今日、とある女医さんとお話をする機会があった。
話は職場のメンタル一歩手前の男性職員に及んだ。
女医さんによれば、彼の周囲は女性の職員だらけで、彼のメンタル不調はその女性たちから厳しく接せられていることが原因の一端であるとのことだった。
女性職員たちのことも知っているらしいその女医さんは、私に向かってこう言った。
「その女性たちは独身で、子どもを育てたことが無いから人の気持ちが分からないんですよ」
え、そうなの?
人間って、そんなに単純なものなの?
結婚して子どもがいれば人格者で、子どもがいない人は人格ごと否定されるの?
自分の子どもを平気で虐待する親もいるのに、そんなヤツらより私はダメな人間なの?
もちろん、その女医さんは私が独身で子どももいないことなど知りはしない。
知っていたら、そんなことは恐らく言わなかったであろう。
だが直接では無いにしろ、「医者」という学識のある人からそう言われたことは、少なからず私にとってはショックであった。
家に帰って真っ先に母にその話をしたのは、「そんなことないよ」とか「それは極端でしょ」とか、とにかく否定して欲しかったからかもしれない。
だが母の返事は
「そりゃそうでしょ」
「アンタも他人からそう見られていることを覚悟した方がいいよ」
どんなに人に優しくしようとしても、どんなに人を思いやろうとしても、「結婚していないから」「子どもを育てたことが無いから」という理由だけで、冷たい人間であるとレッテルを貼られてしまう。
世間一般の人たちの多くは、そう思っているらしい。
どんなに望んでも子どもを持てない人たちがいて、そのことを深く悲しんでいるかもしれないのに。
そう思うと涙が出てきて仕方が無かった。
悔しいのか悲しいのか、自分でもちっとも理由がわからないけど。