本山村怪々奇團【18】 | 甲南大學應援團OB会のブログ「雲外蒼天」

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甲南大学応援団再建物語
~黄霧四塞すと雖も、上に蒼天なきに非ず~

第18話 サクラ


「さくら」と言えば現在では九州新幹線として著名でありますが、一般的には古くは「櫻」、現代では「桜」と表記される、日本を代表する花を指します。事実、我が国の国花は菊と桜と定められております。

また平仮名で表記すれば、前述の新幹線だったり、そんな名前の女性を知っているという方もいらっしゃる事でしょう。

そんな桜もカタカナで「サクラ」と書けば、途端に胡散臭い空気を醸し出すのであります。Wikipedia で調べますと、何と「サクラ(おとり)」という項目に書かれておりまして「当て字では偽客とも書く」との解説まで加えられております。


ある年の「乱舞の集い 」での出来事であります。「乱舞の集い」では演目を演じ終えた幹部團員に客席から花が手渡される事 がしばしばございます。ところがこの年は恐らく我が團の歴史では殆どないと思われる、3回生が花束を貰うという事態が発生したのであります。幹部に怒られそうな気もしますが、この時は剛腹で知られる團長氏が不問に付したので事無きを得たのでありますが、事件は翌日に起こります。


「乱舞の集い」は学園祭の一環で行われる行事でありますので、翌日からは学内での模擬店出展等のイベントが行われます。「乱舞の集い」に引き続き多数のOBの諸先輩方がお越しになられます。

さてこの年は数年前に引退したばかりの3回生氏にとってはかつての先輩諸氏が、連日、お越しになられておりました。かつての下級生が準幹部、幹部となり立派に舞台をやり遂げた姿にご満悦でありました。

このOB軍団の中に、現役團員時代、日本語能力に大いなる疑問を持たれていた方がいらっしゃいました。書く文字は小学校高学年の児童の方が遥かに上手いであろう筆運び、しかも山、川、田レベル以上の漢字は書けず、日誌は清少納言ばりに平仮名で綴られておりました。加えて話す言葉は生粋の郷土弁でありまして、理解するのには熟練を要します。

そんなOB氏が昨日の乱舞の集いの模様を話している時、ふと花束贈呈のシーンを思い出し、3回生氏に「お前、アレはサクラこ?」(郷土弁を忠実に再現:キミ、あれはサクラだったのかい?という意味)との下問。3回生氏、立ち上がり姿勢を正し「押忍!先輩、あれはバラであります!」と何の屈託もなく明朗快活に答えます。しばしの沈黙の後、OB氏は大爆笑。「誰が桜の枝を切って持ってくるんじゃ。サクラというのは…」と、サクラの意味を教えるのでありました。

おそらく下級生時代、自らの国語能力を散々、貶された苦い思い出がありますので、言葉について他者に教える事が出来た事は嬉しくて仕方なかったのでありましょう。

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八代目甲南大學應援團OB会広報委員会