紹介代わりの大好きな本2 「夕べの雲」 | 風信子 

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 いらっしゃいませ。こちらは読書日記中心のサイトになります。本を好きな方が一時楽しんでくだされば嬉しいです。

 意外に思われるかもしれませんが、第三の新人といわれる庄野潤三氏もやはり、私の大好きで大事な作家さんです。(どうもこてっこての固い本ばかりを読んでいるイメージを持たれている気がするのです。なんでもよみますよ、キング大好き、クーンツも好き。節操がないんです私滝汗

 

 山の上の一軒家へ引っ越してきた小説家の一家。主である小説家は風よけのためになにを植えようかと考えるところから物語は始まります。

 

 妻と長女に長男、次男の四人家族の暖かくて優しい、そして平凡な日々が淡々と描かれた良作です。

 

 疲れた時や心がすさんでいるなぁと感じるときに手に取ることが多いです。こちらは庄野さんが晩年に至るまで、書き続けた家族小説でもあります。

 他人に感謝すること、ありがとう、ごめんなさい、おいしい。ありふれた言葉がいとおしくなる作品です。

 

 住んでいたのは小田急線の登戸。私の住んでいる所からは割と近くです。

 

 人の営みを描くことはものすごく難しいと思うのですね。ですが、読めば、読むほどに優しい気持ちになれるこの本が私は大好きです。

 こちらも、いつかいくときが来たら、一緒に来てもらう予定です。

 

 先だって、ご自宅が解放された時には行きたいなと思ったのですが、小説は小説のままで、いいのではないかと行くのはやめてしまいました。

 

 勿論、ホラーもミステリーも、SF、ファンタジーも大好きですが、でも、疲れた時にはこうした小説が薬になることもあるんですよね。

 

 因みに、この本を読むたびに山芋を味噌出汁で、塩じゃけで食べるというシーンがありまして、食いしん坊の私はこれがとってもおいしそうに思えてならないんですね。

 

 ただ、我が家は山芋は醤油出汁なのですよ。で、私は別にしてますが、そこへまぐろのお刺身を入れて山かけにして食べるので、いまだに味がわかりません。(うちの食べ方は私は絶対に無理、まぐろ苦手なんです。なので、私だけまぐろを抜きにしてます)

 

 毎回、読むたびにこの山芋と物語の後半で風邪をひいて熱を出した子供のために、大根おろしと梅干しとお茶にお醤油を垂らしたものを食べさせるシーンがありまして。これを食べると体が温まって元気になるというのがあって、これもおいしそうだなと照れ (風邪薬の代わりなんですけどね)

 

 こうした描写が凄くすきな私はやはり食べることも大好きなんだなと、しみじみ。

 

 ですが、これに続く作品をずっと読み続けてきましたが、やはりおいしいそうなものがたくさんで、うーん、飯テロだぁ! とできるだけお腹が空いていない時読むようにしています。

 

 まさに「夕べの雲」というタイトルにふさわしい、綺麗な夕日が見えるような物語です。