「小泉八雲 怪談」展 9月24日~29日開催! | 絵画的世界の窓

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小泉八雲の曾孫にあたる小泉凡氏のご著書

「民俗学者 小泉八雲ー日本時代の活動からー」を読んだ。

ぼくにとって小泉八雲の最大の魅力は、

彼のその漂泊性かもしれない。

もちろん「怪談」にあらわれるような、

異形のものへの眼差しには

不思議な思いを持つ。

しかしその眼差しを成り立たせている根っこのとこは、

やはりその漂泊性なのではないだろうか、と思う。

その意味で、ハーンの血筋が興味深い。

「ケルト、ジプシー、ギリシャ、アラビアなど、反西欧的血流が認められ・・・」。

しかもそのことを誇りにしていて、

そのことは、生き方そのものにあらわれる。

日本に来ても、彼は日本の伝統的な作法に喜んで従い、

むしろ明治の西洋化に腹立たしささえ覚えている。

学校から帰ると、和服に着替え座布団に座り、

キセルを吸う。

日本食を好み、箸で食べた、と言う。

生まれ故郷とは言え、

二歳半までの記憶しかないギリシャのレフカダ島でありながら、

彼が選んだ日本の山陰地方、松江の気候風土は、

レフカダそっくりだったと言う、その奇っ怪なほどの巡り合わせ。

ハーンにおける妖怪とは、

凡氏は鶴見俊輔の「日常的思想の可能性」を引用して、

「それを手がかりにして宇宙史に帰ってゆくための道しるべであった」。

我々とは、いったいなんなのか?

そう問いかける鏡。

太古からの、連綿と受け継がれた遺伝子においては、

生きもの全ては、あり得べきもう一つの自分でもあり、

滅んだ自分かもしれず、また次の自分なのかもしれない。

Galleryころころでは、

八雲の命日である9月26日に当てて、

「小泉八雲 怪談」展を開催いたします。

その節は是非足をお運び下さい。

お待ちしております!

Galleryころころ
電話03-6457-3611