『伝統的構法のための木造耐震設計法』出版報告講演会 | 伝統構法の家づくり…大阪の街中で!石場建て/木組み/土壁のマイホーム新築

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五十代も後半、自宅を新築…新建材は怖い!
行き着いたのは地元の工務店。
で、棟梁がつぶやいた。
「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」
「石場建てってなんですのん?!」・・・

「伝統的構法」「石場建て」・・・知ってますか?!
 

8/9(金)、​『伝統的構法のための木造耐震設計法』出版報告講演会​に参加してきました。
 

これは、国土交通省補助事業「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験検討委員会」により、
石場建てを含む伝統的構法木造建築物の設計法の検討​がなされ、
その成果の一つである限界耐力計算に準拠した詳細設計法案を元に更に検討が重ねられて、
実務者が使える「石場建てを含む伝統的構法木造建築物の耐震設計法・耐震補強設計法のマニュアル」として、このたび世に出たものです。
 

この出版にあたり、​同様の出版記念講演会​がまず6/10に新宿で開催され、その時も参加しに行ったんですが、

こんどは地元京都でより詳細にということだったんで、お世話になっている交野の日伸建設の棟梁も誘い合わせて勉強してきました。

 

家を建てるのに、材木を金具で固定して筋交いで補強して建て、その躯体を基礎にボルトで緊結する現在の一般的な工法ではなく、

金具を使わず柱と差し鴨居や貫などで組んで、礎石の上に置くだけの日本古来の構法を復活させようってことなんですが、

今やそれが建築基準法の規定外になってしまっていて、絶滅寸前に追い込まれているわけです。

近年それが工学的に解明し直され、現代の工法にも勝る優位性が科学的に証明されつつあります。

つまり、「高い変形性能を生かす」「柱脚の水平・上下移動を拘束せず滑りを許容する」設計法により、

地震の力を受け流して倒壊を防げるということが「再発見」されたということです。

だからこそ、きちんと建てられた古民家は、築百年二百年と耐久性があるというわけです。


とはいえ私自身は門外漢なので、工学的計算式が並んでいるような内容はからっきし理解できません。

それより私がまず問題だと思うのは、
ほとんどの人が「伝統的構法」も「石場建て」も、言葉さえ聞いたことがないということ!

家を建てたいと思ったとき、様々な工法のなかで選択肢として思い浮かびさえしない!

ここまで研究が進んだんなら、今もっと一般向けに啓発・広報活動に力をいれても良い頃じゃない?

国連の​SDGs(持続可能な開発目標)​の理念にも完全に一致してるのに。

・・・化学物質満載でスクラップ&ビルドを旨としてる日本の住宅界のなかで。
 

そんなことを講演後の質疑応答で、専門外の一般人として発言してきました。

日本中の都市が焦土と化した先の大戦。我が国の建築技術・知見・文化は一旦焼き尽くされました。

それから七十余年、日本は耐用年数二十数年の家、仮設の街を積み上げてきました。

ここにきてようやく、住宅建築の真の戦後復興が始まった・・・そんなふうに、

この2回の『伝統的構法のための木造耐震設計法』出版講演会に参加して思いました。