死に際 | ~同じ空の下のできごと~

~同じ空の下のできごと~

この空の下は悲しみで満ちている。
その悲しみに寄り添おうとする言葉。


 早く死にたい。
 そればかり。
 死に場所を探してさまよいました。
 野を越え山を越え。
 たどり着いたのは海でした。

 月のあかるい夜。
 海辺に誰かが座っていました。
 水面には月までの柱ができています。
 貴女の睫毛は月のほうを向いていました。
 潮風に紛れて。
──綺麗ね。
 そう呟いた貴女の横顔が何よりも。

 綺麗でした。