丹作造展のなかに身を置いて、
この360度おおい尽くされた作品世界と相対していると、
たしかに怖い。
それは人間の持つ憎しみに、憎悪に満ちた幾百の視線に襲われるからだ。
ところでぼくは作品について、丹作造氏に訊いたことはない。
特に丹作造氏にだけ訊かないのではなく、
ぼくは誰に対しても訊く気はない。
作品についてどう思うか、どんな印象を持つかはぼくの問題であり、
もはや丹作造氏の問題ではないと思っているから。
彼の経歴もさほど知りたいとも思はない。
きけば、ああ、そうですか。
うなずくだけだ。
すべては作品が語っているので、
改めてご本人に確認を 求めようとは思わない。
で、この恐怖だ。
とはいえ恐怖を呼び起こす描写のみ、
で作品世界は決して構成されている訳ではない。
柔和な表情で無防備な裸体もあれば、
動物や植物、花を描いた作品も目立たないけど、
微妙な比率で散りばめられている。
人形のような造形作品も、いたるところに置かれたり吊るされたりしているが、
よく見るととても悲しみをたたえた、
表情にしろ体の動きをしていて、
「恐怖」と一言でくくれない意味にあふれている。
なぜか毎日のようにのぞいてくれるおこちゃまと、
先ほどもお話をしていて、
その人形の腕の動き、指の多さに、
何かを求めているような、
こみ上げる怒りのような強い感情を抑えるような、
また鎮めるためもがいているようにも見えて、
むしろ痛ましささえ表していないか、
という点で考えを一致した。
作品はそれを表した人、そのものだ。
いつも思うことだけど。
Outsider Art TAN Exhibition
丹作造展、
今年の個展もそろそろ終わりを迎えようとしている。
本日9日まで!
12:00~19:00.
Galleryころころ
info@d-korokoro.com