その婚姻を決めたのは

キフネの母ミアレでした。


名継ぎなのだから

とにかく1人目の妻は早くに、と。


並の男子よりも

ずっと早くに妻を持つことが

名継ぎの使命ということです。


選ばれたのは須上家のシキ嬢。

ミアレの実家と競合関係のない

学者の家系ですから

適齢期前の息子のとりあえずの1人目妻として


郷で最も才媛と名高いこの女性に

決められたものと思われます。


が、この時シキ嬢28歳くらいだったよう。

よくまあ本人達が了承したものだと思います。


日記には淡々と受け入れた様子が

書かれていました。


ただ先にも書きましたが

この2人はなかなか親交も厚く、

学問の話などで随分気が合ったらしい。


だからといって『結婚』はどうよと思うけど


おそらく1番妻だとしても

夫婦としての愛情の面では

その後迎えるであろう他の妻が

重きに置かれる可能性が高い。


昔なら売れ残りの年齢だった彼女は

そういった控えめな立場にあえて甘んじたのか


シキ嬢が嫁いで来てあてがわれたのは

北のはなれでした。


もっとも最初の妻が大抵入るという

東のはなれは

まだミアレとキフネ本人、そしてその妹が

暮らしていたわけですから

しかたないのですが


時代はずれてるのかもしれませんが

『北の方』という言い方もあるし

必ずしも隅に追いやられたという意味では

ないんでしょう。


『キフネ日記』には

この妻とのやりとりも細かにかかれています。