死に際 早く死にたい。 そればかり。 死に場所を探してさまよいました。 野を越え山を越え。 たどり着いたのは海でした。 月のあかるい夜。 海辺に誰かが座っていました。 水面には月までの柱ができています。 貴女の睫毛は月のほうを向いていました。 潮風に紛れて。──綺麗ね。 そう呟いた貴女の横顔が何よりも。 綺麗でした。