■「なんで笑うの?」の誤解から起きるすれ違い
授業中に注意されても、会社で叱責されても、口元がゆるむ・ニヤっとする・ヘラヘラして見える・・・。
大人の側は「反省していない」「バカにしている」と受け取りがちですが、実は強い不安や緊張が引き金の“防衛反応”であるケースが少なくありません。
発表の場、テストの指摘、忘れ物の注意など、負荷がかかる局面で表情が崩れるなら、反抗よりも「緊張の処理が苦手」という可能性をまず疑ってください。
■“笑ってしまう”ときに、身体で起きていること
①緊張・羞恥で心拍が上がる
②からだは硬くなるのに、顔の筋肉に力が無く、緩み“笑顔”に見える/
③本人も「まずい」と自覚してさらに焦る → 余計にチグハグになっていく
このループが「ヘラヘラ」に見えます。悪気はないのに誤解を招きやすいのが、この反応のいちばんの難しさです。
■“叱る”の前に整える三つの手順
①安全確認(姿勢を横並びに)
いきなり皆の前で指摘しない。同じ方向を向いて座る/歩きながら短く伝えるなど、対決構図を避ける。
②事実→影響→次の一手
「今、配布中に私語があった(事実)。他の人の準備が遅れる(影響)。次は“配布が終わるまで無言”でいこう(次の一手)。」
“人格の評価”を混ぜない。
③反応の意味づけを与える
「緊張すると笑っちゃうタイプかも。反抗じゃないのはわかってる。」
■医療・専門支援を検討する目安
・緊張場面での笑い・失笑が頻発し、誤解からトラブルが継続
・本人が「やめたいのに止められない」と苦痛を訴える
・その他の特性(注意の抜けや不安の強さ、感覚過敏など)で生活に支障が出ている
学校は立場上、直接「検査を」とは言いにくい場合があります。保護者が一次相談窓口を担えるよう、情報と選択肢を持っておくことが大切です。
■「親は子のプロ、でも教育のプロではない」
家庭での観察は何よりの資源/情報です。
ただし、行動の意味づけ・支援の設計は“教育の知識”で楽になる部分が大きい領域です。
「病院に行くべき?」「本人にどう伝える?」まで、順番と伝え方を一緒に考えましょう。
■まとめ:反抗を疑う前に、緊張を想定する
“ヘラヘラ”は、不安の現れであることが多く、叱責の強度を上げるほど誤作動は増えます。
まずは、観察し、理解するところからです。









