本山村怪々奇團【15】 | 甲南大學應援團OB会のブログ「雲外蒼天」

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甲南大学応援団再建物語
~黄霧四塞すと雖も、上に蒼天なきに非ず~

第15話 ミスターハーレーダビッドソン


ミスターハーレーダビッドソンと言えば、かつて舘ひろし 氏が率いたバンド クールス の代表曲でありますが、本稿は舘ひろしもクールスも全く関係ございませんので、予めお断り致します。


我が應援團のOBは團員時代に増幅させたバイタリティで実に多趣味な方が多うございます。その詳細は敢えて割愛させて頂きますが、その中で引退後も趣味を通じ交流を続けるグループがございました。

その趣味こそがバイクでありまして、互いに見栄を張り合ううちに、最終的にはイージーライダーよろしく、全員がハーレーダビッドソンに乗っているという事態になった訳であります。

【映画「イージーライダー 」】

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かのハインツ・グデーリアン が述べて居ります様に近代におきましては機動力が重視されます。その点、バイクの機動力は極めて高く、神出鬼没、現役團員を悩ますには充分過ぎる機能を具備していた訳でございます。


新入團員も團に定着する5月、新入團員が昼の練習に向かうべく團室で支度をしておりますと、大馬力のハーレー独特の排気音が何処からともなく聞こえて参ります。先輩方の顔は青ざめ、先程までふんぞり返っていたソファから腰を浮かしております。

團室の窓からは黒いハーレーの軍団が近づいて来るのが見えますが、事態が呑み込めない新人は「ヘルズ・エンジェルス の殴り込みでありますか?」と頓珍漢な事を訊いたり致します。

何か特筆すべき奇行がある訳ではないのですが、やはり練習をOBが見学というのは、何処か居心地が悪いものであります。


そして季節は流れ夏になれば、バイク好きにとってはツーリングの季節であります。ツーリング→北海道という思考はこの一団にはございませんで、現役應援團から送られて来る夏合宿の案内に基づいてツーリング計画が練られる訳であります。

現役團員も何処かハーレーが追って来れない絶海の孤島に合宿地がないか、探すのでありますが、そんな都合の良いところは遂に見つける事は出来ませんでした。


秋も深まり学園祭を控えた頃、またもやハーレーの排気音が團室に聞こえて参り、素早く1Fで整列する團員一同。乱舞祭に向けて仕上がりの確認に来られたに違いありません。ハーレーが近づいて来ますと、排気音に負けない「押忍!」の挨拶。すると慇懃に礼をする團員の前に停まったハーレーのライダー氏がヘルメットを取りますと、何の事はないただのバイク好き野郎でありまして、六甲山に登る道が分からず彷徨っていただけだったのであります。

無論、ライダー氏にとっては青天の霹靂でありまして、「ややこしいモンに乗るな!このダボ!」という團員の怒りもさっぱり理解出来なかった事でありましょう。


きっと今でもあの時のライダー氏は「甲南大学というのは恐ろしい大学だよ」と周囲に漏らしている事でありましょう。


八代目甲南大學應援團OB会広報委員会