南さんの本はむかーし学生の頃に読んだっきりだったけれど、あの文体健在。
彼がレポートを書く生徒役でよかったなと思うのは、毎回のレポートが「こんなこと書いたら的外れかもしれない」と自主規制した結果のこじんまりしたものではなく、授業の結果、自分の中で結合した事々を束縛されずに書いているように感じられるところ。分かった振りをせずに生きてきた人なのか、だから第三者の私にとっても分かりやすかったし、おもしろかった。
河合さんの本は何冊も買い込んで、ノルウェーにも全部持ってきた。
ながーくうすーく自分にまとわりつくような疑問の数々をすっきり整理する、そのきっかけになるような言葉が見つかるので、非常に重宝している。こういう本に「重宝」っていう言葉が適切かどうかわからないけど。
で、今回の本の一番の収穫。19ページ目「予習」の最後に南さんが書いていた、河合さんの似顔絵とコメント。
今まで自分が持っている本では、河合さんはいつもにこにこと柔和なお顔で写っているため、「物凄く出来る人」に特有な、眼の奥の「何かしらちょっと恐れを感じさせるモノ」が見えず、妙に親近感を持っていたけれど、
とても気持のいい笑顔と、むちゃくちゃに迫力のある、眼光の鋭さを持った不思議な顔面の持主
と南さんが書いているのを読んで、そうか河合さんはそういう「モノ」の露出を絞ることが出来る人だったのだなと思った。確かにあの「モノ」を先生に感じながらでは、治療される方もなかなか語り辛いだろうしなぁ。
本の最後をめくってみたら、南さんは生物学も免疫学も解剖学も授業を受けていました。うらやましい。
心理療法個人授業 (新潮文庫)/河合 隼雄

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