違いない。www.dx132.com
報告書のリストに掲げられていた数は推定五〇人。ただしその人数もさしたるもので、おそらくその倍ほどは能力を奪われているはずだ。
「ぼくはその被害者のひとり。ついさっきまで――志乃おねーさんが『吸血鬼』のおねーさんを連れてくるまで、能力を使うことなんてできなかったよ」
妙な言い方に、来夏の眉がぴくりと動く。
「もしかして知らない? 『吸血鬼』はスキルドレインした相手を自分の眷属、言い方を変えれば奴隷に、あるいは同族に変える効果もあるんだよ。それは彼女自身が意識しなければ使えないんだけど、そこは志乃おねーさんがなんとかしたみたい。おかげでぼくは能力を取り戻しただけじゃなくて、不死身まで得ることができたのさ」
「そのわりには、さっきから殺されても動じてないみたいだけどね」
話からすると、不死を得たのはついさっきのことになる。それだというのに殺されるような痛みを受けて平気にしている。死なないとわかっていても、まともな神経をした全うな人間ならば耐えきれはしないだろう。
そもそも、いつどこで志乃と知り合ったのか。どうしてここにいるのか。なぜ志乃の味方をしているのかなど、聞きたいことは山のようにある。
「久しぶりに能力を使うから加減とかできないかも。おねーさん気を付けてね? すぐに壊れちゃったら楽しめないからさ」ヴィトン エピ
少年としてはあまりに歪な笑顔。一度能力を失い、再び能力者として返り咲いたがためだろう。人間の上位個体となった優越感に浸り、さらに不死身を得たことにより拍車をかけている。
いわば勝利が決定された戦いだ。結果を楽しむのではなく、その過程に歓喜する。足止めなどというのはただの口実で、能力を使って暴れたいだけなのだ。
来夏は圧倒的なピンチということも忘れて目を覆うように手を被せると、高らかに笑い声を響かせた。
「おもちゃをもらった子供ですかー? くっだらね。バカじゃねーの? ちょっとパワーアップしたからって――」
笑いがぴたりと止まった。ヴィトン タイガ
「――私より強くなったとは限らねーだろ」
来夏の雄叫びに呼応するかのように塔が衝撃で軋んだ。
◇◆◇
瞼を閉じ、意識が消えるときを揺火は待とうとした。
風前の灯とはよく言ったものだ。台風に煽られている炎はとても儚くて、いまにも消えてしまいそうだった。
揺火はふと疑問に思う。いつまで経っても訪れることのないその瞬間。くっついていた瞼を開くと、ある光