ホストにはまる女性の心理とマインドコントロール

先日、東京・歌舞伎町の路上で、ホストとみられる男性が20代の女性に刃物で刺される事件がありました。

事件を起こした女性は倒れて手当をされているホストに向かって「おまえ人生なめんなよ。私のお金まだ搾り取る気でふざけんなって」などと罵声を浴びせたり、処理をしている警察官には「（私は）1000万以上使ってるんだよマジで」などと激高している様子は生々しくテレビに流れました。

これに応じて政府は、ホスト通いをする女性がお金を貢ぎすぎないように対策をとる話しも出ていましたが、潜在意識の性質を考えると、なかなか難しい政策ではないかと思います。

というのは、ホスト通いをしていてホストに貢ぎすぎる女性の深層部分では「認知的不協和」という心理作用が働いているからです。

この件については、2009年に出版された私の著書『催眠恋愛術』に掲載してあるので抜粋します。

（書籍が男性向けであるため、文中は男性が女性に認知的不協和を起こす説明になっています）

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●採算が取れなくなった恋愛はバランスを失う

恋愛が始まると、人の心は尽くすことと尽くされることにおいてバランスをとろうとします。
たとえば、経済的に余裕はないけれど、男性の身の回りのことをいろいろと世話することが苦にならない女性と、仕事が忙しく、いつも時間に追われているけど、経済的には余裕がある男性が交際をするとうまくいくことがよくありますよね。
これは尽くすことと尽くされることのバランスがうまくとれるからです。
片方だけが尽くしすぎて、バランスがとれなくなると、だいたい次のうちのどちらかの反応が起こります。
2人は離れていくか、尽くしすぎたほうが依存するかのどちらかです。
離れていくのはわかるとしても、尽くしすぎたほうが依存するのは少し矛盾しているような気がしますよね。
しかし、これも潜在意識が引き起こす興味深い現象であり、これを認知的不協和現象といいます。
認知的不協和については、アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーが行なった面白い実験があります。
まず、AとBのグループを作り、Aのグループには安い給料で辛い仕事をさせて、Bのグループには楽で給料の良い仕事をさせました。
普通なら、どう考えてもAのグループは納得がいかないはず。
しかし、Aのグループに「どうしてこの仕事を続けるのか？」と尋ねると、「面白いから」とか「楽しいから」といった、自分の仕事を肯定する理由が返ってきたそうです。
自分の中で採算が取れなくなったAのグループは、矛盾した部分を埋めるために、合理的な理由をこじつけて、自分の行為を正当化してしまうのです。
これと同じことが恋愛でも起こります。
あまりにも片方が尽くしすぎた場合、心の中で採算が取れなくなり、心はバランスを失います。
でも相手は尽くした分を返してはくれない。このアンバランスに対して潜在意識は、「俺はあいつがこんなに好きだから尽くしているのだ」といった思い込みで心を安定させようとするのです。この思い込みは無意識の中で起こっているので、本人は意識することなく強い暗示となって依存が始まります。
ただ相手を依存するほど好きになるだけなら、これもまた幸せと堪能していればいいのですが、幸か不幸か相手の中でもアンバランス現象が起きてしまうのです。
「俺はこんなにもあいつが好きなんだ。だから尽くすんだ」といった潜在的な心理作用は、不協和状態になった心を協和状態に戻すための合理化でした。恋愛にはバランスがあるので、相手の中でも合理化が起こります。
採算の取れなくなった不協和の部分を、「こんなに尽くされるのは私があの人を好きじゃないからだ」といった無意識の思い込みで心のバランスをとろうとしてしまうのです。
お互いの恋愛感情が盛り上がる場合はいいのですが、片方だけの場合は間違いなくバランスを崩します。依存は自分のためだけでなく恋愛そのものをダメにしてしまうのです。
いくら尽くすことが好きな人でも、バランスを崩さないように気をつけておいてください。」
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『女心を誘導する禁断のテクニック―催眠恋愛術』54～56ページより抜粋

ホストにお金を貢いでも、その分だけ返してくれるのなら問題はないのですが、多くの場合、ホストは貢いだ分を返してはくれません。また、そこが彼らの仕事と言えば仕事なのですが、尽くした分が返ってこなければ、貢いだ女性の中で心の帳尻合わせが始まります。つまり、不協和状態になった関係性を協和状態にするために、潜在意識の中で「私はそれだけあの人（ホスト）のことが好きなんだ！」と思うようになり、嫌われてはいけないという心理がまたお金を貢ぐ行為となって、どんどんと泥沼に落ちていきます。

こうなると、周りが止めれば止めるほど、さらに認知的不協和が働くようになり、「周りがこんなに止めても私がホスト通いをやめられないのは、それだけあの人（ホスト）のことが好きだからなんだ」という深層心理が出来上がっていくのです。こうなってしまうと、もうこの泥沼から抜け出すのは至難の業です。

テレビニュースを観ていた視聴者の中には、事件を起こした女性に対し、「貢ぐのは自分の意志だろう逆恨みもいいとこだ！」と思う人もいたかも知れませんが、このあなどれない認知的不協和をみなさんはどう思うでしょうか？