小森陽一オフィシャルブログ「一期一会」Powered by Ameba -6ページ目

草むしり

仕事場の机に向かって原稿を書いていると、窓越しに庭の様子がよく見える。あり得ない場所にありえないものがひょこひょこと飛び出し、春の陽気に揺れている。そう、今年もまた雑草天国の季節がやってきた。


仕事熱心なのはいいが、座ってばかりいると当然ながら身体にはよくない。そこで「適度な運動」と「気分転換」を兼ねると共に、「雑草を毟って綺麗な庭へ転換を図る」ことをやり出した。二鳥ならぬ一石三鳥である。

やるのは夕方、少し日が陰ってから。無理をすると腰が痛くなるから一時間未満。これをやれる時にやっていく。決め事をガチガチにすると結局長続きしない。適度にテキトーが一番いい。


庭にはワンコ用に造った芝生のサークルがある。(ここから出てはいけませんよ)という為の柵なのだが、芝生はそんなことなど知ったこっちゃないようだ。どんどんはみ出し、雑草と競争するように至る所に伸びている。雑草天国ならぬ芝生天国だ。自然に首輪はつけられないんだなぁと思う。

軍手をはめてひたすら引っこ抜いていく。ゴミ袋がいっぱいになるのに比例して、黒い土の面積が広がっていく。これが地味に楽しい。楽しいとなんでも長続きするようで、最近では夕方が来るのを楽しみにしている。庭いじりして楽しいだなんて、我ながら歳を取ったもんだとも思うこの頃である。



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サライ今昔

たまたまサライの話題が重なった。
――いや、それを語る前に簡単にサライの話をしておこう。


サライは小学館から発刊されている月刊誌だ。内容は雑誌らしく、旅から食、歴史やモノまで幅広い。もうすぐ創刊35周年というから息長く愛されている証拠である。

2024年5月号(今月売り)に友人が載った。画家の佐藤潤氏だ。僕のブログにも度々登場している人物なので、ご存知の方も多いだろう。潤さん(親しみを込めてそう呼んでいる)は主に生き物を描く。象であれ、兎であれ、蛙であれ、潤さんの手にかかれば「絵」ではなく「画」になる。「潤画」だ。我が家の玄関にも「潤画」が飾ってある。今と昔、こっちとあっちを繋ぐような超越したタッチが心地良く、リズム感がある。見ていて実に楽しい。潤さんはこの手法で怪獣も描く。根っからの怪獣道を行く人なので、幅も深さも半端ない。仕上がったものは「怪獣潤画」だ。これまた最高に愛おしい。


サライが潤さんにスポットを当てたと同じタイミングで、昔のサライが手元に届いた。専用のファイルに閉じられており、ナンバーを見ると1991年から1994年となっている。これ、亡くなった義父の持ち物である。とても大切にしていたのだろう、保存状態がとてもいい。執筆の合間にパラパラとめくっているが、「こんな記事が載ってる」「こんな人が書いてる」「この広告、あったなぁ」そんな感じで休憩が大幅にオーバーしてしまうのが痛い……苦笑

情報は古びるが、雑誌は古びない。久しぶりに開いてみると、新しい発見と出会ったりする。サライ、これからも雑誌文化の担い手として、これからもまだまだ続いて欲しいと願っている。



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人間の正体

立て続けに二人の監督の最新作を観た。一本はドゥニ・ヴィルヌーブ、「デューン 砂の惑星2」。もう一本はクリストファー・ノーラン、「オッペンハイマー」だ。どちらも重厚かつ圧倒的であり、孤高である。片やSFの叙事詩、方や実話を基にした創作ではあるが、驚くほど印象が似ている。どちらも徹底的に人間の能力や愚かさ、嘘を徹底して描いているということだ。



先ほど、大谷翔平選手の元通訳、水原一平氏が訴追されたというニュースを見た。アメリカの連邦捜査局によれば、水原氏が大谷選手の口座から不正に使った金は24.5億円あまり。当初報道されていた額より何倍も大きい。22年から始めたスポーツ賭博の回数はのべ2万回近くに達し、負けの額は60億を超えているという。バレていなければまだまだ大谷選手の口座に手をつけていただろう。

水原氏は常に大谷選手に寄り添い、昨年のWBCには優勝の輪にも加わっていた。誰もがその献身的な行為を認めていた筈だ。少なくとも僕にはそう見えていた。だが、真の姿は違っていた。金を奪いながら満面の笑顔で隣に居続けた。善幸に見えていたものが悪行へと変わっていく。まるでオセロがカタカタと音を立てて裏返っていくように。大谷選手の気持ちを思えば本当に耐えがたい苦痛だろう。


人ってなんだろう。単純に善と悪では言い切れないし、割り切れもしない。おそらく深く強く混ざり合っているのだ。「デューン」の登場人物達は砂の惑星の香料(メランジ)を求めて争い合う。オッペンハイマーはご存知の通り原爆を作った。いくら後悔しようとやったことは覆らない。これ、全部人間の仕業なのである。

人間の正体がなんであるのか、半世紀以上生きていても未だによく分からない。ただ、良い印象が年々薄れていることだけは確かだ。



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