続きです
F大学病院の小児科教授の低身長外来は、1才4ヶ月から、3才2か月の期間で終了した。
最初のうちはこまめに受診し、徐々に1か月、3か月となり6か月…と受診期間が伸びていっていた頃に、ある日突然終了した。
教授の最後の診療となった日に、成長ホルモンも出ている!大丈夫!と教授の力強いお言葉ももらい、次は半年〜1年後に経過を見たいからまた診せにきてと言われた。
ついに末っ子長男、仮釈放だ!と嬉しかった
教授のお話をどの医学生よりも熱心に聴いていたのは自分だと思う。いかに切実だったか、という事である。教授との世間話ですら鮮明に今でも思い出せるのだ。
ある日教授は、末っ子長男の生え始めの歯並びが気になったのか、福岡歯科大学の話をされた。矯正は、昔と違って早ければ早い方がいいらしいよ、と教授は話された。
私が子どもの頃の歯列矯正は、永久歯に生え変わってからが基本だったので、最新情報がアップグレードされた。医師との会話は時に最新情報を入手できる。
なんでもつい最近、教授のお子さんを福岡歯科大に歯列矯正に連れて行かれたとかで、いきなり数十万円ですと支払いで言われて、手持ちが無かったので恥をかいた。前もって教えてくれたらいいのにねぇ〜と、笑いながら仰っていたのが印象的だった。
教授なのに、お子さんを連れて病院に行くんだ!奥さんに任せてばかりじゃなく子育てやる教授っていいな!と、素直に思った。しかも、ちょっと恥ずかしかったよ、なんて話を患者にするなんてとても身近に感じた。
一度だけこんな事もあった。
教授の大切な診察日を忘れないように、家のカレンダーにいつも書いていたのだが、ある日、うっかり忘れたのである。前日まで覚えていたのに、3人の育児に追われて、気づいたら13時を過ぎていた慌てた…教授の診察をすっぽかした=逆鱗に触れて、もう来なくていい!と言われるかもと怖くなった。いつも優しい教授でも、診察を断りもなくこなかったら怒るのではないか?と思った。
急いでその日のうちに、1番早い教授の診察日に予約を入れてもらった。
数日後の予約日になった。私は緊張していた。 先に謝ろう!と意を決して、教授の部屋の鉄の扉を開けた。すみません…この間はうっかり忘れてしまって…と申し出た。
拍子抜けした。
教授は、全く怒ってもないし、気にしてもいない様子だった。やっぱりこの教授は優しいな、妙な教授のプライドとか無いなと思った
で、この日が教授との最後の診察日となった。
末っ子長男に病気が潜んでないと安心されたのかこう言われた…
診療室に男子医学生らしき人も1人いた。
しかしまぁ…高身長に憧れる男の子のお母さん多いねぇ〜と悪気なく仰った。
男子学生は、静かに頷いていた。
はぁ?
正直、ガッカリした。
今までの教授との、楽しかった時間が色褪せた。
幼子の末っ子長男が、ご飯も食べれずに痩せていくのが心配で、藁にもすがる気持ちで大学病院に連れて来ていたのに、である。
これ低身長外来の小児科医の皆さん、口が裂けても言ってはダメですよ。失言では許されません。
まぁ、それでも教授が大丈夫というお診たてなら安心だ!しばらく病院とはオサラバだし、このまま大きくなってくれたら、もう本当に病院通いも終わるかも!と、気を取り直しウキウキしながら帰った。
が、3か月後に突然、
ガラケーに、
F大学病院から着信があった
続きます