ミュータント・サブ 石森章太郎 | 絵画的世界の窓

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ハリウッド映画、ゴジラ2014が話題だ。

2億7000万年前の古生代の怪獣が、

現代の度重なる核実験の影響で、息を吹き返す。

ぼくが子供の時に初めて観た東宝の映画「ゴジラ」も、

細かな内容は忘れたけど、

核実験の影響で、突然変異としてよみがえった

恐ろしい怪獣であった。

また当時はビキニ環礁の核実験と、

その実験でモロに被爆したマグロ漁船第五福竜丸の悲惨な事件も重なり、

放射能は極めて身近に、

また雨が降れば、絶対に濡れてはいけないと言うアナウンスも

頻繁に繰り返され、

人体に影響を与える切実な問題として、

こどもながらに震撼とした恐怖とともに、記憶から消し去ることは到底出来ない。

先日NHKのゴジラについての番組で、

イラストのみうらじゅんと、民俗学の赤坂憲雄氏が、

それそれ語っておられたけど、

自然の象徴としての、ゴジラの持つメッセージ性は今でも強いインパクトを持って

僕らに迫るものがある。

だからこそ、今再びよみがえるのだろうけど、

一時期ゴジラは、或いは一連の怪獣ものは

その付与された恐怖を剥ぎ取られ、

おもしろおかしいキャラクターに移行したが、

みうら氏も語っていたけど、そのまやかしはこどもには通用しなかった!

リアルタイムで、そのへんの感じは僕にも記憶があって、

ミニゴジラとかが登場して、キャラ化されて来た辺りから、

違う!

拒否反応を起こしたものだ。

現実に根ざした、今そこにある危機としての恐怖を取り外した怪獣なんて、

うそ!

であることは、肌が、感覚が見破るのだ。

恐ろしい時代に生きていることの真実を知れば知るほど、

その真実に実証された作品にこそ、こころ打たれる、のだ。

ところで上の「ミュータント・サブ」です(笑)!

自動車事故で、人体に強いショックを受けたことで、

体の中の何かが突然変異した少年の話しですけど、

そこにもう一つ、広島の被爆と言う因子が加わっている。

石森章太郎はまたサイボーグ009にしろ、

人体改造、突然変異をモチーフとした作品が非常に多い。

不思議だなあ、と常々思っていた。

またテレパシーとか、テレポートテーションとか、

サイコキネシス、超心理学をいち早く漫画の世界に取り込んだ作家でもある。

石ノ森ではなく、石森章太郎の世界は今、どう読まれているのだろう、

とても知りたい。

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