芸能界でタレントが成功するには、テレビ番組にたくさん出演してお茶の間の
人気者になるというのが王道だが、それでも人気が長く続くとは限らない。
逆に露出度が高すぎると視聴者に飽きられるのも早くなり、一発屋で終わって
しまうことが少なくない。
一方、テレビへの露出は少なく、CDが大ヒットしているという様子もないのに、
長年の活動を続けられている歌手もいる。
それどころか高級外車に乗り、自宅は豪邸とかなり羽振りは良いようだが、
彼らの収益構造はどうなっているのだろうか?
それを探るヒントは“ファンの熱狂度”にある。
矢沢栄吉、長渕剛、小田和正、松任谷由美、松田聖子、安室奈美恵などが典型的な例であろう。
ファンの数でいえばテレビで毎日のように見かける国民的人気タレントのほうが
多いのは明らかだろう。
しかしそのファンは熱狂的とはいえず「テレビでよく見ていますよ」という浅いレベ
ルである。
そのため、彼らの収入はテレビの出演料やCM契約料が主体だ。
ところが熱狂的なファンを持つカリスマ・アーティストというのは、そのファン一人
ずつが年間で何万円、何十万円というお金を彼らのために費やしてくれるため、
ファンの数は少なくても十分な収入が成り立つのだ。
彼らのライブには、とてつもないお金がかけられる一方で、とてつもないファンが
チケットを争奪する。
この“熱狂性”というのは不思議なもので、自分がひいきにしているアーティス
トがメジャーになりすぎると力が衰えてしまう。
一般大衆にはわからなくても、自分には彼の魅力がわかるから支えてあげたい
という気持ちが、熱狂的なファン心理を生むようである。
そこで百万人の浅い視聴者を相手にするより、数万人の熱狂的ファンを大切に
していこうとするアーティストが増えてきている。
マーケティングの話で言えば、100万人の人間に無造作に販売宣伝を打つより、わずか3万人の熱狂的ファンに販売宣伝をかけるほうが効果が高い。
そんな活動ができるようになったのも、テレビを通さなくても、ネットからメッセージ
や作品をファンに対して直接発信できるようになったことが寄与している。
芸能界に限らず、企業にとっても「熱狂性」は新たなキーワードとして注目して
おく必要がある。
日本人一人あたりが一ヶ月で使うお金は約18万円というのが平均値。
その中には生活費も含まれているため、自分の好きなことのために使える金額
は5万円前後といったところで、子育て中の世帯なら、それよりも余裕がないというのが実情だろう。
そこで企業は、経済的に余裕がある富裕層を顧客対象として狙いはじめているが、それだけでは現在の高額消費を説明できない部分がある。
高級バイクのハーレーダビッドソンに3百万円以上を注ぎ込んでいるのは、必ず
しも富裕層ではなく、普通のオヤジであることが少なくないのだ。
収入と支出のバランスからすれば明らかに分不相応でも、自分の趣味や思い
入れのある分野では熱狂的な買い物をする消費者がいて、彼らに支えられている
メーカーやショップは魅力的な収益を得ることに成功している。
それを見た同業他社でも「熱狂的な顧客を育てるにはどうしたらよいのか?」を
研究しはじめている。
しかし、”ものまね”では、絶対に老舗企業に勝つことはできない。
一方で、この“熱狂性”にも弊害があり、彼らを失望させたり、裏切るようなこと
があれば手強い批判を浴びてしまうことがよくあり、最も警戒しなければいけない
点である。
イメージを決して損なってはいけない。でも意外性を引き出すのはOKである。
◆
では、最近の消費者が熱狂性を帯びてきている傾向があることに対して、企業はそれとどう対峙していけばよいのかについて考えていく。
企業のイメージ戦略は、そのほとんどを広告代理店がキーを握っている。
しかし、日本でも個人の価値観の多様化はますます顕著になっており、リサーチ会社の調査が使い物にならなくなりつつある。
広告代理店は、リサーチ会社を利用して様々なリサーチを行っているが、その結果で戦略を立て、実施しても、いまいち効果が上がらないケースが増えている。
その点に関しては、広告代理店も頭を痛めている。
ではそんな社会で、頼りになるものは、何かというと”個”である。
個に対する様々なイメージ戦略を複数用意することである。
そのターゲットをピンポイントに狙わなくては失敗する。
たとえばテレビCMなら、ターゲットごとのCMを複数流してみる。そこに反響がわかる副産物をリンクしておき、その度合いをチェックする。
すると、自社がどのターゲットに最も支持があるかがわかる。
そうなれば、徹底的にそのターゲットに向けた広告戦略や商品開発を行う。
そうすれば企業の広告宣伝費や商品開発費、倉庫管理費などなどが削減できうる。
企業がこれまでのような広告代理店頼みの姿勢では、企業の命を縮めることになるであろう。
*注意
この記事は、JNEWSの記事を元に、私が再編集、加筆したものであります。