紹介代わりの大好きな本3 「鉛の卵」 | 風信子 

風信子 

 いらっしゃいませ。こちらは読書日記中心のサイトになります。本を好きな方が一時楽しんでくだされば嬉しいです。

 冬眠機の故障で、十年後に目覚めるはずだったのに、八十万年後の世界に目覚めてしまった男。

 

 そこは動物ではなく、植物が支配する世界だった。彼らと語り、その意識の違いに困惑する主人公。

 すれ違いや勘違い。人間がいない世界での孤独感。そして、食事の違いからこの狭い世界から追い出されそうとなった時に、初めて彼はここが観察施設の一室で未来の人間たちに観察されていたことをしり、号泣するのです。

 

 安部公房の短編小説です。安部さんも大好きです。SF作家でありながら、純文学作家でもあり、寓話作家でもあるところが好きラブ

 

 これも同行一冊ですニヤニヤ

 

 こちら以外にも好きな作品は沢山あります。「第四間氷期」や「箱舟さくら丸」とか。

 

 特に「第四間氷期」では、この小説の時代からはるか未来。地球が全て水没してしまい、水中で生きていくことになった人類に奇妙な自殺がはやり始めるというシーンがあるのですが、その方法が水上に上がり、風の音を聞きながら死ぬというもの。あまり、褒められたことではないですが、空の青と海の青の中で、一人、風の音を聞きながら息絶えるというシーンがとても美しくて、その映像が思い浮かぶほどでした。

 

 で、一冊で挫折してしまいましたが、彼の全集の装丁がものすごく美しいラブラブ

 

 タイトルが金属版のプレート、函は絹張り。デビューからの年代順に小説や評論などの区別無しで収録されたものです。(これは本当に装丁買いでした。なので、続かなかったですえーん

 

 このあと、これ以上に美しい装丁の本を見たことがないですねぇ。(大江健三郎全小説集の大江さん原稿の装丁も嫌いじゃないんですが、心のどこかで、私が一番好きな装丁師の司修氏がされるのではないかと思っていたので、ほんのちょっぴりだけ残念がったことは秘密あせる

 

 安部公房さんもまたノーベル賞確実といわれて、取れなかった作家さんですね。この方もかなり翻訳が多くて海外での評価はたかかったんですけどねぇ。

 取っていてもいなくても、彼が好きな作家なのは変わらないです。ナンセンスなところはカフカのようでもあり、「棒になった男」や「友達」などの戯曲はベケットっぽいなぁと思ったりします。(因みにこちらの二作品はとてもメンタルにくるところがあるので、弱っているときは読むことは勧めません滝汗

 

 こうして三冊、紹介しましたが、見事にばらばらですねぇ。でも、まぁ、出会えてことが幸せだとおもうのでいいかなぁと。

 

 ここに我が最愛の009が入っていないのは家族に入れてほしいなぁと頼んだ時にこれ以上入れてどんだけ重たくするつもりなの! と真面目に叱られた為ですえーん

 

 まぁ、言い分はわかるしね。

 

 もちろん、ここに書いてなくても今までブログに感想をあげてきた本は大好きですし、ただ思い入れということではこの三冊が一番になるんでしょうね。全て、20代の時に読んだ本です。

 

 きっかけは様々、でも、私には大事な、大事な三冊の本です。

 

 勿論、他にも北欧神話やアーサー王関連、アイスランド関連、宗教書なども欠かせないです。できればこれからもたくさん読めたらいいな思う日々でございます(笑)

 

 

 ですが、こうして整理するとやはり日本文学がすきなんですね、私。

 

 最近のお気に入りは円城塔さんかなぁ。「文字渦」を読んで、うわぁ、突き抜けてるわぁ! 面白すぎる! と注目してます。

 

 

文字渦 文字渦
 
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 そんなこんなの、改めて、紹介代わりの大好きな本でした<(_ _)>