「学力とコミュニケーション力、どちらを優先していますか?」
保護者の方から、よくこんな質問を受けます。
特に発達に課題のあるお子さんや、学校にうまく馴染めないお子さんを育てている方にとって、この問いは切実なものだと思います。
答えを先に言ってしまうと、私が家庭教師という立場でまず優先するのは「コミュニケーション力」です。
理由はとてもシンプルで・・・
学力は“わかる・できる”だけでは伸びないからです。
学びを深めるためには、その子が自分の思考を整理し、表現し、人とつながる力を持っている必要があります。
そしてそれこそが、まさに“コミュ力”です。
■学校では中途半端になりがちな「2つの力」
教員として学校現場にも立ってきた私の正直な実感ですが、今の学校教育では学力もコミュ力も、どちらも中途半端に扱われているように感じています。
「この子の学力的にはここまでが限界だろう」と判断され、発展的な内容は省かれる。
一方で「コミュニケーション力が大事」と言いながら、授業中に行われるのは“レク”と呼ばれるちょっとしたお遊び。
どちらも「なんとなくやってる」だけになってしまい、本人も保護者も、いったい何を伸ばしていけばいいのかが見えづらくなっています。
その結果、「学校では学力が重視されるけど、コミュ力も必要って言われて…どっちを優先すればいいの?」と不安や混乱を抱える保護者が増えているのではないでしょうか。
■では私は、なぜ“コミュ力”を優先するのか?
私は、家庭教師というマンツーマンの場では、圧倒的にコミュニケーション力の育成を重視しています。
といっても、いわゆる“おしゃべりが上手”ということではありません。
私が重視しているのは、「相手に伝わる言葉で、自分のことを説明できるか」です。
指導の中で特によく使うのが、こんな声かけです。
「主語と述語を入れて」
「時系列で話して」
「5W1H(だれが・いつ・どこで・なにを・なぜ・どうやって)を意識して」
つまり、「相手に伝わるように話す」という最低限の構造を徹底して身につけさせることです。
■具体例①:主語と述語、どこいった?
たとえば、ある生徒がこう言いました。
「今日、テストで90点でした!」
それに対して私はこう返します。
「なんのテスト?」
「どうやってその点数とったの?」
「どの問題でつまずいたの?」
返ってくる答えはだいたいこんな感じ。
「えーと、国語…かな?なんか、まあまあ簡単だった」
「記号は解けたけど、記述は空欄だった」
「問題? なんだったっけ…?」
ここには、伝える意志はあっても、伝える構造がないという問題が見えてきます。
本人としてはちゃんと話しているつもりでも、主語が抜け、時系列が混ざり、情報が散乱している。
これでは、たとえ学習内容を理解していても、テストの記述や授業での発言、ノートまとめなどに反映されません。
■具体例②:「連絡・相談」ができない
さらに重要なのが、「連絡」「相談」ができない子がとても多いことです。
たとえば、家庭教師の日にバスが遅れていて間に合いそうにない。
そんなとき、どうするか?
多くの子が「遅れます」という連絡を、開始時間を過ぎてからようやく送ってきます。
また、学校の宿題が多すぎて、家庭教師の宿題まで手が回らない。
そういう状況でも「とりあえず無理だからやらなくていいや」と勝手に判断して提出しない。
つまり「勝手に情報を省略し、勝手に完結してしまう」行動です。
でも、社会に出たらどうでしょう。
仕事でも進学でも、「途中経過を伝える」「選択肢を共有する」ことが大事になりますよね。
だから私は徹底してこう言います。
「わかった時点で連絡しろ」
「“どうすればいいか”を一緒に考えるのが相談だ」
こうした力は、学力よりも先に必要な“社会で生きる基盤”です。
■勉強ができない子=コミュ力が弱い?
もちろん一概には言えませんが、私が見てきた中で、学力に課題がある子は、ほぼ例外なくコミュニケーションが極端に苦手です。
単語だけで会話する、2語3語で済ませる、説明になっていない…。
その背景には、「相手に何を伝えるべきか」という視点の欠如があります。
状況を整理せず、優先順位も考えず、「なんとなく」「まあいいか」で判断してしまう。
これって、実は学習場面でもまったく同じことが起きています。
■途中式を書かない子と、説明できない子の共通点
たとえば数学の問題。
途中式を書かず、感覚で答えだけ書く。
解説は読んでいるようで、実は流し読み。
わかったつもりになってるけど、ミスには気づかない。
まさに、さっきの「伝えるつもりがない会話」と同じ構造です。
「自分が何をしているのか」を言語化・構造化する力がないから、
途中式も書けず、説明もできず、学びが定着しないのです。
■だから私は、“学力よりもコミュ力”から始める
こうした理由から、私はまず「話す力」「伝える力」「つながる力」=コミュニケーション力を育てるところから始めます。
これは時間がかかります。
正直、目に見えて学力がぐんぐん伸びる・・・という感じにはなりません。
でも、そこを抜きにして、「点数だけ上げる」「解き方だけ覚える」指導をしても、
子どもが本当に“わかるようになる”ことはありません。
■まとめ:根本から伸ばす家庭教師です
私のお仕事は、おそらく他の塾や家庭教師と比べて、
「学力の伸びがすぐに見える」タイプではないと思います。
でも、その子がなぜつまずいているのか、
どうやって学び直せばいいのかを、
根本から見直していく指導をしています。
学力を上げたい。でも、その前に「話せるようになってほしい」「相談できる子になってほしい」
そんな思いがある方は、ぜひ一度ご相談ください。