ある日の、ルーティーンの反乱
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…いろいろ、あって。疲れがたまり始める午後。 でもね。それさえ、ルーティーン。頑張れ。もう少しだから。
自制よ、頑張れ。後ずさるなかれ。それでも、なんとなく。ため息つきながら、天井をあおいで、 壊れそうな軋みに目を閉じた時。
耳覚え。どこかで聴いた覚えのある歌声。ふんわりと。引きずられるように、思わず振り返ってテレビ画面を眺めたら。とある、柔軟剤のCM。ふんわり、フンワリ。
…ああ、あの人の声だ…。
しなきゃなんない事、山ほどある。手を抜けない事、数え切れないぐらいある。決して、カッコつけてるワケじゃない。ただね、しなくちゃならないから。やりとげるために、歯を食いしばらなきゃなんない時、やっぱり、ある、と思うから。それなのに、耳が目が。言う事きかない。勝手に、理性の自制無視して暴走。反乱。その声に、ふわりふんわり。引きずられてる。
数秒間の、エスケープ。ルーティーン、忘れていいかな? 自制よ、さようなら。
一瞬の、エスケープ、白昼夢。
たったそれだけ、たったの一瞬。
それなのに。現実を忘れて、違う人生を歩んでいけているような気になって…。ううん、気になれている。
本当に、ただの錯覚。
でも。
ありがとう…。おかげで、一息、つけた。ルーティーンを乱してくれて。気持ちが楽になれた。彼の歌声。食いしばっていた歯が緩んだ。ありがとう…。