『戦争は女の顔をしていない3』 | 風信子 

風信子 

 いらっしゃいませ。こちらは読書日記中心のサイトになります。本を好きな方が一時楽しんでくだされば嬉しいです。

 今、ウクライナで起こっていることは、わずか百年もたたない前に世界中で行われていたことだ。

 百年も平和が持たない今の世界。男も女も銃を取り、大統領は核ボタンを押すことをためらわないと語る。

 わずか30年前、世界は一つの節目を迎えたソ連邦の解体、ベルリンの壁の崩壊。そして、偉大な研究と言われたEUが成立された。

 平和という言葉が長い歴史の中ではまばたきのような一瞬であることが哀しい。

 

 『戦争は女の顔をしていない3』 原作:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 漫画:小梅けいと 監修:速水螺施人

 

 image
 

 ここに描かれている彼女たちはどう思うのだろう。現在、ロシアとウクライナの戦争を。

 『戦争が終わるまで生き延びられたら、戦争の後の人々はどんなに幸せな人だろう!』

 『どんなに素晴らしい生活が始まるんだろう』
 『こんなに辛い思いをした人たちはお互いをいたわりあう』

 『それはもう違う人間になるんだね』


 その言葉が再び焔の中で焼かれている。

 

 『あたしたちが死んだあとは何が残るんでしょう? あたしたちが生きているうちに訊いておいて。あたしたちがいなくなってから作り事をいわないで。今のうちに訊いてちょうだい。』

 

 この言葉を残した女性は存命しているのだろうか? もし存命していたら、この戦争にどんな思いを抱いているのだろうと考える。

 

 ウクライナは遠い。そして、そこで生きていた女性たちもまた戦争で戦ったことがある人もいるのだということを、考えると切ない。

 

 一日も早い停戦を祈って。