催眠術にかかりにくい人を量産している素人の催眠術師たち

Q＆Aの問い合わせがありましたので、回答しようと思うのですが、私は毎回同じことを訴えているので、つまらないと思った人いはどうぞスルーしてください。私は世の中の催眠が変わるまで一生言い続けるつもりでいるので、それでも読みたいと思った方は読んでいってください。

●question

先日Xで知り合った男性の催眠術師の方に催眠をかけていただきました。両手を組まされ人差し指をピンと伸ばして、近寄る、近寄る、という催眠でしたが、人の体の仕組み的に誰でもそうなることを私は知っていたので、このような催眠で私はかかるのかなって思っていましたが、やっぱり全然かかりませんでした。そのあともいろいろやってもらいましたが、全然かからず、君は疑い深くてかかりにくいタイプだねと言われました。私はずっと催眠にかかってみたくて仕方ないのです。この方が言われるみたいに私のようなかかりにくいタイプの人間はどんなことをしても催眠にはかかれないのでしょうか？

●answer

催眠誘導を行う際、成否を分ける要因は全部で10項目あります。

①環境
②状況
③状態（体調）
④知識
⑤経験（体験）
⑥体質（共心感覚）
⑦誘導者の技量
⑧誘導者の状態
⑨誘導者と被験者との相性
⑩誘導者が使う技法と被験者の相性

催眠にかかるかどうかは、その場の環境、被験者の置かれている状況、催眠にどんな印象を持っているか、いままでにどんな情報を入手しているかといった知識、疲労困憊していたり、悩んだりしていたりする状態、催眠に関わる経験、生まれ持っての体質など、催眠にかかるかどうかの要因はいろいろです。

そんな中で、生まれ持っての体質は全体の0.8%に過ぎません。素人の催眠術師さんたちが良く言う“あなたは催眠にかかり辛いタイプです”というのは、100人の被験者を相手にしたら、1人いるかいないかなのです。

多くの場合、催眠の成否を分けるのは誘導者の技量です。

しかし、世に出回っている催眠誘導のほとんどは、カラオケ催眠かスクリプト催眠であって、本格的な催眠誘導を行っている人は極わずかです。

カラオケ催眠というのは、被験者に両手の指を組ませ、人差し指だけを伸ばして「指が寄ってくる…」というのをやったら、次はこぶしを握らせて「親指の爪とシワどっちが見やすいですか？」などと言って、こぶしが固まる暗示を与え、そのあと階段を下りるイメージに合わせて催眠が深くなると暗示していくもので、どんな被験者に対しても、やることが決まっていたりします。

そして、被験者がかからなかったら、「君は催眠にかかりにくいタイプです」と言って、被験者のせいにします。

カラオケ催眠をやっている人は、とても流暢にしゃべり慣れている感を出すので、一見、上手な催眠術師に見えることがあります。でも、これは毎回同じセリフを言っているからしゃべりが流暢になるんです。毎回同じ歌を歌っていたら流暢に歌えるようになるのと同じです。文字通りカラオケ催眠です。

本格的な催眠誘導では、相手の反応によって次に与える暗示が変わってくるので、暗示を流暢にしゃべるから催眠誘導に慣れているのではないんです。

性行為で例えるなら、いつも同じ段取りでセックスを行い、相手の女性がイかなかったら、「君は不感症だよね」と言っているのと同じです。自分のワンパターンのセックスを棚に上げて、どれだけカッコ悪いことを言っているのか、そろそろ自覚するべきです。

さらに、カラオケ催眠で催眠をかけようとする素人の催眠術師は、ほとんど例外なく、被験者に両手の指を組ませ、人差し指を伸ばして、「指が寄ってくる…」というトリックを使った技法を得意としています。

これは人体を使った手品なので、当然その仕組みを知っている人は催眠にかかりません。これがこの場だけで終われば良いのですが、この技法がトリックであることを知っている被験者、もしくは途中でトリックに気づいた被験者は、「催眠って結局こんなずるいことをやるんだ…」という思いが植え付けられてしまい、次に技術の高い誘導者が催眠をかけてもかからないことが少なくないのです。これが催眠の成否を分ける要因のひとつである“経験”です。

このように、カラオケ催眠を行う素人の催眠術師たちは、自分たちのお粗末な催眠によって、催眠にかかりにくくなった被験者を量産していることに早く気付くべきだと思います。

それから、スクリプト催眠ですが、これはその名の通り、紙に書かれたセリフを被験者に向かって唱えるだけのものですから、当然、催眠誘導といえる代物ではありません。ただのリラクゼーション誘導です。

外国の催眠団体数社がフランチャイズビジネスのために考えた誰でもできる催眠誘導（実際には瞑想誘導）です。

こんな論外ともいえる誘導でも、思い込みの激しいクライアントは催眠にかかった実感をもちます。だからセラピストは自分の催眠が間違っていることにずっと気づけないでいるのです。

本来、催眠誘導と瞑想誘導は違うものですし、作業自体もまったく違うことをやるので、ヒプノセラピーとリラクゼーション療法は別のメソッドとして広まっていって欲しいなというのがヒプノセラピストである我々の思うところです。

【イベント情報】
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※催眠術練習会＆催眠術体験会

日程：2024年5月26日（日曜日）
住所：東京都新宿区新宿4-2-21
場所：相模ビル 5階
時間：18時30分開始～20時終了
受付：18時15分受付開始
管理：小野寺・黒嶋・野島・仲原
料金：2,500円（当日受付にて精算）

※詳細
https://hayashisadatoshi.com/r-1.htm
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【ワークショップ情報】
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●催眠療法士育成講座・中級コース

※催眠療法としての催眠誘導を学ぶ

日時：2024年5月25日（土曜日）13時より開催
場所：東京都武蔵野市中町２丁目１-１５
会場：クリオレミントンハウス武蔵野１階会議室
講師：林貞年
料金：77000円

※詳細およびお申し込みはこちらです
https://hayashisadatoshi.com/hypnotherapy-2.htm
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