《+追記》119番の次は110番 | フロリダ南端、ネイプルズな日々 〜 Days in Naples

フロリダ南端、ネイプルズな日々 〜 Days in Naples

アメリカ生活26年目。
18年以上のカリフォルニア暮らしから1年にも満たないポートランドを経てフロリダ南端へ。フロリダで始めたズンバと猫x2とアメリカ人の配偶者との、パラダイスリビング、ネイプルズでの日々の記録です。

昨日は1本のお電話から未知との遭遇。
夕方までをその対応と様々な感情に渦巻かれながらの緊張で過ごし、何事もなかったもののお夕食の準備をしてお片付けを済ませた後は放心状態のぐったり。お風呂に入る余力もなく瞬速で眠りに落ちました。

午前9時過ぎに鳴ったお電話。
母が対応をしました。給湯器メーカーの営業所を名乗り、本日午後にガス給湯器の点検で伺うので、時間帯指定での在宅を請うものでした。時間帯指定後に、「お伺いする前にお電話をいたしますね。」

お電話を切った母から「〇〇さんの給湯器点検ですって。」と聞き、当日に連絡が来ることが気になりメーカーの営業所に連絡をしてみると、年内の営業は終了しているという音声案内。重ねて、母の勘違いでメーカーは〇〇ではなく△△。そこで、給湯器を設置してくださったガス会社に連絡をしてみると、「それは間違いなく最近多発している特殊詐欺ですから、すぐに警察の生活安全課に連絡をしてください。」とのこと。うわぁ、まさかまさかのターゲット。当事者です。

警察からの指示は、"口頭で了承をしているので次の段階でとにかく断ること。訪問確認の連絡があれば、そこで断る。自宅に来た場合は、母ではなく私が対応をして断る"。そして、断ってもお帰り願えない場合は、「すぐに警察に通報してください。ただちに向かいますから。」

警察とのお話が済み、母に会話内容を訊いてみると、信用をしてしまうに充分な個人情報を含む丁寧な若い女性のお話しで、給湯器訪問点検を了承するような「はい。」や「わかりました。」のお返事を引き出すためにそれは巧みに会話が運ばれておりました。

母、不安でおろおろ。私は私でうっすらと会話を耳にしていながら何の危機感も覚えなかった自分への腹立ちと苛立ちでもやもや。実家ではありますが自分の家ではないゆえの母任せ、私自身にもノーガードの甘さがありました。
母が父にも話したので、何度も説明をしたり自分が対処するという父を「応対は警察の方から私がするように指示されたのよ。」と納得させたりのひと仕事。父も母も詐欺のターゲットとされたことでの不安と不快で落ち着かず、私は私でそうでなくとも日々を支え合いながらやっとの思いで明日へと繋いでいる両親が詐欺という悪意で動揺する姿がいたたまれず、たまたま居た私と配偶者や月に何度か訪れる弟のいない時だったらと考えて不安を掻き立てられたり、悪意に対する怒りや恐怖心を感じたりで、「私たちがいるから大丈夫よ。」とにっこりしながらも内側では嵐が渦巻いておりました。

夕方まで待っても訪問前の電話連絡は入らず、来訪もなく、結果としては未然に防ぐ以前の段階での事なきを得ました。ただ、ここ数日近隣で多発しているというお話の被害に遭われた方々のことを考えると、何とも形容し難い気持ちになります。お電話で了承してしまっただけでも、母は自分に対する自信をなくしたり落ち込んだりしているようです。善悪を考えれば非は騙そうとする方にあるのは明白なのに、自分を責めるのでしょうね。ただでさえそこにある老いへの不安。こういった出来事が母に与える影響や母から奪っていくものを考えると、やりきれなさが募ります。そして、年齢とは関わりなく、被害に遭われた方々のお気持ちを思うとやはりどうにもやりきれません。

フロリダ南端からぐるんと地球を半周しての日本への一時帰国。119番の次は110番。ありがたいことにどちらも大事には至らずに済んでおりますが、我が家にとってはどちらも大事件。気持ちも思考もディズニーワールドの Guardians of the Galaxy 並みのジェットコースターで揺さぶられました。それも1週間の間に立て続けにですもん。

"何もない毎日"、"いつもと同じ"。
つまらない、耐えられない、生きている気がしない。そんなふうに感じていた時間のほうが遥かに長かった私も、そのありがたみと尊さに手を合わせたくなるような境地と年齢になりました。ドラマや華やいだキランキランにも未だに心は躍りますが、ドラマは必ずしも美しかったり素晴らしかったりだけではありませんし、キランキランの華やかな時間や出来事も揺るがない確かな日常があってこその輝きや麗しさですからね。

存在さえ意識せずにいる "当たり前にあるもの"。それらで埋められた日常が、実はとても幸せなものなのだと深く深くあらためて感じ入る年の瀬でございます。




出発当日のパッキング中の猫たち。元気にお留守番中です、



《 追記 》
ご近所で被害にあわれた方がおられたそうです。実家のインターホンはカメラ付きで、来客時に自動録画がスタートするので、それを警戒されたのかもしれないとのこと。今まであまり深くは考えたことがありませんでしたが、実家の防犯についても考えさせられる一件となりました?