学生のインターン制度は今では当たり前のようになった。
だからこそ私は、これからは、日本の学生に積極的に新興国でのインターンを経験してほしいと強く思っている。
私の会社は学生インターンと関りがとても深い。
特に、ベトナム現地でのインターンの実践に関しては、日系企業の中では先頭バッターだったと思う。
インターンから正社員になったケースはもちろんだが、今では、アフリカの多くの国からもインターンを受けて入れている。
実は、当社は創業時から学生の力にお世話になった。社員が10人程度の創業時は、寄せ集め集団で企業の体をなしていなかった。
創業3年目にして初めて採用したIT系の新卒社員も戦力化には時間がかかった。
そんな中、阪神大震災後、ITの仕事に専念して企業として再スタートした頃の礎を築いたのは、学生インターンだったのである。
もっとも、この頃はインターンという言葉は一般ではなく、学生アルバイトとして、リクルートの求人誌から応募があった人達だ。
その時は、経験の浅い社員よりも遥かに戦力で報酬も社員よりも高かった。
その後は、アイセックという学生の海外交流の団体との縁が深まった。その結果、元アイセックの委員長2人が結果的には入社した。この活動で、何よりも思い出深いのは、ユーゴスラビア人を1年近く受け入れたことだ。彼は、残念ながら、内戦ぼっ発で帰国することになった。そういう因果関係も海外のインターンならではの特別な体験だった。
あと、米国人の女性を受け入れたのも貴重な機会になった。まったく違うカルチャーで社員はさぞかし勉強になったことと思う。
そんな経験を踏まえて、ベトナムでは10数年前から学生インターンを受け入れてきた。
私は、学生がこれからのアジアを体験することはとても価値があると考えていたので、学生に話する機会を見つけては必ずベトナムのインターンの話をしていた。
自社の会社説明会や関西の大学での講義などの機会から、実際にインターンの受け入れが始まった。
当時は、先進国ではなく、ベトナムでインターンという意味では、とても珍しかったと思う。英語ができるのならまだしも、ベトナム語も英語もできなくても受け入れた。
日本語だけでなんとかする。というのも私たちの狙いだった。正直全員にとって成功だったとは言えないが、結果的には累計数10人を超えるインターンを受け入れてきた。
今年の3月も、短期間だったが、学生がベトナムの現地法人で活動した。
彼らは、知人の大学の教授からの依頼で受け入れたインターンである。
最近は、様々な団体や組織が海外インターンをサポートしている。
彼らと食事した時に、ホーチミンの発展ぶりに驚いていたのが印象的だった。
仮に彼らが、10数年前にホーチミンに来ていたらどうだったかと・・。
彼らに別の感動があったのは間違いない。
実は、当社は、アフリカからもインターンを受け入れている。ABEイニシィアティブの仕組みを活用しての受け入れだ。
4年前にルワンダに現地法人を設立したのをきっかけに、東京で複数年、アフリカの学生インターンを受け入れてきた。2週間の短期から半年の中期の人など様々である。
アフリカのインターンは私たち社員に刺激になっただけでなく、東京全体にもインパクトがあったと思う。また、付き合いのある企業数社にも訪問の機会も得た。
訪問先それぞれの驚きと歓待は、日本の良さがアフリカの人達に伝える機会としてはとても良かった。
実は、同時期に別ルートでベトナム人のインターンを東京にも受け入れた。
一時期、アフリカの人、ベトナム人が一緒に当社でインターンをしていたことになる。
私は常々、老若男女多国籍を標榜しているし実際に今までもそういう構成要員で事業活動を続けている。今朝もライブでこの辺りの話しをした。
地球が一つになる時代、日本でも新興国でも老若男女多国籍でいたいと思っている。
そういう意味では、これからは2つインターンの活動に特に期待したい。
一つは、日本人が新興国に行くケース。
現地の日系企業でのインターンも刺激的だし魅力はまだまだある。ただこれがローカル企業となるともっと学びは多いと思う。要するに、日本人がベトナム人の会社にインターンする。
もう一つは、新興国の人が日本で積極的なインターン体験をする。ただ、やはり、コスト負担の問題がついて回る。次なる仕組みの構築が急がれる。
最後に、日本人の学生に伝えたい。
できれば、新興国のインターンをぜひ体験して欲しい。しかし、これの実現が難しい人は、日本国内でもよいので、そこに新興国の人達が働いていて、彼らとの交流ができ、つながることができる企業を選ぶのが良い。
そういうつながりで得た人との信頼関係は生涯の財産にもなるし、地球との共生と協調が当たり前になる時代には、グローバル感覚を身に着けることは欠かせない経験となる。
以上