草彅君こと勤勉氏、絵に描いたような箱入り息子である事は再三、触れて参りました。当初は門限なるものまであり、キムタクこと團員氏が怪しげな店を連れ回すまでは、一度たりとも破った事がないという筋金入りであります。
そんな子息を想う父君は、何か困った事があった場合の非常連絡先を教えておりました。とは言え自身も会社で要職に就く身、携帯電話も普及していない当時、すぐに連絡が付く保証がありません。そこで父君の腹心の人物の連絡先を教えていたのであります。それまでそのお世話になる様な事態に直面した事はありませんが、遂にその時が来た、と思い立った訳でございます。
腹心氏の事務所でのんびりと電話番をしていた風貌と累計服役年数が清水健太郎に酷似する、腹心氏が代表を務める会社の幹部社員氏が草彅君の切羽詰まった電話を受けます。自社の社長が「息子に何かあったら頼む」と会長に言い付けられていた事を即座に思い出す清水。即座に部下を引き連れ事務所を飛び出します。五指に余る道路交通法を犯し山手幹線を快走、三宮の会社から岡本の甲南大学まで10分もかからず到着致します。
黒塗りのベンツが凄まじいブレーキ音と共に学友会館前に登場し、中から清水健太郎率いる軍団が飛び出し、團室の階段の下で首を長くしている草彅君のところへ駆け寄ります。未だ興奮冷めやらぬ草彅は清水の手を引っ張り、修羅場と化しているかもしれぬ團室へと誘います。いよいと血戦の火蓋が切って落とされようとしていたのであります。
甲南大學應援團OB会
八代目甲雄会広報委員会