扉を開けると父センジュ様と伯父がいた
そして開け放たれた庭に面した側には
お客人方がそれぞれご家族連れで
左右に分かれるように並んでおられ
入側縁を挟んだ庭には華やかな揃いの祭り装束を着た郷民の一団が見えた
向こうにも僕が見えたのだろう
鈴や太鼓を打ち鳴らし、歓声を上げて僕を迎えてくれたのだ
さらに見れば中央で艶やかに舞っているのは僕と同じくらいの年若い4人の少女
祭り様の大人びた化粧を施した美少女たちだった
もうご挨拶どころではない
母さまは格式ばった口上を僕に述べさせるつもりだったものがとてもそんな雰囲気ではない
おろおろと父さまに民衆を鎮めるよう促がす
「皆の祝いの歓声を止めることはあるまい
キフネ、そのまま進み寄って顔を見せて
お応えするがよかろう?」
「はい」
僕はまっすぐに庭へ向かい
途中途中すれ違う座敷内のお客人にも左右に会釈をかけながら入側縁に立った
思いがけず器楽がとぎれ少女達の舞も止まった
僕の名を囁くざわめきに変わり
やがてそれも鎮まったところで
ようやく声を出すことが出来た
「みな本当に私の10の祝いにおいで下さりましたのか
キフネでございます
まことに嬉しく思います」
名乗ると同時に人々から
"おめでとうございますキフネ様"
と方々から声が上がり、
「ありがとうございます」と
あちらへこちらへと返すのがやっとになった