終わらない永遠などないと知って | ~同じ空の下のできごと~

~同じ空の下のできごと~

この空の下は悲しみで満ちている。
その悲しみに寄り添おうとする言葉。




風に揺らめく灯りの下で、私たちは出会った。それはどこか劇的だった。それでいて静かだった。
その静謐を讃えるように、白い雪が降り注いでいた。間断なく降り注いでいた。
消えそうな灯りの下で見つめ合った。口元からは白い息が漏れていた。
互いが、口を開くのを躊躇っていた。静寂を破るのを恐れていた。
つまりは、この永遠を永遠のままにしておきたかった。口を開けばすべてが幻と消えるのを知っていた。
冬の暗闇はじっとそれを見守ってくれていた。もしくは彼らにとってはどうでもいいことだったのかもしれなかった。
その無関心は紛れもない優しさだった。
私たちはしばらくそれに甘えていた。

やがて寒さに耐えかねて、どちらからともなく口を開いた。
平凡な言葉だった。
むしろそれが私たちらしかった。冬の白のように着飾らないのがよかった。
どちらからともなく抱き合った。
崩れてゆく永遠にすがるかのように。