北端、秋田県象潟。

『象潟や 雨に西施が ねぶの花』

雨に濡れたネムの花が、中国の古の美女しいお姫様の憂う睫毛のよう。

ってな、しっとり色気のある句が詠まれたところ。




こんな田んぼ広がる日本海に面した静かな町。

全景の写真はないのだけど、

この広がる田んぼの中に、小さな小山が点在してるのです。


ちょうど日本列島をはさんで反対側にある松島の海に点在する小島のよう。


そう、

東の松島、西の象潟。

芭蕉が訪れた当時は松島と同じような多島海だった象潟。

松島に並ぶ景勝地だったんだって。


芭蕉いわく

『松島は笑うが如く、象潟はうらむがごとし』

大平洋のキラキラ感と、日本海の詫びさび感(笑)?


しかし、

芭蕉が訪れてから約100年後、

地震が起こり、土地が隆起。


そして現在のような田畑に点在する小山になったそうです。


芭蕉がみた風景と、今見ている風景は違うんだなぁ。

しみじみ。


芭蕉がこの風景を見たら、また違った句を詠むかなぁ。




芭蕉句碑のある蚶満寺。

お寺のすぐ裏には国道が走っていたり、

すぐそこに道の駅もあって賑やかなのに、

お寺の境内に入るととても静か。


観光客なのか、道の駅によったついでに来たのか、

数人がパラパラと、何か思いにふけるように静かに歩いているだけ。

なかなか古い由緒あるお寺らしく、





なかなかイカツイ山門や、





樹齢1000年近い椋木がありました。


そして、

芭蕉の憧れの能因法師、西行さんゆかりの地でもあって、、

そこにいるだけでいろんな時代へトリップできる、


フワフワと、気持ちのいいような、

グラグラと、足元がぐらついているような、


不思議な空間でした。


受付のおばさんに、

『むくの木、大きいですねぇ』

と言うと、

『そうねぇ、樹齢どのくらいかわからないくらい古いからねぇ』

って。

そして、

『この前、上の方、おりたのよ。』

って。

『おりた??』

『降りた?』


この不思議な空間、、神的なモノが降りたのか??

と不思議がっていると、

『この前の台風のとき、上の方が、ボキーっと、おりたのよ。』


って。

おりた、、『折れた』ね。

^_^;

おばさん、なまってたのでした。

秋田だもの。


『象潟は、宣伝が下手だからさー、いいとこいっぱいあるのに、なかなか人が来なくて』

とおばさんが嘆いたけれど、


こんな素敵な空間は、

自分だけのものにしときたいなぁ、

いや、

たくさんの人に知ってほしいなぁ、

なんて、

微妙な心持ち。


芭蕉のとき、自分が数年前に来たとき、今回、

能因法師のとき、西行さんのとき、


時代や季節が違えば、景色も感じ方も違うもんだな。

だからまた来たくなるのね。


そうだ、

たくさんの人に、

ひっそり来てほしい。


そんな所だな!