夜の帳 | ~同じ空の下のできごと~

~同じ空の下のできごと~

この空の下は悲しみで満ちている。
その悲しみに寄り添おうとする言葉。


だだ広い野原に一本立つ木に寄り添うように、テントを張った。たきぎをする。夜になる前に肉を焼いて食べる。
夕暮れが遥か彼方の野原の向こうへ消えていった。瞬く間に消えていった。
たきぎを消してテントに潜り、ランプに火を灯す。ランプの明かりは控えめにテントの隅まで広がる。
テントの入り口をわざと開けて、外が見渡せるようにした。そこから夜空が見える。あまり明る過ぎないランプのお陰で、星が拝める。
なんでこんなにたくさんの星があるのだろうと思った。その答えはおそらく、なぜ人間がこんなにも沢山いるのかという問いのそれと似ている。人間の手のひらには数億の細菌がいるのともきっと同じ理由だ。その答えは生物とそうでないものを結びつける。
肝心の答えは見つからないが、おそらくそれが同じだということはわかる。不思議なものだ。

寝ようと思った。それは衝動だった。本能的ともいうかもしれない。
だから寝ることにした。そこに理由はない。
朝が来ればまた、理由もなく起きる。
そして夜が来れば寝る。
そこに理由はない。