杉皮塀DIY … 杉皮で化粧した防音壁 ~ 経年変化が楽しみ! | 伝統構法の家づくり…大阪の街中で!石場建て/木組み/土壁のマイホーム新築

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五十代も後半、自宅を新築…新建材は怖い!
行き着いたのは地元の工務店。
で、棟梁がつぶやいた。
「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」
「石場建てってなんですのん?!」・・・

実に約3か月ぶりの更新となってしまいました!

昨年末の退院後に年始は自宅療養していたことを​1/2稿​で書きましたが、

1/19には手術の合併症で再入院。2/6には退院していたんですが、

なかなか調子が出ず書く気になれなかったんです。

 

そうこうしている間に立春を迎え、春の陽射しが居間に届くようになりました。

我が家は住宅密集地なので、冬場は南側の隣家の影に入ってしまうんです。

夏場は深い軒の陰で日射を遮蔽しているので、

春分・秋分前後だけ午前~午後と1階にも日光が届きます。



居間の掃き出し窓を全開にしても心地いい日和。

ところが残念なことに、みすぼらしい衝立が目にとまってしまいます。

掛けてあった葦簀の編み糸が切れ、大繁茂していた琉球朝顔が冬に枯れ、

どうしようもなくなっていました。


 

もとは​2020/12/19稿​にあるように、隣家のエネファームの低周波対策に立てた防音壁です。

ただ、このままではあまりにも無粋なんで、葦簀を掛けてあったんです。

けれど2年もすると劣化が激しく、琉球朝顔が繁茂している季節はいいんですが、

3年目を過ぎようとする今、抜本的に見直すことにしたのです。


とはいうものの、さて、どうしよう?!

ふと浮かんだのが、京都・京北の​原田銘木店​。

2020/8/10稿​にある、我が家の玄関式台の杉名栗をつくってくれた名匠の店。

以来その​Instagram​をフォローしていて目にした投稿、杉皮のこと・・・これだ!


さっそく原田さんと懇意にしている刳物/漆芸作家の息子に連絡。

一坪足らずなんて少量を譲っていただけるか気がかりだったし、

そもそも杉皮なんて扱ったことなくてどうしたらいいやら不安でしたが、

ともかく息子が発注をかけてくれて、手に入れる段取りがつきました。


そして3月7日、息子が京都・園部の工房から材木を抱えて来てくれました。

地元の元棟梁の在庫を譲ってもらったという、天然乾燥の杉や米ヒバ材。

野ざらしになるので、耐水性・防虫・防腐に優れた材です。

これを杉皮を張る土台にするべく、アルミ製の防音壁に取り付けます。


さて、どうやって取り付けたものか・・・。

両端の支柱は、元もと防音壁にあったボルトを利用して固定。

上部を表裏から挟み込み、笠を掛けることにしました。

施工第1弾は夕方までかかって、あらためて見てみると、町内会の掲示板みたい!


日を改めて3月22日、施工第2弾。

杉皮押さえの竹と、原田銘木店からの杉皮1束とを抱えて、息子がまた来てくれました。

といっても、息子も杉皮なんて扱ったことなく、

杉皮の裏ってこんなんなんや!と、開けてビックリ。

しかも水盤や植込みとフェンスの間の僅かな隙間。
腕が入る余地もなく、施工はなかなか大変です!

原田さんに施工のことはある程度教わってきてくれましたが、

現場は現場なりの工夫が必要です。

あーでもない、こーでもないと父子で知恵を出し合いながらの現場合わせ。

なんとか夕方5時には一応の完成を見ることができました。


これで、居間の掃き出し窓を開けて見たときの印象が、断然よくなりました。

まさか防音壁とは思えない!

ホンモノの杉皮塀はこんなものではないのかもしれないけれど、

DIYとしては上出来。石場建て伝統構法の我が家に、今風に言えばバエます!


翌3/23~26は、あいにくの菜種梅雨。でも、雨に濡れる杉皮もいいもんです。

むしろ乾いているよりいい表情。

木の皮はそもそも雨風や虫害から身を護るもの、耐久性にも優れています。

3/27には朝陽が射して、濡れた杉皮塀が輝いていました。

暖冬だった割には寒さが長引いたこの春。
いよいよ今週末からは、桜が咲き始めます!