優等生は「若」様(8) | 甲南大學應援團OB会のブログ「雲外蒼天」

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甲南大学応援団再建物語
~黄霧四塞すと雖も、上に蒼天なきに非ず~

友の危急を救うべく火中に飛び込んで来た勇気は堪らなく有難いものですが、ここまで粘り強く交渉してきた苦労が水泡に帰しては元も子もありません。またこれ以上、成田兄貴を激昂させては発砲事件に発展しかねません。金城鉄壁を誇る我が本部の防御設備 は外からのカチコミには極めて有効でありますが、中から撃たれたのではひとたまりもありません。


緊急回避で團室の外まで興奮が収まらぬ草彅を押し出し、再び乱入せぬ様、扉の前に下級生を配置します。下級生團員は何とか草彅をなだめようとしますが、怒りは収まりません。遂に鋼で出来ていると思われた草彅の堪忍袋の緒が切れ、遂に一線を越えこれまで一度たりとも抜いた事がない伝家の宝刀を抜く腹を括ってしまったのであります。


勿論、草彅の怒りは團室の扉の前に立ち塞がる團員に対してではなく、中にいる成田&キム兄コンビニ対するものであります。「こんな事は許したらあかんのや。完全に頭にきたで」と言い残すと團室の階段を一目散に駆け下りる草彅。團室を下りた辺りにちょうど公衆電話がありまして、携帯電話がない当時、通常は團員達の私用電話用として愛用されておりました。草彅はこの公衆電話の前に立ちますと鞄から手帳を取り出し、いずこかに電話をし始めました。


俗に伝家の宝刀と申しますが、プロレスの様に毎試合、宝刀を抜いていては値打ちがございません。危急存亡の事態に陥らない限りは抜かぬ、という覚悟は必要でありましょうし、また一度、抜いたならば、それは刃の波紋が放つ妖しい光でさえ相手をたじろがせる程の名刀でなければなりません。
その点、草彅の伝家の宝刀は正真正銘、なんでも鑑定団に出品すれば億単位の金額が算出されるであろう名刀でありました。中には日本刀で成田兄貴に「天誅!」と斬るつける展開を想像される読者もいらっしゃるかもしれませんが、本ブログは残念ながらアクション物ではございませんし、草彅君は剣の達人でもありません。しかしそれにも勝るとも劣らぬ伝家の宝刀を彼は携えていたのであります。


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