美津子おばさんはなおも

キフネ様のことでわかっていることを

教えてくれました。


日記を見せる前に

彼がどういう立場であったのか

説明が必要だと思ったようです。


「キフネ様は東翼のお生まれ。

 母は昔は郷でもっとも羽振りの良かった

 絵戸家から嫁入りしてきた

 ミアレ様というお方だった。


 名継ぎの生母ってのは

 千壽家に優れた血を更にもたらした 

 ってわけで

 幼い名継ぎ様以上に

 人々に尊ばれる身分になるんだあ。


 人によっちゃあ

 その身分を傘に着て

 よそのはなれの者らを下に見て

 偉ぶることもあった。


 せんじゅ様に嫁いでくる時には

 いかに気立ての良い娘か

 売り込むのに

 産んだ子供がせんじゅ様になると

 決まったら

 急に実家を取り立てて

 権威を見せびらかすようになったりな。


 ミアレ様ってのは

 そういう気質のお人だったようだわ。