昭和夢草紙 滝田ゆう | 絵画的世界の窓

絵画的世界の窓

GALLERYからの景色



先日、新宿通りの紀伊国屋書店、隣にある

Bookーoffをぶらついていたら、おおっ、

つい手が伸びて買ってしまった。

500円。

漫画家・滝田ゆう。

1931(昭和6)年、東京の下町台東区下谷生まれ。

焼け野原の東京を知る戦中派。

このエッセイにも、空襲に触れた文章がいくつもある。

見ているだけで、「昭和」だよね。

「のらくろ」の漫画家・田河水泡に弟子入り、

後に「月刊漫画ガロ」でデビュー。

同誌に発表の「寺島町奇譚」で、戦前の東向島の旧私娼街玉ノ井を描く。

ぼくははっきり言って、あまり滝田ゆうを知らない。

漫画を読んでいない。

漫画で売れっ子になって、

テレビによく出ていた彼を見ていたに過ぎない。

でっぷりとした体格に丸坊主の着流しで、下駄履き姿と言う、

いつも変わらぬあの出で立ちは、

頭の脳裏にこびり付いて離れない。

これを機会に読んでみたくなった。

絵も繊細で美しいけど、何より彼の体と心に染み込んだ戦前の、

さらに私娼街の匂い、と言う入り組んだ人間模様を終生離さず、

持ち続けてそのまま逝った滝田ゆうの美しさに惹かれれる。


ぼくは一度だけ、新宿の二丁目界隈の飲み屋さんの暖簾をくぐるときか、

或いは立ち去るときか、さだかでないけど見かけたことが思い出かな・・・。

1990年 死去。享年58。

弟子入りした師匠の田河水泡は前年の1989年、90歳で亡くなっている。



Galleryころころ
電話03-6457-3611

今日は雨模様・・・・